おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
12月14日、中小企業庁は「事業再構築補助⾦令和4年度第⼆次補正予算の概要」という資料を公開しました。来年(2023年)からの事業再構築補助金に関する詳細がこの資料に記されています。2回にわたって資料を完全解説します。(2回連載中の2回目)
スポンサーリンク
前回の記事はこちら
-
2023年事業再構築補助金についての続報(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 12月14日、中小企業庁は「事業再構築補助⾦令和4年度第⼆次補正予算の概要」という資料を公開しました。来年(2023年)からの事業再構 ...
続きを見る
中小企業庁資料「事業再構築補助⾦令和4年度第⼆次補正予算の概要」はこちら
2023年事業再構築補助金「4.産業構造転換枠の創設」(P10)
新しい申込みプランである「産業構造転換枠」の説明です。冒頭に「国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対して…」とありますから、衰退産業から新しい成長産業に事業再構築する企業が申請可能な類型だと思われます。一般的に想像される衰退産業とは、出版・印刷業界やアパレル業界などが思い浮かびます。
「産業構造転換枠」では、売上減少要件はありませんが、付加価値額が年率平均3%以上増加することに加え、①市場規模が10%以上縮小する業種・業態であること(基本的には事務局が指定した業種・業態)か、または、②地域の大企業などが撤退して、その地方の経済がヤバいところの企業であることのどちらかを満たさないといけないようです。②の要件も、自治体が資料を作成して、事務局が認めた地域でないとダメのようです。最近のニュースでいうと、エネオスの和歌山精油所が2023年に閉鎖になるというニュースがありましたが、お膝元である和歌山県有田市では、市内の製造品出荷額の9割以上が消失する見込みだそうです。こうした地域が対象になるのだろうと思われます。したがって「産業構造転換枠」では、廃業も視野にいれた事業再構築が求められるようで、廃業を伴う場合には廃業費が最大で2,000万円上乗せされます。
付加価値額が年率平均3%以上増加する事業計画を求めていることから、こうした危機に直面した業界の企業が、IT業界や半導体業界、EC業界などの成長産業に事業再構築するようなケースを想定した申請類型と思われます。一般論としては結構無理がある転換なので、本当にそうした転換ができる裏付けがあるか(つまり成長産業でも活用できる強みがあるか)ということをしっかりと事業計画で述べないといけないでしょう。衰退産業が衰退産業で新規事業をするようなケース(例えば印刷業界でオフセット印刷中心の企業が、デジタルオンデマンド機を導入する)みたいなものは「産業構造の転換」とまでは言い難いので、対象外かもしくは評価されない可能性が濃厚だと思います。印刷業を例にあげるとすれば、印刷業自体をすっぱりやめて、Webや紙媒体のデザイン専門会社になるとか、ECサイト構築業者になる、みたいなケースが想定されているのだと当社では考えます。
2023年事業再構築補助金「5.サプライチェーン強靱化枠の創設」(P11)
新しい申込みプランである「サプライチェーン強靱化枠」の説明です。冒頭の一文にあるように、製造業専用の申込みプランです。海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に取り組む製造業が対象です。
この申込プランも売上減少要件はありません。付加価値額が年率平均5%以上増加することに加え、①製造拠点を国内回帰すること、②取引先からの国内での増産要請があること、③市場規模が10%以上縮小する業種・業態であること、④賃上げをすること、というかなり狭い範囲を対象としている申込みプランです。
「製造拠点を国内回帰すること」という要件を素直に読むと、現在、海外工場を所有していて、その海外工場での生産を国内生産に切り替えるということをイメージしているようにも思えますがどうでしょうか(でもそれだと、製品の新規性要件を満たさないのではないかという気もしますが)。それに「取引先からの国内での増産要請があること」という要件を充足していることを示すためには、取引先からの要請文書のような具体的な証拠を見せる必要があるのではないかと思います。
かなり対象範囲が狭いので、なにか特定の業種や特定の企業系列を狙い撃ちした類型ではないかという邪推もしたくなります。
なお、この資料にだけ「制度の詳細は検討中」と赤字で書いていますので、要件等は変更や追加があるかもしれません。
2023年事業再構築補助金「6.業況が厳しい事業者への⽀援」(P12~P13)
物価高騰対策・再生応援枠の説明です。これは従来の「回復・再生応援枠」「緊急対策枠」の流れを引き継ぐ申込みプランです。従来プランと比べて、補助率は下がっていますが、補助上限額は上がっています。基本的には従来どおり、売上が下がっていることか、再生計画を策定していることが要件です。
つづいては最低賃金枠の説明です。これは従来の申込みプランと変わりがありません。
2023年事業再構築補助金「7.⼀部申請類型における複数回採択」(P14)
続いての変更点です。事業再構築補助⾦では、原則として、1事業者につき採択は1回に限っていますが、グリーン成⻑枠と産業構造転換枠、サプライチェーン強靭化枠については、過去に採択された事業者であっても、再度申請し採択されることが可能です。
ただし2回めの申請にあたる事業者は、追加の説明資料の提出が求められる他、減点対象になります。
2023年事業再構築補助金「8.スケジュール」(P15)
最後は、今後の公募スケジュールです。
まず、現行の予算での第9回公募が急遽決まりました。10月3日に公開された第8回公募要領1.0版では、次回の公募については一言も触れられていませんでしたので、現行予算で第9回公募が行われるというは想定外のアナウンスでした。邪推ですが、おそらく現行予算が余っているのだと思います。
そして新しい予算(令和4年度第二次補正予算)での公募は、2023年の3月下旬頃に公募開始予定です。というわけで、これまで説明してきた新しい申込みプランや新しい要件は、2023年3月下旬から適用になると思われます。