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ジャック・ウェルチ氏死去。今考える「選択と集中」の意義

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

GE社のCEOを長年つとめ、「経営者の手本」とみなされていたジャック・ウェルチ氏がなくなりました。日本では「選択と集中」という経営方針でおなじみですね。よい機会なので「選択と集中」という戦略について、思うところを書いてみたいと思います。

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そもそもウェルチは「選択と集中」なんて言っていない?

ダイヤモンド・オンライン編集部の下記の記事では、「選択と集中は誤訳だ」と言っています。該当部分を引用しましょう。

 そもそも、ゼネラル・エレクトリック(GE)のCEOに君臨したカリスマ経営者、ジャック・ウェルチの著書により「選択と集中」という言葉が日本でも一気に広がったのですが、彼はそんなことは言っていません。「フォーカス」、つまり「焦点を当てろ」と言っただけであって、「新しいことをやるな」などと言ったことはないんです。

事実、ウェルチはCEOを務めた20年間で、1000もの事業を買収したり、新しく始めたりしています。一方で、やめたのはわずか70程度。実は、ものすごい数の新規事業を手掛け、多角化を図ったんですよ。

だから多角化を否定してもいないし、リストラを推進したわけでもなかった。にもかかわらず、日本では誤訳され、過度な減量経営に突き進んでしまったという不幸な歴史をたどることになったのです。

「誤訳だ」と言い切れるかどうかは微妙なところではありますが、ウェルチが多角化を進めていたのは事実ですね。ご存知の通り、GEは金融ビジネスにシフトしながらも、アメリカの3大テレビ局であるNBCを買収しています。

「選択と集中」というと、自社のコア・コンピタンスに特化するという印象もありますが、ウェルチは「儲かるものは何でもやる」というスタンスで多角化を図るという意味で「選択と集中」をしたのではないかという印象を僕は個人的に持っています。(だって当時、製造業のGEに、金融やマスコミ業に関するコアコンピタンスなんてなかったでしょうしね)

多角化は結果であり、ウェルチが目指した改革の本丸は「官僚的組織」の解体ではないか

このあたりからもっと個人的な勝手な考察となりますが、ウェルチはただ単に「儲かりそうな金融ビジネス」に手を出したわけではないと思っています。彼が目指した改革の本丸は「官僚的組織」の解体にあったのではないかと思います。

ウェルチは1960年にGE社に入社をしましたが、翌年に退社しようとしています。昇給に不満があったことと、GE社内の官僚的な組織に不満があったからだと言われています。ウェルチは、当時の経営者であるルーベン・ガトフによってGEに留まるよう説得されたのですが、ガトフはウェルチが望んでいる「小さな組織」の雰囲気を作り出すようにするからと、ウェルチに約束をしたというエピソードがあります。

ウェルチはGEのCEOになってから"bounderyless"(境界のない組織)という考えの浸透につとめました。部門間の壁を取り除き、組織の内外から良いアイデアを見つけ、それを社内で共有するというのが"bounderyless"の定義です。官僚制とは真逆の組織の形ですよね。ウェルチ時代の有名なエピソードとして、毎年下位10%のマネージャーを解雇したり、マネージャーを未経験のビジネス分野に異動させて能力を試したりという荒療治を行っています。これは管理職を固定することが「境界」を作ってしまうことにつながるので、それを防ぐための一環だったのではないかと思えるんですよね。僕の主観ですが、単なるリストラ(レイオフの意味)であったという気がしません。

こうして組織に流動性を保つことと、複合企業としての多角化、新規事業(金融ビジネス等)への参入というのは、どうも表裏一体のような気がします。

金融ビジネスに「選択と集中」して、GEはどうなったのか

確かに「選択と集中」をして、GEの株価は約30倍にまで引き上げられました。しかし経営は長い目で見なければなりません。GEは金融ビジネスに、そして製造分野においては航空機エンジン産業にシフトしたわけですが、2001年の同時多発テロの影響ではエンジン事業が失速。2008年のリーマンショックでは金融事業に巨額の損失が発生しました。

金融ビジネスの主力企業であるGEキャピタルは、リーマンショック後に同社の債務に対し600億ドルに上る政府保証を受けたり、著名な投資家のウォーレン・バフェットが救済のために立ち上がり、30億ドルの資金を供給することとなりました。そして2015年にはGEキャピタル事業からの撤退を表明しています。

リーマンショックで金融業界が全般的に打撃を受けたのは事実ですが、最終的に撤退まで追い込まれたことは「金融サービスにおいてGEには何ら競争上の強みがないことが露呈したからだ」と述べる専門家もいます(ニューヨーク大学経営大学院のアスワス・ダモダラン教授)。これもウェルチの言葉とされる有名なフレーズですが「世界で1位か2位になれる事業だけに注力する」という「選択と集中」が、キャッシュカウであった金融ビジネス部門においては実は機能していなかった可能性が垣間見えます。

金融ビジネスで株価が30倍になったことで、GEが金融ビジネスに助けられたのは事実ではありますが、同時に「選択と集中」によってGEキャピタルに頼りすぎな状況が生まれてしまい、裏目に出たとも言えるのではないかと思います。

「選択と集中」を教訓にしすぎない。あくまでもこれは「GEの戦略」である

これも僕の勝手な憶測なんでしょうが、日本の経営者には「選択と集中」というフレーズだけが一人歩きをして、無批判に受け入れられているような気がしています(本当にウェルチが「選択と集中」という戦略をとったのかという疑問も残されていますけどね)。

念頭においておきたいのは、80年代当初のGEという米国の巨大企業であったから「選択と集中」という戦略が機能したのだ、ということです。第2次産業から第3次産業へと移行する時期であったでしょうし、当時は日本の製造業が世界を席捲していました。こういった外部の課題や、「官僚的組織」という内部の課題を鑑みて、金融ビジネスにシフトをするという選択を、GEはしたのです。

この限られた事例の、短期間の業績向上をもって「『選択と集中』が経営のセオリーである」と判断するのは早計だと思います。間違った戦略だと言うつもりもありませんが、あの時のGEであったから作用した戦略であったし、それも永続的な成長を約束する戦略ではなかったということは理解すべきでしょう。

「選択と集中」は一つの選択肢にすぎないと念頭におきながら、いまここで、他でもない我が社には、どういう戦略が最適なのかということは、個々の事情において、経営者が個別に向かい合わなければならず、一概に「選択と集中だからよい」ということはないということを忘れてはならないと思います。

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