おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
11月18日、NHKは、政府が新型コロナウイルスで厳しい経営が続く中小企業の事業転換を後押しするため、新たな補助金制度を導入することを報じました。報道の内容を解説します。
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『中小企業の事業転換を支援 新たな補助金制度を導入』
報道されている内容で、中心的と思われる部分を下記に引用します。一つの施策として、補助と低利融資が組み合わせられた施策というのは、当社が記憶している限りでは過去になかったのではないかと思います。
政府は、新型コロナの影響で経営が悪化している中小企業が競争力を強化するための事業転換を後押しする新たな支援策を検討しています。具体的には、事業の転換に必要な設備投資などを想定して、新たな補助金の制度を導入するほか、政府系金融機関の「日本政策金融公庫」が資金を融資する際の金利を引き下げる措置を拡充する方針です。
(11月18日 NHK報道より)
無秩序ないわゆる“ばらまき”にならないよう設計中
記事には、この新しい補助金・低利融資制度は、「無秩序ないわゆる"ばらまき"にならないよう、象とする企業の条件や事業転換の内容など、具体的な制度設計を検討」とあります。
おそらく、持続化給付金のような不正受給が横行しないよう、またものづくり補助金のように政策効果があるとは言い切れないような制度にならないような、制度設計を検討しているのだと思われます。この点から見ても、申請するための条件はかなり厳しくなるのではないかと推察できます。
本記事から読み取れることとしては、少なくとも下記の3つを満たすような条件になるのだと考えられます。
- 新型コロナの影響で経営が悪化している中小企業であること
- 競争力を強化するための事業転換であること
- 事業の転換に必要な設備投資をすること
「事業の転換」とは一体何か
では「事業の転換」とは一体何でしょうか。実はこの記事だけではあまり読み取れません。
ヒントの一つとしては、11月18日に行われた「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の内容です。これは、中小企業の経営環境の改善策を官民で話し合う場ですが、この席上ですが首相が次のように発言をしています。
菅義偉首相は席上で「中小企業が中堅企業に成長し、海外で競争できるような企業を増やしていくことが重要だ」と述べ、関係閣僚に支援策の検討加速を指示した。
(11月18日 時事通信より。強調部分は筆者)
また、11月6日の毎日新聞記事でも「中小企業の業態転換支援」を報じています。記事の該当部分を引用します。
新型コロナを機に在宅勤務をはじめとした新たな生活様態が定着するとみて、主に中小企業向けに業態転換の支援制度を策定する。
(11月6日毎日新聞記事より)
11月10日の梶山経産相会見でも「「中小企業の業態転換支援」に触れられています。該当箇所を引用します。
(16:36ごろ)地域の中小企業の経営転換支援や、サプライチェーンの強靭化の実効性の向上と経済構造の転換、イノベーション等による生産性向上等を進め、経済を動かす旨の指示が(筆者注:菅首相より)ありました
(17:40ごろ)また、中小企業においては、やはり今回のコロナで感じていることだと思いますけれども、商売の仕方、ビジネスの仕方がだんだん変わってきた。デジタル化をする中でどういう仕事のあり方があるのか。また、直接対面でやっていたものも、どういうかたちで、これから仕事を順調に続けていくためにはどうしたらいいのか、ということもやはり考えていかなくちゃならない。
簡単なところでは、対面でのアクリル板とかそういうのがありますけれども、それは直接的な物理的な部分ですけれども、ネットを通じてどういうビジネスを組んでいくかとか、またどういう連携を組んでいくかとか、そういう事業の転換ということを含めてしっかりと対応をしてまいりたいと思っています。(11月10日梶山経産相会見より)
これらの過去の記事から推察すると「テレワーク」「非対面型ビジネス」「海外展開」「デジタル化」といったキーワードが浮かび上がってきます。コロナの影響を強く受けた企業のうち、こうした取り組みをする企業に対して、補助金や低利融資で支援をし、しかも数年後には中堅企業(これの定義は不明)への成長可能性がある企業を支援するという内容になるのではないかと思われます。
制度の詳細は来月とりまとめる追加の経済対策で明らかに
NHKの報道では、制度の詳細は来月(12月)にとりまとめられる追加の経済対策で明らかになるとのことです。これは第3次補正予算案と合わせて、12月中旬ごろに内閣府が発表する経済対策のページで公開されると思われます。