おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018年版各箇条解説シリーズ、今日は箇条8.1.1「一般」を解説します。この箇条は、労働安全衛生マネジメントシステムを効果的に運用するための具体的なプロセスについて定めています。具体例を通じて、この規格要求事項をわかりやすく解説します。
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前回までの記事はこちら
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ISO45001:2018 8.1.1 労働災害を防ぐためのプロセス管理は具体的にどうやるの?(1)
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ISO45001:2018 8.1.1 労働災害を防ぐためのプロセス管理は具体的にどうやるの?(2)
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箇条8.1.1の規格要求事項(続き)
前回の記事では、我が社の労働安全衛生にとって必要なプロセス(規格が要求するプロセスと、リスクや法的要求事項に対処するためのプロセス)を確立してPDCAを回すというところまで説明をしました。
こうしたプロセスを計画したり実行したりするときには、a)からd)のことをやりなさいと規格は言っています。
a)は基準を決めなさいということですが、基準とは何でしょうか。基準というと、例えば100点満点のテストであれば60点以上で合格、みたいなものをイメージしますが、ここでいう基準というのは、そうしたものだけではなく、手順や方法なども含んだものと考えてください。ですので前回の記事で説明をしたフォークリフト管理プロセスの例だと、フォークリフト作業計画自身が基準にもなり得ます。作業計画を基準として、そのとおりに作業ができればOKだし、そのとおりに作業しなければNGと、いう判断が可能になりますよね。
続いてb)は簡単ですね。基準通りに管理をしろということなので、作業計画のとおりに作業するようつとめる、ということです。「管理」が求められていますので、もちろん実行をするだけではなく、取り組みの状況を確認(モニタリング等)したり、改善をしたりすることまで求められています。
c)はどうでしょうか。これは必要な程度、プロセスを文書にしたり、プロセスの実施結果の記録を取りなさいということです。フォークリフトの例だと、フォークリフト作業計画は文書ですし、作業計画通りに仕事ができたかどうかは点検記録や各種のチェックリストに記録することになります。このあたりは法律(安衛法や安衛則等)で求められているものがたくさんありますので、それらも確実に含んで文書化する必要があります。
d)はちょっと説明が必要です。「働く人に合わせた作業の調整」をしなさいということですが、これには附属書にこのような例が書いています。
- 作業編成の決定
- 新人の研修
- プロセス及び作業環境の決定
- 人間工学的アプローチ等による新しい職場の設計または変更
フォークリフト管理を例に取ると、作業編成の決定は、例えばベテランのフォークリフト運転者と新人の運転者を同じシフトに配置してベテランがサポートする、といった運用のイメージですね。また新人の教育として、新しいフォークリフト運転者には、基本的な操作方法、日常点検の手順などの基礎訓練を実施します。これは雇入時教育とも関連しそうですね。プロセス及び作業環境の決定では、例えば、フォークリフトの運転経路や危険区域に安全標識を設置したり、床を色塗りしたりして、運転者や歩行者に注意を促すようなことが考えられます。また人間工学的アプローチ等による新しい職場の設計または変更は、フォークリフトの作業場にミラーを設置するようなことが考えられるでしょう。
そして最後の一文「複数の事業者が混在する職場では、組織は、労働安全衛生マネジメントシステムの関係する部分を他の組織と調整しなければならない。」です。
これは、一つの作業場でいろんな会社の人が働く場合は、いろんな会社の人と調整しなさいと言っています。建設現場などがイメージしやすいですが、フォークリフトが活躍する荷受場でも外部の運送会社の人が出入りをするのが一般的ですので、フォークリフトの作業計画を説明する機会を設けるとか、外部の運送会社の人にはフォークリフトは運転させないというような役割分担を話し合って決めるということが該当しそうです。