おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO9001:2015各箇条解説シリーズ、今日は箇条9.3「マネジメントレビュー」について、何回かにわけて解説をします。2回目の今回は9.3.3の規格要求事項の解説を中心にお話します。
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9.3.3 「マネジメントレビューからのアウトプット」
アウトプットに関する規格要求事項を見ていきましょう。これはインプットを受けて、今後どうしていくかというアクションプランを経営者が判断する部分です。
a)は改善の機会です。いろんなインプットを受けて、プロセスの改善についてトップが判断をします。ここの作業方法をこう変えようとか、ここのプロセスの設備を変えよう、みたいな判断ですね。または製品・サービス自体の改善もありうるでしょう。材料が高騰しているので、この製品のこの材料は変えようとか、この部分の設計を変えよう、みたいな判断ですね。
b)は品質マネジメントシステムのあらゆる変更の必要性です。これは、個々の製品やプロセスに対する改善ではなく、全社的な課題に対する改善のようなものですね。品質目標や品質方針を変えようという判断だったり、今後は新入社員教育でこういうことも教えていこうとか、力量の評価方法はもっとこうしよう、みたいなイメージでしょうかね。
そして最後がc)資源の必要性です。改善するには資源が必要です。新しく人を雇うとか、新しい設備を買うとか、そういった判断をします。
以上がアウトプットですね。ここのアウトプットを受け、品質マネジメントシステムをもっといいものに改善していくわけですね。場合によっては、品質マネジメントシステムだけではなく、会社全体の中期経営計画や年度計画、収益計画のようなものも見直す必要が出てくるでしょう。そうして改善した結果どうなったかを、次回のマネジメントレビューで確認をする…というようなサイクルになっていきます。
このように、マネジメントレビューはインプットを受けたトップがアウトプットをする、という、双方向のプロセスになっていることがわかります。
マネジメントレビューの結果の証拠
また箇条9.3.3では、「マネジメントレビューの結果の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。」と規格には書いています。これがいいかどうかは企業によりますが、一般的な話をすると、マネジメントレビューの議事録と言う形で記録をとることが多いように思います。
このとき、議事録のフォーマットに、規格が要求するインプット項目とアウトプット項目をもれなく書いておき、それについて話し合った内容を書く、というような形式にしておくと、話し合うべきインプットとアウトプットに漏れや抜けがなくなるでしょう。
あらかじめ断っておきますが、規格がこういう議事録を作れと要求しているわけではありません。マネジメントレビューの結果の証拠は、プレゼンテーション資料やグラフやチャートなどの分析資料など、多様なフォーマットであると考えられます。わざわざマネジメントレビューのためだけに様式を新たに作る必要もありません。いまの経営管理で使っている文書や議事録などを活用して、結果の証拠を残せないかを検討するのがよいでしょう。