おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
7月28日、ものづくり補助金事務局は、16次締切の公募要領1.0版を公開しました。前版(15次公募1.0版)との違いを解説します。(申請要件の変更を伴わない軽微な変更は、本記事では取り上げていません)
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ものづくり補助金16次締切 公募要領1.0版はこちら
ものづくり補助金16次締切のスケジュール
- 公募開始:令和5年7月28日(金)17時~
- 申請受付:令和5年8月18日(金)17時~
- 応募締切:令和5年11月7日(火)17時
- 採択発表:令和6年1月下旬頃
補助対象外要件にいくつかの追加(公募要領P6~P13)
補助対象外要件(該当していれば補助金に申請すらできないという条件)に、いくつか追加がありました。以下に書いているものに該当する場合は、ものづくり補助金の対象にはなりません。
- 「交付決定前に、事業譲渡、会社分割等を行うことにより、補助金交付候補者の採択により生じる交付申請を行う権利を他者に承継することはいかなる理由においても認められません。事業譲渡を受けた者等の補助金交付候補者以外の者が交付決定を受けることはできませんのでご注意ください。 」が追加(公募要領p6)
この要件は、事業再構築補助金の公募要領では、以前から対象外要件となっていました。この度、その要件がものづくり補助金にも適用されました。どうしてこういう要件が定められているのかはわかりませんが、不正に使われる可能性があるのかもしれません。事業譲渡等を検討している場合は、事業承継・引き継ぎ補助金などを活用するのがよいでしょう。
- 「経済産業省又は中小企業庁から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者は補助対象となりませんのでご注意ください。 」追加「(p8)
これは、独禁法などに違反した企業から購入するモノやサービスは、補助金の対象にはならない、という意味です。どの企業が停止措置の対象となっているかは、経産省のページで閲覧できます。有名どころだと、電通や博報堂が、オリンピックに絡む談合事件を理由に、停止措置の対象になっています。
- 補助対象外要件・重複申請の箇所で「なお、これまでに交付を受けた補助金及び委託費の実績については、必ず応募申請書に記載してください。申請する事業が、これらとの重複を含んでいないか事前によく確認してください。」が追加(p11)
これまでも過去に補助金をもらった取り組みと同じ取り組みには、補助金がでないというルールでした。それを確認するため、補助金の申請時に、これまで交付を受けた補助金の実績について、報告することが求められています。その報告を確実にやりなさい、という念押しがこの一文です。推測ですが、過去に補助金の交付を受けたにも関わらず、申請時の補助金交付実績の報告をしないという企業があったのでしょう。
- 補助対象外要件で「事業の遂行(事業化状況報告を含む)に主体的でないと判断される事業者。(GビズIDを他者に貸し出す、他者が取得したGビズIDを使用する、事務局との窓口担当者を外部に任せる等の行為は主体的でないとみなします。)」が追加(p11)
もともとGビズIDの規約でも、第三者にIDを貸し出すことは禁じられていました。それを補助金の公募要領にも明記したかたちです。おそらく、GビズIDをコンサルに貸し出して、コンサルに電子申請を任せるというケースがあったのでしょう。最近、コンサルの行き過ぎた支援に制限をかけるような動きがよく見られますが、中小企業庁もそういうコンサルに業を煮やしているのでしょう。
- 対象外事業のなかで「⑥ 主として従業員の解雇を通じて、要件や目標の達成のために付加価値額等を操作させるような事業 」と「⑧ 法令に違反する及び法令に違反する恐れがある事業並びに消費者保護の観点から不適切であると認められる事業」が追加(p13)
不正の手口を明かすことになるので詳細には解説しませんが、補助金がほしいがために従業員の雇用を操作するようなことは禁止となりました。また、当然のことですが、法令に違反する事業は対象外です。消費者保護の観点から不適切であると認められる事業とは、例えば、合理的な根拠なく「新型コロナウィルスに効く食べ物」などを開発するような事業などでしょうか。(景表法の規制に該当するようなものですかね)
グリーン枠アドバンス類型の追加要件に「11.GXリーグに参加していること」が追加(公募要領P17)
グリーン枠アドバンス類型の追加要件に「11.GXリーグに参加していること」が追加されました。グリーン枠アドバンス類型というのは、ものづくり補助金グリーン枠の中でも、CO2排出量削減に対して相当「高度な取り組み」をしている企業が応募可能な類型です。その「高度な取り組み」の条件として、「GXリーグに参加していること」が追加となりました。
GXリーグとは、グリーントランスフォーメーションに積極的に取り組む企業として選ばれた440社による集まりです。すでに募集は終了していますので、これからGXリーグに参加することはできません。
グローバル市場開拓枠②海外市場開拓類型(JAPANブランド)での「マーケティング調査」(公募要領P17,19)
グローバル市場開拓枠の②海外市場開拓類型(JAPANブランド)の要件で「応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。」の赤字部分が追加になりました。
また公募要領のP19でも「※9 「JAPANブランド」とは、海外展開を見据え、新商品・サービスの開発改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を目的とする事業であり、事前にマーケティング調査を実施し、その結果に基づく開発改良、ブランディング等を行うことが基本要件となります。 」が追加になっています。
わざわざ「事前にマーケティング調査を実施し」という一文が新たに挿入されています。海外市場開拓類型(JAPANブランド)では、海外市場の調査報告書を提出が義務付けられていますが、ネットで拾えるような情報をちょっとまとめただけのような報告書がいくつかあったのではないかと思います。本気で海外展開しようと考えている企業は、現地に足を運んで市場調査をしたり、何百万円も払って調査会社に依頼をしてレポートを作ってもらうのが一般的です。それほどの調査もせずに、ネットでちょっと調べただけでは、海外進出は間違いなく失敗します。補助金ほしさに、適当な報告書を作るのはやめましょう。
システム構築費を計上する場合は、採択後に仕様書等の提出が求められるかも(公募要領P23)
「システム構築費については、補助金交付候補者として採択後、見積書に加え仕様書等の価格妥当性を検証できる書類の提出を求めることがあります。 」が追加されました。
これもおそらく、補助金ほしさに価格を膨らませて見積もり・請求するというケースがあったのだと思います。とはいえ、仕様書を提出したからといって、その妥当性を事務局が判断できるのか?という疑問はありますけどね。
「ワークライフバランス等の推進の取り組み加点」が「女性活躍等の推進の取り組み加点」に変更(公募要領P35)
これは要件の変更ではありませんが、加点項目の「ワークライフバランス等の推進の取り組み加点」が「女性活躍等の推進の取り組み加点」に変更となりました。ただし、変わったのは見出しだけで、内容には変わりはありません。