おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018年版各箇条解説シリーズ、箇条7.5「文書化した情報」について、労働安全衛生に関する文書にはどういうものがあるのかという具体例も踏まえながら解説をします。
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前回までの記事はこちら
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ISO45001:2018 7.5 労働安全衛生の文書管理はなぜ必要?どんな文書があるの?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018年版各箇条解説シリーズ、箇条7.5「文書化した情報」について、労働安全衛生に関する文書にはどういうものがある ...
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箇条7.5.1「一般」の規格要求事項
前回までの説明を踏まえると、箇条7.5の規格要求事項は簡単に理解ができます。まず箇条7.5.1一般の規格要求事項ですが、ここでは、必要な文書を作成しなさいと言っています。
必要な文書とは2種類ありましたね。一つは「規格が要求しているもの」(a)で、そしてもう一つは「我が社で必要だと判断したもの」(b)です。
注記では、必要な文書や記録が具体的には何なのかは、会社によって変わると言っています。
例えば、コミュニケーションの証拠の一つとして、安全委員会や衛生委員会の議事録がありますが、会社によっては委員会を統合して安全衛生委員会を設置しているケースもあるでしょうし、そもそも従業員数が少なければ委員会がない会社もありますよね。このように、会社の規模や業種もそうですが、作っている製品、適用される法律の種類、職場にどういう危険源があるか、リスク分析の結果などによって、どういう文書や記録が必要なのかが変わってきます。
この注記は「どの会社でも同じようなガチガチの文書を作ろうとするのではなく、ちゃんと自社の状況を見て必要なものを考えて文書化しなさい」と言っているわけですね。
忘れてはならない「法で要求される文書類」
文書を作成する際に忘れてはならないのは、法で要求される文書類です。ここでいう法は、主に労働安全衛生法(および施行令、施行規則、通達など)ですね。
例えば、フォークリフト作業のある企業は、フォークリフト作業計画. (労働安全衛生規則第151条の3)は「文書」(維持すべき文書化した情報)ですね。また、フォークリフトの毎日の始業点検、月1回の自主検査、年1回の特定自主検査(労働安全衛生規則第151条の21~26)は「記録」(保持すべき文書化した情報)にあたります。
その他も挙げるとキリがありませんが、化学物質のリスクアセスメント(法第57条の3第1項)の結果は「記録」ですし、リスクアセスメントのツールとして有名なCREATE-SIMPLE(厚労省が作っている簡易なツール)は、頻繁に更新され、バージョンが管理されていることからも「文書」にも該当します。
ISO45001の労働安全衛生マネジメントシステムに関連する法律は、労働安全衛生法(および施行令、施行規則、通達など)だけとも限りません。これは箇条6.1.3の順守義務でどういう法律を特定しているかにもよりますが、例えば毒劇物(急性毒性による健康被害が発生するおそれが高い物質)を扱っている企業は、毒劇法が労働安全衛生マネジメントシステムに関連する法律になりえます。
毒劇法に関する文書としては、「医薬用外劇物」「医薬用外毒物」の表示(毒劇法第12条)は「文書」に該当するでしょうし、在庫管理のための管理簿(薬生薬審発0724第1号)は「記録」に該当するでしょう。
箇条6.1.3で洗い出した法的要求事項を元に、我が社ではどんな文書と記録の作成が義務なのかは、しっかりと調べる必要があります。これは「法律だから」必要なのではなく、事故や健康被害を未然に防ぐためであり、また、労災発生時などに「我が社ではちゃんとやるべきことをやっていた」ことを示すため、つまり自社を守るためなのです。