おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO14001:2015年版各箇条解説シリーズ、今日は箇条8.2の「緊急事態への準備及び対応」について解説します。この箇条8.2は、緊急事態とは具体的にはどういうものなのかという説明も含めて解説します。
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ISO14001:2015 8.2 「緊急事態」に備えるのは結局は自社のため(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO14001:2015年版各箇条解説シリーズ、今日は箇条8.2の「緊急事態への準備及び対応」について解説します。この箇条8.2は、 ...
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箇条8.2の規格要求事項(準備段階)
では箇条8.2の規格要求事項を見ていきましょう。これが規格要求事項ですが、わかりやすいように図を使って説明をしますね。箇条8.2はこんな感じの流れになっていると考えるとわかりやすいです。
まず「うちにはこんな緊急事態が起きそうだなあ」という特定は箇条6.1.1でやりました。ここでは火事を潜在的な緊急事態だと特定したとして、例を進めていきましょう。
火事に対して、準備をするのがa)です。具体的には消防計画のようなものを立てますね。火事が起きたらどうするのか、誰がどこへ連絡をするのか、どうやって避難してどこで集合して点呼を取るか、みたいな計画ですね。火事が起きたときの計画だけではなく、火事が起きないような準備や、火事が起きても対処するための準備もあります。例えば火の元の周りにモノを置かないとか、消火器やスプリンクラーの点検などですね。
箇条8.2の規格要求事項(緊急自体発生時)
そしてここからルートが2つに分かれます。まず赤のルートですが、これは実際に緊急事態…ここでは火災が起きた時のルートです。
b)では緊急事態へ対応します。計画に従って避難するとか、消防に連絡するとかですかね。
そして「緊急事態及びその潜在的な環境影響の大きさに応じて」という条件付きですが、c)で緩和の措置とります。緩和というのは「物事の状態のきびしさや激しさの程度をやわらげたり、ゆるめたりすること」ですから、火事の場合は、火の勢いを和らげること、つまり消火活動だと思えば良いでしょう。
箇条8.2の規格要求事項(平時)
続いては下のルート、平時のルートを説明します。
平時のルートでは、a)で準備をしたら、その計画に従ってc)で防止の措置をとります。火事が起きないような準備や、火事が起きても対処するための準備を実行するということです。
そして実行可能な場合にはという条件つきですが、d)では計画した対応処置を定期的にテストします。ここでいうテストは、「火事が起きた場合の机上のシミュレーション」なども含みます。
そしてe)では、緊急事態発生ルートと平時のルートが合流します。起きてしまった事故や、シミュレーションの結果などを見て、こういう準備や対処の方法でよいのかをレビューし、改訂をします。レビューの時期は定期的か、もしくは事故やテストの後ですね。検討の結果、改訂は必要ないという結論に至る場合もあるかもしれません。
そして最後のf)は、この緊急事態のプロセスの全体に言えることですが、消防計画やテスト結果などの情報を、社内の人、場合によっては出入りの業者や近隣住民などに伝えます。そして教育訓練では、例えば初期消火のために消火器を使う訓練をします。訓練をしておかないと、いきなり消火器を使うのは難しいからですね。
この図でいうところの、d)のテストや、f)の教育訓練を見て、「避難訓練が必要だ」と誤解をしているケースがまずまず見られます。ただ、ISOの規格としては、避難訓練をやりなさいとは言っていないんですよね。もちろん避難訓練は必要ならばやるべきですが、絶対にやらないといけないわけではないというのは理解をしてください。
そしてd)のテストと、f)の訓練も異なることを覚えておいてくださいね。d)のテストは、そのあとに、処置の評価につながってきますが、訓練はただ純粋に訓練をするということですね。
そして最後、必要な程度の文書化した情報の維持をしなさいということです。まあこれは一般論ですが、緊急事態が起きた時に参考にするべき情報は、文書にしておいたほうがいいんでしょうね。イメージとしては緊急時の連絡網とか、避難経路とか、機器の緊急停止手順みたいなものですかね。
箇条8.2は「BCP」(事業継続計画)にもつながる
なんのために緊急事態の準備をしないといけないのか?というと、何か起きてしまったとしても、会社の損害を最小限にとどめながら、仕事を継続したり、早く復旧したりするためなんですよね。緊急事態は突然発生しますから、有効な手を打てなければ、最悪の場合、廃業に追い込まれてしまいかねません。そうならないように備えておきましょう、結局は自社のためなんですよ、ということですね。
この箇条8.2は、いわゆる「BCP」(事業継続計画)にもつながっていく話です。