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「事業再構築指針」「事業再構築指針の手引き」更新。要件緩和と思うのは早計

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

3月29日、中小企業庁は「事業再構築指針」「事業再構築指針の手引き」を更新しました。それなりの大きな変更です。一部には「要件緩和だ」という声もありますが、緩和と考えるのははやまった考えであり、実質的には同じことを言っていると当社では考えています。

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事業再構築指針「製品等の新規性要件」における変更

まずは「製品等の新規性要件」における変更です。事業再構築指針では、新分野展開、業種転換、事業転換、業態転換(製造業の場合、もしくは非製造業でも設備撤去等を伴わない場合)は、新製品・新商品・新サービスを提供しないといけません。「新製品・新商品・新サービスとは何か」を定めたものが「製品等の新規性要件」です。

ここでは旧指針(1.0版)で「事業を行う中小企業等と競合する事業者の大多数が製造又は提供する製品又は商品若しくはサービスを新たに製造又は提供する場合」が削除され、代わりに「事業者の事業実態に照らして容易に製造又は提供が可能な新製品又は新商品若しくは新サービスを製造又は提供する場合」が追加されました。

「事業者の事業実態に照らして容易に製造又は提供が可能な新製品又は新商品若しくは新サービスを製造又は提供する場合」とは

新しく追加された要件「事業者の事業実態に照らして容易に製造又は提供が可能な新製品又は新商品若しくは新サービスを製造又は提供する場合」から見てみましょう。

指針の手引きでは、この要件についての説明があまりありません。指針の手引P6の④その他の場合で、例が一つ挙げられているだけです。その例も「自動車部品を製造している事業者が、新たに製造が容易なロボット部品を製造する場合」というものであり、あまり具体的なイメージがわきません。何をもって「容易」と言うのかが不明確です。

そもそも「事業者の事業実態に照らして」という修飾文もいまひとつピンときません。大規模会社にとっては容易であっても、小さい会社にとっては容易でないというようなこともあるでしょうから(例えば大規模のコンサル会社にとっては有名一部上場企業にコンサルすることは容易ですが、当社のような一人零細企業にとっては有名一部上場企業向けのコンサルメニューを新サービスとして提供することは容易ではありません)、そうした規模の違いや商圏の違い、立地の違いなどの個々の実態に応じた「容易さ」を考慮しろと言っているのかもしれません。

「容易」とは「競合他社の多くが作っているもの」ではないかという推測

「容易」というキーワードを理解する上でヒントになりそうなことの一つが、なぜもう一つの要件「事業を行う中小企業等と競合する事業者の大多数が~」が削除になったのか、ということでしょう。旧指針の手引1.0版の「事業を行う中小企業等と競合する事業者の大多数が~」の要件解説部分には次のような説明があります。

ここにはハッキリと「競合他社の多くが既に製造等している製品等を、新たに製造等することは容易であると考えられるため」とあります。この要件がなくなり、新たに「事業者の事業実態に照らして容易に製造~」という要件ができたことから推察をすると、この2つの要件は実質的に同じことを言おうとしているのではないかと考えられます。同じどころか、新しい要件のほうが適用範囲が広い(競合が作っていなくても容易にできそうなものも含む)ので、これは実質的に要件が厳しくなったとみることもできます。

申請対策上は、やはり「競合他社の多くが既に製造等している製品であるかどうか」を一つの判断材料にするほうが無難だと当社では考えます。

事業再構築指針「製造方法等の新規性要件」における変更

「製造方法等の新規性要件」における変更です。業態転換(非製造業の場合)では、製品・商品・サービスの製造方法または提供方法を、相当程度変更しないといけません。「相当程度変更する」ということがどういうことかを示した要件がこの「製造方法等の新規性要件」です。

指針本体の「ロ 業態点検の該当要件」の中では、旧指針(1.0版)で見られた「デジタル技術活用要件」が削除され、代わりに「商品・サービスの新規性要件」が追加されました。

デジタル技術は活用しなくてもよい、というわけではないと思われます。指針の手引P21とP22に業態転換の要件を満たす例がありますが、どちらも製造方法等の新規性要件にデジタル技術を活用した例になっています。この例からの逆算による推測ですが、デジタル技術を活用するということは自明のこととして扱うことを期待しているのかもしれません。(この推測については飛躍を大いに含みますのでご注意ください)

「競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと」を削除

そして最後の点が、業態転換における「製造方法等の新規性要件」での変更です。「製造方法等の新規性要件」です。「競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと」が削除され、代わりに「事業者の事業実態に照らして容易に行うことが可能な新たな製造方法等で、製品等を製造等する場合」が追加になりました。

この要件は指針本体にはなく、手引きにだけある要件です。なぜ指針本体にはなく、手引きにだけ書かれているのかは定かではありません。(指針本体に書かれている要件のどれかの解釈という位置づけなのかもしれません)

これも「競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと」が削除されたからといって、要件緩和だと判断するのは早まった考えでしょう。上記で説明した「製品等の新規性要件」と同じで、競合他社の多くが既に行っている製造方法等と同じ方法で、製品等を新たに製造することは容易であると考えられるという前提がありますので、この2つの要件は実質的に同じことを言おうとしているのではないかと考えられます。

以下に、旧指針の手引1.0版の「競合他社の多くが~」の要件解説部分を引用します。

今後も指針本体と指針の手引き、そして公募要領の変更に注意

指針公開から12日で要件変更が行われたわけですが、今後も4月30日の締め切りまでの間に指針本体、指針の手引きが変更される可能性は十分にあります。特に今回の変更では、業態転換の非製造業は「新商品・新サービスの提供か、または設備撤去」のどちらかを選ばなくてはならなくなったので、設備撤去をせずにデジタル化で乗り切ろうとしていたところは対象外になります。

このように、役所による唐突な要件変更によって、対象外になってしまうケースがあります。今後も指針本体、指針の手引きだけではなく公募要領自体にも、対象になるかならないかを左右するほどの変更が行われる可能性があります。必ず最新の情報を確認した上、対応をするように心がけてください。

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