おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
みなさんは「アドバイス罪」っていう言葉を聞いたことはありますか?「求められてもいないのに、当事者じゃない人からアドバイスをされることは罪に等しい」という意味のネットスラングらしいのですが、僕も心の底から共感する言葉です?
スポンサーリンク
「アドバイス罪」のルーツはこちら
「アドバイス罪」という言葉は、元カプコンの重鎮、現イラストレーター あきまんこと安田朗氏が編み出した言葉のようです。
「吃音持ち」の後輩を飲み会に誘う
僕の昔の職場での話。会社の若手同士(男同士)で、飲み会をすることがありました。当時の僕のいた職場には、入社したばかりの若い後輩がいました。彼も誘って数人で飲みに行ったのです。後輩はいわゆる「いじられキャラ」であり、先輩である私たちからいろいろとからかわれていました。そして、後輩は「吃音持ち」でもありました。
男同士の飲み会ではたまにあることですが、飲んでいると猥談になることがあります。この日はなぜか、かなりゲスなところまで話が及んびました。卑猥なことを先輩連中が後輩に根堀り葉掘り聞くという、僕のかなり嫌いなタイプの飲み会になってきたのです(こういうの、度が過ぎると同性間のセクハラになります)。
話はどんどん卑猥な方向にエスカレートする一方で、僕は「つまんねーな」みたいな顔をして、一人で日本酒飲んでました? そしてようやく苦痛な飲み会が終わり、帰る段になった時のこと。悪ノリしていた先輩の一人と、後輩、私の3人で駅に向かっている最中、悪ノリ先輩が、後輩に対して何の脈絡もなく、
「ところでさあ、お前のその吃音、直したほうがいいよ」
と言い放ったのでした。
猥談でヘラヘラしていた後輩も、さすがに顔がひきつっていましたよ。
唐突で不可解なアドバイス
今までさんざん猥談で盛り上がってたのに、なぜ今このタイミングで、それほど親しくもない、最近入ったばかりの若い後輩に、そんなことを言うのか、僕には不可解でした。
「吃音をなんとかしたい」と、本人がアドバイスを求めているわけでもありません。最近入ったばかりの若い後輩なので、さして信頼関係があるわけでもありません。そんな相手から自分のプライベートにかかわるアドバイスをうけて、当の後輩も戸惑ったのでしょう。そもそも世界中で膨大な吃音研究・臨床が続けられながら、吃音の原因は解明されず、確実な吃音治療法はないというのが定説なのです。そんなこともわからずに、無責任なことを言い放ったのがこの先輩でした。
この件はいわば、その辺を歩いている人から唐突に「お前の服、センスねえな。もっといい服着ろよ」なんて言われるのと同じですよ。そんなの、はいそうですかと受け入れることはできないじゃないですかね。
後輩は入社して日が浅く、ましてや先輩に対して「うるせーなハゲ。お前に関係ねーだろ」とは言えないだろうし、この時はなんとか笑ってやり過ごすのが関の山だったのではないかなと思います。
アドバイスには「信頼関係」が不可欠
その辺を歩いている人から唐突にアドバイスをされるのと、事情をよく知る当事者からアドバイスをされるのとでは、どちらのアドバイスを聞こうという気になるか?というのは、明らかな問いでしょう。
もっとも、事情をよく知っている当事者だからといって、アドバイスはなんでも素直に聴けるというものでもないですけどね。例えばですが、MBA取得者の「経営コンサルタント」と呼ばれる人から、経営や仕事のやり方についてアドバイスをもらっても、素直にきけないものですよ。僕の10年以上のコンサルティング経験でも、数え切れないほどの助言が聞き流されてきましたからね。
ですが、助言の主が「経営コンサルタント」ではなく、長年の経営者友達などであれば話は変わってきます。僕は以前、経営者同士の異業種交流会に出入りしていましたが、こういう会合で知り合う経営者友達の助言は比較的神妙に受け入れるようで、驚いたことがあります(もっとも、単純に同調圧力なのかもしれませんが)。コンサルというと、どうしても対等な立場ではないというか、教える側・教わる側という立場の不一致のようなものがあって、信頼関係が築きにくいのだと思います。学校の先生に対する関係と、学校の同級生に対する関係って、質的に大きく異なりますからね(もっともコンサルが単純に上から目線で嫌われている可能性も否定はできませんが)。
僕はこの「信頼関係のない部外者からのアドバイス」というのは、下手をすると人間関係を壊す一因になると思っています。たとえこれが「相手のためを思って」「親切心で」の行動であったとしても、相手にとっては必ずしもそう受け取れないものです。
じゃあどうすれば信頼が築けるかって?って思うでしょう。それは僕なりの答えはありますが、たぶん文字で書いても伝わらないし、僕がここで言っちゃうとそれは「信頼のない関係での部外者のアドバイス」になりかねないので控えておきます?
まあ、アドバイスを受けるのではなく、自分で考えるしかないでしょうね……というか、自分で考えたことこそが(あっていようが間違っていようが)答えなのだと僕は思っています?