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自民党提言から見る 今年の「総合経済対策」における中小企業政策の可能性

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

10月17日、自民党政務調査会は、10月に政府が策定予定の「新たな経済対策」に向けての提言を行いました。与党の提言であるため、この内容が今年の経済対策として採用される可能性は高いと言えます。自民党が、この提言の中で、どのような中小企業政策を提言をしたのかを解説します。

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自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」はこちら

[財政金融部会の提言] 賃上げに取り組む中小企業に対し、金利の低減措置を導入

見出しの通りですが、賃上げに取り組む中小企業に対し、金利の低減措置を導入することを、自民党は提言をしています。

その他、賃上げを促すために提言をした施策は下記の通りです。ところでここに、日本酒の輸出に関する提言が2つあります。なぜ日本酒の輸出が財政金融部会の提言に?と思いますが、国税庁も以前から、日本酒の輸出支援の取組をやっています(輸出免税などに関することだと思います)。そうした取組を継続するということでしょう。成果がどのくらい出ているのかは知りませんが。

  • インボイス制度の円滑な制度定着に向けて、関係府省庁との連携の下で取組みを推進。相談支援体制を拡充するとともに、事業者への各種支援措置等の周知や広く一般に制度の理解を促すための広報活動等を強化。
  • 日本産酒類の輸出促進のため、日本産農林水産物・食品等の輸出拡大の取組みとの連携を図りつつ、日本産酒類の需要開拓と販路拡大に取り組む。新たな市場獲得に向けたアクションプランの策定を行うとともに、酒類事業者が行う海外進出の取組みを支援。
  • 日本産酒類の競争力強化に資する研究等の実施環境を早期に改善するため、酒類総合研究所の機能強化を実施。
  • 地域経済活性化支援機構において、事業再生支援に関する知見等を、研修等を通じて地域金融機関に展開。また、同機構が整備する人材プラットフォーム(レビキャリ)を活用し、地域金融機関の人材紹介の取組みを促進。

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p13より)

[厚生労働部会の提言] 労働市場改革の推進等

厚生労働部会の提言として、以下のような提言がありました。このあたりはぼくの専門外なので、迂闊なコメントは差し控えたいと思います。

  • 事業再構築等に必要な人材確保の強化を図るため、産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)の見直しを行う。
  • 非正規雇用労働者等のキャリアアップに効果的な職業訓練の検証を行うため、非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業(仮称)を実施する。
  • デジタル推進人材の育成のため、公的職業訓練のデジタル分野への重点化や、訓練修了生等への「実践の場」の提供を行う。
  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)を拡充し、非正規雇用労働者の更なる正社員化や多様な正社員制度の活用により正社員化を促進する。
  • 最低賃金の引上げに向けた対応として、中小企業の生産性向上に向けて、業務改善助成金による支援を充実する。

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p19より)

[経済産業部会の提言] エネルギー価格高への対応と脱炭素成長型経済構造への移行

経済産業部会の提言の1つ目は、省エネ関係の提言です。下記の通りの記述がありますが、要は「省エネ補助金」と「省エネ診断」の継続でしょう。(省エネ補助金の一部の類型については、今年度から複数年にわたる事業が可能になっています)

また、エネルギーコスト高に強い経済構造へ転換するため、規制・支援一体型の考え方の下、企業における省エネ型設備への更新に対する複数年度にわたる支援の強化、中小企業向けの省エネ診断を推進するとともに…(後略)

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p26より)

[経済産業部会の提言] 中小・中堅企業、地方の持続的賃上げ、所得向上、人手不足等への対応

ここは、複数の提言があります。一つ一つ見ていきましょう。

まず以下は、先に報じられた「省人化・省力化補助金(仮称)」に関する記述でしょう。提言ではありますが、10月17日の日経の記事によると、すでに経産省と財務省とで調整が行われているとのことです。「中小企業が取り組みやすいよう簡素なカタログ型支援や個々の事業者のビジネスプロセスに応じた導入支援を行う。」というのは、何のことだかよくわかりませんが、おそらくIT導入補助金のような仕組みになるのだと推察されます。

地方における良質な雇用の拡大、持続的な賃上げにつながる、中小・中堅企業の人手不足を補う設備投資(省人化・省力化)推進について、特に成長力の高い中堅企業による大規模な設備投資等をしっかりと支援するとともに、中小企業が取り組みやすいよう簡素なカタログ型支援や個々の事業者のビジネスプロセスに応じた導入支援を行う。

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p26より)

下記の一文はまとめて解説しましょう。経営資源集約化税制、事業再構築補助金、生産性革命推進事業(ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金・IT導入補助金・事業承継補助金)、事業承継税制などの、これまでの施策を継続しようという提言と思われます。最後の「荷主企業の物流施設の自動化・機械化を推進する。」というのは、おそらく、今年10月に閣議決定された「物流革新緊急パッケージ」に関する何らかの施策が打ち出されるのではないかと思います。

また、中小・中堅企業の事業拡大を加速するためのM&Aに対する税制を含めた支援措置の検討や、事業再構築等支援(サプライチェーンの強靱化等を含む)、生産性革命推進事業を通じた生産性向上の支援を行うとともに、事業承継税制について、円滑な事業承継の実施のため、特例承継計画の提出期限の延長等を検討する。更に、物流の「2024 年問題」への対応に向け、荷主企業の物流施設の自動化・機械化を推進する。

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p26より)

次に、賃上げ税制についてです。賃上げ税制は、財務省、経済産業省も、これまでの対策に「効果があったとはいえない」と言っています(10/15日経記事より)。というのも、賃上げ税制は、納めるべき法人税から差し引く形式のため、黒字の企業にしか効果がありません。そこで、令和6年度の税制改正要望では、繰越控除措置の創設が要望されました。控除措置とは、簡単に言えば、賃上げを実施した年が赤字であっても、その年以降に黒字になったタイミングで、法人税から差し引くことができるようになる、というものです。ただ、こうした措置が新たにとられたとしても、赤字で賃上げをする企業がどれくらいあるかは疑問でしょう。

賃上げ税制について、租特の延長期間の在り方や赤字等の中小企業等の賃上げ後押しに向けた繰越控除措置の創設等、減税措置の強化を検討する。

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p27より)

以下もこれまでの施策の継続っぽいですね。提言といっても、これまでの施策を続けますと言っているのばかりですよね。(効果の検証はちゃんとやっているのだろうか)

円安を逆手に「新規輸出1万者支援プログラム」を着実に推進する。事業承継・事業再生・廃業等に係る相談体制の強化、インボイス制度導入のきめ細かな支援を行う。

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p27より)

[環境部会の提言] 地域・くらしのGXを通じた物価高対策・国内投資促進

環境部会の提言です。これは経済産業部会でも提言されていた省エネ補助金のことではないかと思いますが、どうでしょうかね。

地域脱炭素推進交付金等による地域脱炭素に取り組む自治体への支援、初期費用ゼロでの自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入促進、中小企業等の工場・事業場における省エネ対策…(後略)

(自民党「新たな総合経済対策策定に向けた提言」p31より)

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