おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
問題が再発するのを防ぐ鍵、根本原因分析(RCA)を、初心者の人にもわかるように基礎からお話しします。今回(最終回)は、根本原因分析をどのように進めるかについて具体例を交えて解説します。
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前回までの記事はこちら
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根本原因分析(RCA)の取り組みステップ
根本原因分析は、どのように進めるのがよいのでしょうか。根本原因分析はいろんな手法やツール、テクニックがあるんですが、基本的にはだいたいこういうステップで分析をしていきます。
まず「問題の特定」では、どのような問題が起きたのかを、正確に理解します。
次に「情報の収集、整理、分析」では、いつ、どこで、誰が関わって、どういう状況で問題が起きたのかをリサーチします。
続いて「予防処置の分析」では、その問題が起きないように以前から何か対策をしていたのかどうか、そしてその対策がうまくいかなかったのであれば、何が足りなかったのか、何が効かなかったのかを確認します。
ここまで情報が揃ってようやく「根本原因の絞り込み」をします。集めた情報を元に、本当の原因は何だったのかを見極めます。
そして「根本原因の図表化」では、その原因をビジュアル化することによって、問題が起きた構造への理解がもっと深まります。しかし一発で完璧に根本原因がわかることはまれなので、現実的には「情報の収集、整理、分析」に戻って、さらに詳しく調べることになるでしょう。この繰り返しが、より正確な根本原因を見つけるカギになります。
そして根本原因が明確になれば、「再発防止策の検討・実施」として、根本原因を排除または軽減するための対策を考えて実行します。
そして最後、「再発防止策の効果の検証」では、再発防止策が現場で定着して効果を上げているかを確認します。こうした流れで、根本原因分析を進めるのが一般的ですね。
根本原因分析(RCA)の進め方具体例
根本原因分析は、具体的にどんな感じで進めるのか、ありがちな例を使ってざっくりと説明します。
「最終検査で、ある製品の寸法が一般公差から逸脱していた」という問題が起きたとしましょう。
まずこの問題は、いつ、どこで、誰が関わって、どういう状況で、問題が起きたかをしっかりと調べます。ミスが起きないような予防策があったのかどうか、そしてあったとすれば、ちゃんと機能したのかどうかも調べます。
そして原因の絞り込みをしていくわけですが、まずは直接的な原因から調べます。これは問題を引き起こした直接のきっかけとなる原因です。直接的な原因を考える時は、人の切り口や、機械の切り口、そして材料、作業方法、測定、環境の切り口で考えるのがよいでしょう。いわゆる5M1Eってやつですね。
この切り口ごとに、調べた情報をもとにしながら「これは違うな」というものを消していきます。この例では「人」の切り口に原因がありそうだと目星がつきました。
でも「人」といってもいろいろあります。「スキルや経験不足」かもしれないし「体調不良」かもしれません。これもまた、調査した情報をもとに「これは違うな」というものを消していって、「スキルや経験不足」が怪しいということになりました。
次は「スキルや経験不足」がなぜ起きたのかを掘り下げていくんですね。これを繰り返していって「もうこれ以上はないな」というところまでたどり着いたものが根本原因です。
この例では「売上や納期を優先している」というのが根本原因だとわかりました。このように根本原因は、通常、会社の仕組みやシステム、方針などに根ざしていることが多いでしょう。そして根本原因は1つとは限りません。いくつか重なっていることもあります。
こうした根本原因に手を打たなければ、いつまでたっても、同じことが繰り返されてしまいます。売上や納期を優先したまま、無理に育成プログラムを組んだとしても、それが実行される保証はないですし、無理に実行したら従業員が疲弊しかねません。それだと問題の再発防止はおろか、モチベーション低下や離職率の増加など、もっと別の問題が起こる可能性すらあります。
ですので、根本原因に対して手を打たなければならないのです。この事例における根本原因への対策は、売上や納期を優先するのではなく、育成に重きを置くように会社の方針を見直して、そのとおりに実行することですね。その上で個別の育成プログラムを作って、それがちゃんと実施されているか、そして育成の結果、スキルのレベルが底上げされ、もともとの問題であった寸法不良が減ったか、というところまでを確認していくという流れですね。
根本原因分析(RCA)は複数人で、現場・現物を見ながらやる
根本原因分析は多くの場合、複数人のチームやグループでやるのが一般的です。複数の人が関わることで、問題をより深く理解できたり、見落とされがちな原因を見つけたりすることができます。そして机上の話し合いだけではなく、現場での実際の状況を観察して情報収集することも重要です。
結構、手間と時間が必要なんですが、これを惜しむと、効果的な再発防止策が出せません。
根本原因分析は、決してISOの認証を取得したり維持したりするためだけに、イヤイヤやるものではありません。数々の不良や不適合・事故の経験をもとに、「我が社がもっとよくなるために、こうしていこう」という知恵や知識の源です。いわば、我が社を改善していくための、我が社だけの経験がふんだんに盛り込まれたデータベースです。手間暇をかけてしっかりと取り組む価値があるものです。