おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 箇条4.4「労働安全衛生マネジメントシステム」の解説(続き)です。前回「マネジメントシステム」とは何かを説明したことを踏まえ、ISO45001の定める「労働安全衛生マネジメントシステム」を順を追って説明します。
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ISO45001:2018 4.4 労働安全衛生マネジメントシステムってそもそも何のこと?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018 箇条4.4「労働安全衛生マネジメントシステム」について解説をします。初回の今回はそもそも「マネジメントシス ...
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ISOが定める「マネジメントシステム」とはどういうものか?
ISOが定めている「マネジメントシステムのお手本」とはどういうものでしょうか。身近な例としてわかりやすいように、料理に例えて説明をしてみます。
まず、ISOは「今の状況を確認し、周りの期待を把握する」ことから始めろと言っています(箇条4)。たとえば、「最近太ってきたな」とか「医者に痩せるよう言われた」みたいに、自分の状況や周りの声に耳を傾けるんですね。
次に、「これからどうするかの方針」を立てます(箇条5)。例えば、「健康的な料理を作ろう」と決めるようなものです。
でも、ただ決心するだけじゃなく、具体的に計画を立てます。まずは「問題の事前洗い出し」をやりなさいと言っています(箇条6)。料理をする上で、こうなったら嫌だなという将来の出来事を考えます。「自炊に時間を取られて、会社に遅刻したら嫌だな…」という、将来起こるかもしれない問題が明らかになりました。そうした問題が起きないようにするために「毎回30分以内に作るようにしよう」という目標を作りました(箇条6)。
さらに、計画を実現するために必要なもの(新しい電子レンジなど)や知識(操作方法)を準備します(箇条7)。
準備をしたら、具体的なやり方を決めて、実行しなさいとISOは言っています(箇条8)。レンジを使った調理のやり方の流れを考えます。レシピごとに、何ワットで何分レンチンするかという注意点も、あらかじめ決めておきます。
計画に取り組んだあとは、振り返りなさいとISOは言っています(箇条9)。できた料理を食べたところ、炊飯器の設定をミスってしまったのか、ご飯がやわらかすぎてしまいました。
問題があったら、改善をしなさいとISOは言っています(箇条10)。今回、ご飯がやわらかすぎたのは、ご飯を炊く水の量に問題があったので、水の量について新しい基準を作りました。こうして、健康によい自炊を、30分以内にするという目標が達成できました。
今の説明を図にすると、以下のようなイメージになります。
何か料理を作るときは、ただなんとなく切ったり煮たり焼いたりしても、うまくいくとは限りません。うまくいくためには、自分の状況や周りの声に耳を傾けた上で、方針や目標を決める必要があります。さらには、起きそうな問題も考えて、先回りして手を打つ必要もあります。こうしたプロセスを、ここでは「管理のプロセス」と呼んで、青い箱で示しています。そのうえで、料理の各プロセス、たとえば切る、焼く、炊飯器でご飯を炊く、レンチンするとかを、どういう順番でやるか、どういう点に注意するかという、料理のプロセス(緑の箱)もあらかじめ決めておきます。
料理のプロセスも、管理のプロセスも、バラバラにやっているわけじゃなくて、全部がつながっているのがポイントです。材料を切ったらそれで終わりじゃなくて、切ったものを、煮たり焼いたりレンチンしたりすることにつながっています。全部がつながって、うまくいけば最高の料理ができます。でも、どれか一つでも失敗すると、せっかくの料理がダメになっちゃうこともあります。だから、それぞれのプロセスは、しっかりと慎重に、気を配って取り組まなければなりません。
こうしたプロセスの集まりと、それぞれのつながりのことが「マネジメントシステム」であり、そのお手本を、上記のようなものとしてISOが示しています。この「マネジメントシステム」があるから、料理は美味しくできるし、早くできるし、起きそうな問題を先回りして回避できるんですね。
ISO45001の「労働安全衛生マネジメントシステム」とは何か
そしてようやく本題ですが、ISO45001のマネジメントシステムも、先程の料理のマネジメントシステムと同じような形をしています。青い箱には4.1とか4.2とか番号がついていますが、これが規格に書いている箇条番号です。また緑の箱は、安全で健康的な職場を作るために、実際に現場で行うことです。
この青い箱と緑の箱をプロセスと呼びますが、これがあたかも一つのまとまりのようにお互いつながりあって、安全で健康的な職場を作るという目的に向かっていく、というわけです。