おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISOマネジメントシステムの法令・規制要求事項を内部監査するときのポイントについて解説します。この動画を見れば、「法令・規制要求事項」って具体的に何を指すのか、そして内部監査でどんなふうに確認したらいいのかがわかるようになりますよ!
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【内部監査レベルアップ講座】法令・規制要求事項を内部監査する(1)
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【内部監査レベルアップ講座】法令・規制要求事項を内部監査する(2)
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法令・規制要求事項プロセスの内部監査準備
ではこの法令・規制要求事項プロセスを内部監査する場合、どうすればいいでしょうか?まずは内部監査の準備でやるべきことを説明しましょう。
まず大切なのは、監査対象の法令や規制の概要を監査員が理解することです。どこまで知っておくべきかというのは悩ましいですが、わたしの個人的な見解では、すべての監査員が法律を詳細に知るのではなく、監査チームとして、法令・規制の知識を備えるようにしたいですね。チームに最低1名はその法令や関連業務に詳しい人がいるべきでしょう。
次に、監査対象の業務手順を理解しておきます。先程のプロセスがうまく行っていれば、法律の具体的な内容は手順書に落とし込まれているはずです。したがって監査員はその手順書に沿って業務が行われているか確認すれば、法律自体の詳しい知識がなくても、理屈の上では、監査が可能なはずです。ただ、大きな法令変更が手順書に反映されていない場合などには、法律のことをよく知っていないと監査で見落としてしまうかもしれません。そのようなことがないよう、チーム内で専門知識を持つ人のサポートを受けながら監査をするというのが現実的な方法かなと思います。
最後に、前回の監査結果や是正処置の記録を確認します。これは法令・規制の監査に限らず、監査準備全般で重要なポイントです。
法令・規制要求事項の具体的な監査の進め方
続いて、法令・規制要求事項の具体的な監査の進め方を説明します。重要なポイントとしては、ISOの内部監査員は、マネジメントシステムの監査員であり、警察や裁判所、労基署、弁護士のような法の番人・法の執行者ではない、ということですね。マネジメントシステムが法令順守に効果的かどうかを確認するのが主な役割です。
例えば、法令・規制要求事項プロセスが確立され、機能しているかどうかを確認することが該当します。法の特定はどのように行っているかをヒアリングしたり、順守義務一覧表や手順書、教育記録が揃っているかを見たり、順守状況の傾向分析が行われているかなどを確認します。同じように、現場でもシステムの欠陥を見つけるよう監査を行います。具体的には、手順通りに現場で作業が行われているか、関連する記録が作成・保存されているかといった点を確認します。このようなシステム面で欠陥が見つかれば、それは不適合の対象になります。
法律違反をダイレクトに見つけようと躍起になるのではなく、マネジメントシステムの監査の結果として、法律違反が見つかるという監査が望ましいと思います。
法令・規制に対する不適合が内部監査で見つかった場合
法令・規制に対する不適合が見つかったら、内部監査員はどうすればいいでしょうか。
基本的には、法への不適合は、不適合報告書を発行する対象となりますが、例外的に発行が不要なケースもあります。例えば、法令違反状態だけれども、既に是正処置に着手している場合や、産業廃棄物標識の責任者名が消えかかっているといった、軽微で即時修正可能な不適合の場合です。ただしそれでも、是正処置が遅れている場合や、同様の軽微な不適合が複数回発生している場合には、不適合報告書を発行して是正を促すべきですね。
不適合の発行は、法を守っているか違反しているかの単純な二択できめるべきではなく、違反の内容やリスクの程度に応じて適切に判断することが求められています。もちろん、法への違反が明らかなのに、なにかに忖度をして、指摘を「改善の機会」に留めるような対応をするのも不適切です。
内部監査中に他分野の法令要求事項への不適合が偶然に検出された場合
他分野の法令要求事項への不適合が偶然に検出された場合は、どうしたらよいでしょうか。たとえば、品質の監査中に環境や労働安全衛生法令の違反が見つかった場合ですが、内部監査員はこれを無視することはできませんね。監査を受ける側に速やかに報告する必要がありますし、場合によっては監査リーダーを通じて、経営層に知らせなければならないこともあるでしょう。
他分野の法令違反が見つかった場合、それは、品質マネジメントシステムの不適合として指摘するのではなく、「発見事項」というような形で、適切な担当部門に通知し、対応を依頼する形で処理をするのが望ましいでしょう。監査の範囲は、あくまでも品質マネジメントシステムであるため、監査員はその範囲を超えた不適合の指摘を行ってはなりません。
反対に、監査を受ける側として、品質の監査なのに、労働安全衛生法への不適合を指摘される場合があります。あまりにも監査員がそれにこだわる場合には、監査を受ける側としても「いや、それは品質監査の範囲外ですよ」と伝えても問題ありません。