おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
内部監査レベルアップ講座、今回は内部コミュニケーションについて解説します。不良の発生や法令違反など、不適合の原因を辿っていくと、かなりの確率で内部コミュニケーションの不具合にたどり着くのではないかと思います。不適合の根本原因筆頭候補ともいえる内部コミュニケーションについて、内部監査でどうやって改善の機会を見つけるかを解説をします。第1回目は「内部コミュニケーションとは何か」を説明します。
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「内部コミュニケーション」とは何か?
まずは「内部コミュニケーション」とは、具体的にどういうものを指しているのかをと理解したいと思います。一般的な企業における内部コミュニケーションの例としては、まず会議・ミーティングがあります。それだけではなく、朝礼や夕礼などもそうでしょうし、メールで連絡事項を送ることも内部コミュニケーションです。掲示板も内部コミュニケーションの場だと言えますし、社内報などを作って情報共有やコミュニケーションの促進をするケースもあります。社内研修や社内セミナーなどもそうでしょう。
もちろん、ここに書いている以外にも、内部コミュニケーションの具体的な取り組みはいろいろあると思いますが、まあどこの会社でも、ISOをやるやらないに関わらず、普通にやっていることばかりだと思います。
内部コミュニケーションはなぜ必要か?
普通にやっていることなのに、なぜISOの規格は、わざわざ内部コミュニケーションを要求しているのでしょうか。その理由は、もし内部コミュニケーションに問題があると、悪い影響があるかも知れないからですね。
例えば、ある組立作業に関して、新しい作業手順書が作られたとします。その新しい作業手順書は、ミーティングとか朝礼とか、またはメールや社内講習会などのコミュニケーションの場を通じて、作業者に伝えられなければなりませんよね。そうでなければ、現場の作業者は、古い方法で部品を組み立ててしまい、それが原因で不具合が生じる可能性があります。 これは、コミュニケーションが行き届かなかった場合に、品質上のトラブルが起きる最もわかりやすい例です。
もう少しリアルな例を挙げましょう。よく上司が「あれやっといてね、よろしく!」みたいな曖昧な指示を出すことがあるじゃないですか。曖昧な指示を受けた部下は、頭の中がハテナでいっぱいになるわけです。上司からの指示やフィードバックが不明確だと、部下が混乱したり不安な気持ちになったりして、結果としてモチベーションがさがるというのは、皆さんが想像しやすい状況だと思います。上司がこういう雑なコミュニケーションをやっていると、どんなに素晴らしい品質目標や環境目標を立てたとしても、その目標に積極的に取り組もうという気持ちにはなりません。伝わらなければ意味がないどころか、かえって害悪になることすらあるのですよね。
じゃあ上司がしっかりと伝えればいいのだな、と思うでしょうが、実際の職場ではそれさえもうまくいかない場合があります。特に優秀と言われる部下などにありがちですが、自分の判断に自信があって、過度に他人から干渉されることを嫌う人もいます。自分を過信している人とのコミュニケーションは、上司としても頭の痛いところです。自分を過信している人は、トラブルが起きるまで自分の見落としに気づかないこともよくあるので、こういうケースこそ、まずいことが起きがちですよね。じゃあコミュニケーションを諦めるか?というとそうではなく、例えば社内の失敗事例や過去トラなどを蓄積して、そして共有するような場を作れば、こうした優秀な人は自分で学んでいく可能性もあるわけです。上司はただ単に言ってきかせればよいというのではなく、最適なコミュニケーション方法を選択して、それを実行していくことが求められているわけです。
例をもう一つ挙げてみましょう。3つの工程A、B、Cから成る生産ラインがあるとします。工程Aは1時間に10個、工程Bは1時間に5個、工程Cは1時間に10個の生産ができます。この場合、工程Bが最も生産能力が低くて、ボトルネックになっていますよね。工程AやCの能力を向上させても、全体の生産能力は変わりません。にもかかわらず、「ISOで決まっているから」という理由で、工程AやCの生産能力改善に努力しようとするような会社が時々あります。このような会社は、全体最適の視点を欠いています。なぜ全体最適の視点がないかというと、内部コミュニケーションが足りないからです。理想としては、工場長と各工程の責任者が集まり、どの部分の改善が全体に最も効果的かを話し合わないといけません。話し合いがないから、自分のところしか関心がわかないわけですよね。というように内部コミュニケーションの不足や不具合が原因となって、組織に悪影響を及ぼすというのは、よくあることです。だから内部コミュニケーションはしっかりやらないといけないのだ、ということです。