おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018各箇条解説シリーズ、今回は箇条6.1.2.3を説明します。「機会」とはそもそも何なのか、機会をどう発見し、評価するのか、そしてなぜ機会が職場の安全と健康にとって重要なのかについて解説します。
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ISO45001:2018 6.1.2.3 見過ごされがちな機会には、企業を成長させる可能性がある!?(1)
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「機会」の管理の流れ
ISO45001では、このような流れでリスクと機会を管理することを求めています。
今日解説をする箇条6.1.2.3は、「特定」「算定」「評価」のあたりに該当します。機会を特定・評価した後は、その機会を最大限に利用するための方策を決定し、そのとおりに実行し、振り返りをするという流れです。リスク管理の流れと同じですね。
ところで、ISO45001で取り組むべき機会には2種類あると規格はいっています。一つは労働安全衛生機会で、もう一つは労働安全衛生マネジメントシステムを改善するその他の機会です。この違いは一体何でしょうか?
ISO45001における2つの「機会」
この2つの機会の違いは、ISO45001の附属書Aにかかれています。こちらがその内容を表にしたものです。
労働安全衛生機会とは
労働安全衛生機会とは、危険源や作業の改善のきっかけを指します。たとえば、新しい光学式安全装置付きのプレス機の発売は、危険源のリスクを減らすという点で、労働安全衛生機会と言えます。
労働安全衛生機会を見つけるにはどうすればいいでしょうか。現場の従業員からの聞き取りや現場パトロールといった、内部の情報を精査することで見つかるかもしれませんね。
労働安全衛生マネジメントシステムを改善するその他の機会とは
一方でその他の機会は、マネジメントシステムレベルでの改善のきっかけを指します。例えば新しい工場の建設は、マネジメントシステムの改善につながる機会に該当します。新しい工場の設計段階から安全を考慮に入れて、作業流れや作業場所、保管場所を計画することにより、最終的に従業員の安全性を向上させることに繋がります。(既存の危険源や作業の延長線上にあるのではなく、新しくインフラを整えるという点で、マネジメントシステムレベルの改善といえます)
その他の機会を見つけるにはどうすればいいでしょうか?内部の情報を精査することに加えて、最新技術に関する情報や同業他社の動向など、外部の情報を精査することで見つかるかもしれません。
機会の評価方法
特定された機会は、評価しないといけません。どういう方法で評価するのかは、機会の性質や企業の方針によって異なりますが、例えばリスク評価のように「実現する可能性」と「望ましい影響の大きさ」の組み合わせで評価する方法が考えられます。
たとえば、新しい光線式安全装置付きプレス機の発売は、「実現する可能性:中」「望ましい影響の大きさ:中」としてマトリックスに位置付けることができます。一方、新工場の建設という機会は「実現する可能性:小」「望ましい影響の大きさ:大」と評価するとします。それぞれの機会を対応するマトリックスの位置に配置することで、これらの機会に対する優先順位が決定できます。この2つの例では、新しいプレス機の導入が、新工場建設よりも優先されると判断できますね。なお、この2つの例は、どちらも投資を伴う機会ですが、こうした機会を評価する際には、マトリックスによる視覚的な評価だけではなく、投資対効果を数値で評価する方法もあるでしょう。
次回は規格要求事項を解説します。