おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
うっかりミスに代表される「ヒューマンエラー」ですが、ヒューマンエラーの原因は個人の不注意などとして捉えられがちです。でも本当はもっと複雑であることがわかっています。ヒューマンエラーとは何で、そしてなぜ起きて、どう対策するかについて3回に分けて解説します。
スポンサーリンク
動画でも解説しています(無料・登録不要)
前回までの記事はこちら
-
ヒューマンエラーって何?なぜ起きるの?どうやって防ぐの?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 うっかりミスに代表される「ヒューマンエラー」ですが、ヒューマンエラーの原因は個人の不注意などとして捉えられがちです。でも本当はもっと複 ...
続きを見る
-
ヒューマンエラーって何?なぜ起きるの?どうやって防ぐの?(2)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 うっかりミスに代表される「ヒューマンエラー」ですが、ヒューマンエラーの原因は個人の不注意などとして捉えられがちです。でも本当はもっと複 ...
続きを見る
ヒューマンエラーの対策(全体像)
ヒューマンエラーを防ぐためには、どうすればいいでしょうか?まずは全体的な方向性について解説をします。
ヒューマンエラーは、個人だけでなくチームで取り組むことが重要です。一人でリスク分析や原因分析をするのは難しいので、多くの人が協力することが不可欠です。
そのうえで対策は大きく分けて、現場レベルの具体的な対策と全体的な対策の2つがあります。
現場レベルの具体的な対策としては、正しい作業手順を決める標準化が必要です。また、正しい行動をしやすくする工夫も重要です。例えば、作業手順を簡素化したり、わかりやすい表示を作ったり、整理整頓をして、ミスを犯しにくい環境を作ります。
全体的な対策としては、安全や品質に対する「投資」が不可欠です。設備投資で作業を自動化したり、ミスに気づきやすくする仕組みを導入します。また、ミスを責めない文化や心理的に安全な組織を作ることも重要です。こうした組織ができると、ミスの報告がしやすくなり、その報告をもとに改善を続けることができます。
これらの対策を組み合わせることが必要ですが、要は個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが求められるということです。
リーズンの分類ごとの対策
更に具体的に対策を見てみましょう。ジェームズ・リーズン教授によるヒューマンエラーの分類ごとに対策を見てみましょう。
スリップへの対策
- 使いやすいデザインにする(たとえば、スイッチは上にある状態を「オフ」に統一する、など)
- チェックリストやリマインダー(掲示・表示や監督者による声掛け等)を使う
- 集中できる環境を作る
- 十分な時間を確保する
- エラーを知らせる警告やアラームを使う
ラプスへの対策
- 忘れないように重要な手順や注意点を書いたメモや、リマインダー(掲示・表示や監督者による声掛け等)を使う。
- 作業手順を確認するチェックリストを使う
- 落ち着いて作業できる環境を整える
ルールベースのミスへの対策
- 緊急事態や非通常(メンテナンスや段取作業時)の場合に備えた計画を立てる
- 定期的に訓練や練習をする
- 作業の流れや状況をわかりやすく表示する
- 問題を解決するための道具やガイドを使う
知識ベースのミスへの対策
- 新しい状況に対応するための基本知識や経験を学ぶ機会を設ける
- 正しい情報、最新の情報を手に入れる
手抜き型エラーへの対策
- ルールの大切さを理解し、注意を促す
- 違反を見つけやすくする仕組みを作る
- 監督者がしっかり見守る
- 作業をしやすくするための改善を行う
- 良い態度やチームワークを育てる
- 時間に余裕を持たせる。
- 必要な道具や設備を揃える
- 無理のない作業計画を立てる
- どんなときも安全を優先するようにする
- 非常時に備えた訓練を行う
ダブルチェックはヒューマンエラーの防止に役立つか?
一般的にヒューマンエラーの対策として「ダブルチェック」が選ばれることが多いと思います。
ダブルチェックはヒューマンエラーの防止として有効だとは思いますが、これだけに頼るのは問題があります。
ダブルチェックでは、誰が最終的に責任を持つかが曖昧になることがあります。その結果、エラーを見逃す可能性が高まります。つまり二重の確認が行われることで、確認が十分に行われていると錯覚し、注意が散漫になることがあります。さらに、時間とリソースの無駄遣いになることもあり、人手不足の昨今では、ダブルチェックによって現場が混乱するリスクもあります。
したがって、ダブルチェックだけに頼ったり、効果がないので三重や四重のチェックにしようとするのではなく、共に他の対策も併用することが重要です。