おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金の審査項目は全部で13あります。一つずつ解説をします。今回は再構築点③について解説します。
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事業再構築補助金審査項目 再構築点③
市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。
「市場ニーズや自社の強みを踏まえ」の意味
公募要領P23「10.事業計画作成における注意事項」の「1:補助事業の具体的取組内容」には、次のような記述があります。
現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載してください。
事業計画書の「1:補助事業の具体的取組内容」では、強み・弱み、機会・脅威の分析(いわゆるSWOT分析)をすることが求められています。再構築点③で言及されている「市場ニーズや自社の強み」というのは、このSWOT分析で明らかにした強みと機会のことだと言ってもよいでしょう。したがって、SWOT分析の内容のうち、強みと機会(≒市場のニーズ)を活かした取り組みであるという一貫性が求められます。強みや機会も単に羅列すればよいというものではなく、事業計画で示す取り組みに関連した強み・機会に絞って記述をするほうが望ましいでしょう。
「選択と集中を戦略的に組み合わせ」の意味
企業経営には「選択と集中」が重要だというのは、いろんな書物や経営者向けの会合などでも語られることです。
特に中小企業は大企業とは異なり、持っている経営資源には限りがあります。また、中小企業は大企業のような「規模の経済」(規模が大きくなるほどコストダウンのような経済的なメリットが受けられること)の実現が困難です。したがって中小企業は、コスト競争にのめり込むような戦略や、なんでも手広くやるという総花的な戦略をとるべきではなく、「差別化戦略」や「集中戦略」が望ましいと言われています(ちょっとむずかしい考えですが、これはマイケル・ポーターの「3 つの基本戦略」と呼ばれる考え方です)。経営資源の乏しい中小企業は特に、自社の得意分野に対して経営資源を集中投下することがよいとされています。
「選択と集中」の特に有名な事例としては、ゼネラル・エレクトリック社(GE)のジャック・ウェルチ氏の経営手法が有名ですね。(ウェルチが行った「選択と集中」についてはいろんな説があります。お手すきならば当社が過去に書いたブログをご笑覧ください)
おそらく再構築点③「選択と集中」も、このようなイメージで、自社の得意分野、コロナ禍においても伸びそうな分野(それでいて自社の強みを生かせる分野)に経営資源を集中的に投下するような取り組みであるかどうかを問うているのだと考えられます。しかし「選択と集中を戦略的に組合せ」というのはちょっと意味がわかりませんね。そもそも「何を選択して何に集中するか」と決めること自体が戦略だと言えますし、これを「組み合わせる」というのはどういうことか(何と何を組み合わせようというのか)、当社の頭では全く理解ができません。
ここではあまり深く考えずに「選択と集中をする」という程度に理解をしておきたいと思います。もし「お前はこんなこともわからないのか。選択と集中を戦略的に組み合わせるとはこういう意味だ」と説明をしてくださる方がいれば、遠慮なく当社の問い合わせフォームを通じて教えて下さい。歓迎します。
「リソースの最適化を図る取組」の意味
「リソース」というのは経営資源のことで、ヒト・モノ・カネ・情報・ノウハウなどのことを一般的には指します。この最適化を図るというのはどういう意味でしょうか。
いろんな意味があるとは思いますが、例えばコロナの影響を大きく受けてしまった飲食事業の人員を、新規事業であるキッチンカー事業へと異動させる、ということも、ヒトに関する最適化だと考えられます。この前段にある「選択と集中を戦略的に組合せ」というフレーズとのつながりで見ると、選択し集中する分野しようとしているヒトやモノやカネも集めるような取り組みになっているか、ということなのかもしれません。
事業再構築指針に関連して言うと、業態転換における設備撤去要件などのことをイメージしているのかもしれません。今の事業を縮小したり撤退して、新しいことにリソースを集中投下するというような取り組みであれば、この再構築点③の評価が高くなるのかもしれません。
ただし業態転換でなくても、この補助金は「コロナで売上が下がっている」というのが大前提になっていますから、コロナで売上が下がっている事業からヒト・モノ・カネ等を新しい分野に投下するというような趣旨のことを、事業計画書のどこかで言及することが望ましいのかもしれません。