おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズとして、箇条6.1.2.2を解説します。ここは、労働安全衛生マネジメントシステムでも超重要部分であるリスク評価に関する箇条です。どのようにしてリスクを特定、評価するべきなのかをわかりやすく解説します。
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前回までの記事はこちら
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ISO45001:2018 6.1.2.2 職場の安全を保つにはリスク評価が鍵?(1)
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ISO45001:2018 6.1.2.2 職場の安全を保つにはリスク評価が鍵?(2)
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特定したリスクの評価方法・基準
特定したリスクは、評価することが求められています。この図は、リスク評価の手法の一つで「リスクマトリックス」と呼ばれるものです。
リスクの「起こりやすさ」と「影響の大きさ」に基づき、それぞれを重み付けしています。特定したリスクは、マトリックス上に配置をします。
例えば、脚立からの転落リスクを「起こりやすさ:小」「影響:中」と判断したのであれば、マトリックス上の該当する位置に配置します。
また人手不足による疲労と病気のリスクを「起こりやすさ:大」「影響:小」と判断したのであれば、それに応じた位置に配置します。
こうした評価をして、リスク対策の優先順位を決定します。この2つのリスクの例では、人手不足による疲労と病気のリスクが黄色のゾーンにあって、脚立からの転倒リスクよりも優先順位が高いと判断されます。箇条6.2.1.2で求められているのはとりあえずここまでですが、全体的なリスク管理の流れとしては、優先順位付けが完了したら、そのリスクをどのように管理または軽減するかについての具体的な対策を計画し、実施することになります。
箇条6.1.2.2の規格要求事項
これを踏まえた上で規格要求事項を見ていきますが、ここまで説明をしたら、規格要求事項もすんなりと理解できるでしょう。
まず規格要求事項の前半では、労働安全衛生リスクと、労働安全衛生マネジメントシステムに対するその他のリスクを特定して、評価をしなさいといっています。
そして後半部分では、リスク評価の方法・基準を決めて、文書化した情報として維持し、保持しなさいといっています。先程のリスクマトリックスの例だと、リスクマトリックスという手法がリスク評価の方法です。そして、起こりやすさや望ましくない影響をどのように判断するのかという目安が「基準」に該当します。そしてこうしたリスク評価のやり方を手順書のような形で文書化するのはもちろん、リスク評価の結果も記録をすることが求められています。
また、規格要求事項には「労働安全衛生リスクの範囲、性質及び時期の観点から、決定しなければならない。」とあります。これは、いろいろな条件で適切なリスク評価の方法や基準は変わる可能性があるので、リスクに応じて適切な方法や基準を決めるべきということですね。例えば、リスクの起こりやすさや影響の大きさが一様に判断できない場合、リスクマトリックスで評価することは限界があります。具体的には、従業員のストレスのように、個人差が大きいリスクは、リスクマトリックスではなく、アンケート調査や面談などが適切かもしれません。このようにリスクの特徴などを考慮して、最適なリスク評価の方法と基準を選定することが重要です。
リスクについての要求事項が手厚いのは、労働安全衛生には予防が大切だから
はい、というわけで「職場の安全を保つにはリスク評価が鍵?」というテーマで、3回にわたってお話しましたがいかがだったでしょうか。
箇条6.1.2.2はリスク評価の話でしたが、ISO45001の規格にはリスクについての記述がたくさんでてきます。リスクを特定して評価し、対策を練る必要があるのは、結局のところ「予防」のためといえます。
労働安全衛生の世界では、何かが起こってから対応するのでは遅すぎることがあります。そうならないように、予防が大切なんですが、その予防を効果的にやるために、リスクを特定して、評価し、そのリスクに対してあらかじめ手を打つことが重要だというわけですね。