おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
12月9日に行われた安倍内閣総理大臣記者会見で、首相が「総枠3,000億円を上回る」として、ものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金について言及をしました。2020年実施の中小企業向け補助金について予算規模が言及されたわけですが、3,000億円という数字の意味合いを探ってみたいと思います。
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令和元年12月9日安倍内閣総理大臣記者会見
このサイトの政府インターネットTVで、3:50~4:20あたりに下記の発言がありました。
地域経済の核である中小・小規模事業者の皆さんには、総枠3,000億円を上回るものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金を活用し、生産性革命を一気に加速します。そのことによって賃上げの流れを一層力強いものとしてまいります。
はっきりと「3,000億円」と言っていますね。平成30年度補正の当該3補助金施策は、中小企業生産性革命推進事業として1,200億円があてがわれました。数字だけを見ると、3倍弱の規模拡大のように見えますが、果たしてそうでしょうか。
基金創設の予算も含めての3,000億円ではないか
当社の見解としては、ものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金が、来年度にいきなり3倍近くもの予算規模になることはないと見ています。というのも、来年以降の中小企業政策については「基金化」刷るという報道が、12月3日づけの日刊工業新聞でなされました。
この基金は消費増税や最低賃金引き上げ、2020年度からの働き方改革、検討が進む厚生年金の適用範囲拡大など、大きな転換期を迎える中小企業を支援するのが目的だ。
自民党政務調査会は11月にまとめた経済対策に関する要望で、事業環境変化に対応する中小企業への「将来的な支援」の観点から、繰り越し可能な基金の検討を盛り込んだ。これを受け政府は、補正予算での措置が主体の「ものづくり補助金」などとは別に、基金の創設を進める考えだ。
(赤字強調筆者)
この記事から推察をすると、従来どおりの「ものづくり補助金」は補正予算で執行しながら、複数年にわたる基金ベースの補助金施策を別途展開すると読むのが自然です。おそらく首相記者会見で述べられた3,000億円という数字は、①従来どおりの「ものづくり補助金」など、②基金ベースの「ものづくり補助金」「IT導入補助金」、という2つの異なる施策の総枠であると考えられます。
「3年間で3,600億円の支出」
本件については、産経新聞が12月9日付けの記事で次のように報じています。
また、生産性向上に向けた中小・零細企業の取り組み支援のため、約3600億円を3年間で支出する。そのうち3090億円を補正予算案に計上する。革新的な製品やサービスの開発のための設備投資支援や、ITツール導入を支援する。
これを読むと、複数年(3年)での支出総額が3,600億円であると書いています。うち、2019年度補正予算に3,090億円の計上ですから、上記の首相の発言も「3年分」と見ることができそうです。3年間で3,600億円となると、単純計算で年間1,200億円です。これは平成30年度補正の中小企業生産性革命推進事業としてあてがわれた1,200億円とぴったり一致します。もっとも、そんな単純計算で制度設計しているとも思えませんけどね。
詳しい情報は、補正予算の閣議決定後に、各省から出る告知資料で明らかになると思われます。