おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
12月6日、中小企業庁は、「令和5年度ものづくり・商業・サービス補助金の概要について」という資料を公開しました。2024年に実施されるものづくり補助金の概要と、これまでとの違いを概説します。
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中小企業庁「令和5年度ものづくり・商業・サービス補助金の概要について」はこちら
経産省2023年度補正予算PR資料再掲
まず最初の資料は、経産省の「経産省2023年度補正予算PR資料」を再掲したものです。
ものづくり補助金は「中小企業生産性革命推進事業」の一環として実施をされています。(中小企業生産性革命推進事業とは、ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継補助金の総称です)。以下の資料は「中小企業生産性革命推進事業」についての資料ですが、この中の赤枠の部分がものづくり補助金に関する部分です。
後でも詳しく説明しますが、2024年の『ものづくり補助金』では、新たに省力化(オーダーメイド)枠という申請類型ができました。これは最大8,000万円(大幅な賃上げに取り組む場合は最大1億円)です。「オーダーメイド」という言葉が指すように、既成の設備を使って省力化に取り組むのではなく、特注の設備(FAマシンなど)を導入することを想定しているのだと思われます。既成の設備を使っての省力化は、前述の『中小企業省力化投資補助事業』を使いなさい、ということなのだと思います。
2024年実施(R5年度補正予算)ものづくり補助金の概要
まずものづくり補助金とは「革新的な製品・サービスの開発や生産プロセス等の省力化に必要な設備投資等」が必須です。革新的(≒自社にはなく、他社でも一般的ではない取り組み)が必須ですので、革新的な取り組みに繋がらない設備投資などは対象になりません。このあたりの要件は変わっていません。
上述のとおり、省力化(オーダーメイド)枠という申請類型ができたことが最大の変更点です。その他、現行の枠も見直しされるようですが、基本的にはこれまでの制度とは大きな変更点は見当たりません。従来のものづくり補助金は賃上げが必須ですが、賃上げ要件が未達の場合は補助金返還が求められることも、変わりはないでしょう。
これまでのものづくり補助金との主な変更点
これまでのものづくり補助金との主な変更点は下記の通りです。
なお冒頭に「新制度による公募は、令和5年度補正予算を基に17次公募より開始」とあります。現在、すでに16次公募まで終わっていますので、新しい制度は次回の公募から開始されるようです。
変更点は以下の通りですが、「交付候補者決定前において、一定の投資規模の事業計画に取り組む事業者に対して、口頭審査を導入。」とあります。交付候補者決定前(いわゆる「採択」の発表前)に、面接をする、という意味ですね。後述しますが、口頭審査はオンラインで行うようです。なお、一定の投資規模がどの程度かは、いまのところわかりません。
また、補助事業実施期間は令和6年12月10日まで(令和6年12月10日までに実績報告まで完了する必要)です。最近、資材不足などで設備の納期遅れなどが起こっているという話をよく聞きますが、納期にゆとりがある設備を選定しないと、補助金が交付されないことになりかねませんので、注意が必要です。
ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」の新設
新設される「省力化(オーダーメイド)枠」の概要は以下のとおりです。
まず補助上限額は、従業員数で段階的に別れていますが、これは従来のものづくり補助金と同じような設計ですね。()内は大幅賃上げ要件を満たす場合に適用されます。補助率は1/2ないし1/3ですが、補助金額1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3となっています。詳しい計算方法もこの資料に書かれていますが、100人以上の企業が満額の8,000万円の補助を受ける場合、補助対象経費として2億2,500万円の投資が必要となるでしょう。もちろん、補助上限額8,000万円以外の部分は自腹です。
なお、対象事業として「デジタル技術※1等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入」を使った、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の実現が必要です。
デジタル技術とはAI、ロボット、センサー等をいうようです。また、オーダーメイド設備とは、 ロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ(Sier)との連携などによりロボットシステム等を構築したものをいうようです。ロボットのシステムインテグレータ(SIer)とは、ロボットを使用したシステムの導入提案、設計・開発、組立、プログラミング、保守などを総合的に行う事業者です。こうしたSIerに特注する設備である必要がありそうです。また、これらの要件に加えた追加要件もあるようです(詳細は追って公表)
2024年実施ものづくり補助金に関するその他情報
資料の最後のページには、口頭審査の補足説明と、公募予定、厚労省との助成金との連携について触れられています。
公募は2回を予定しているようです。つまり、2024年には2回だけ(春・夏くらいか?)ですが、事業実施期間は2024年12月10日までです。オーダーメイド型などは特に設備の納期がかかると思われますので、最初の公募に申請できるよう、準備には早々に着手するのがよいでしょう。