おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
2024年2月、ISO(国際標準化機構)は、マネジメントシステム規格に「気候変動への配慮」を盛り込む形で規格の一部を改定しました。今回の「追補」は、どういう変更で、企業はどういう対応が必要なのでしょうか。
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今回の追補(改訂)の背景
世界中で仕事や取引を安心して行えるよう、さまざまなルールがあります。これらのルールを定めているのがISOという団体です。ISOは地球の気候を守るためのルールもたくさん作っていますが、2021年にISOは「ロンドン宣言」というものを発表しました。
この宣言でISOは、気候を守るための取り組みを強化することを表明したんですね。このロンドン宣言に基づいて、ISOマネジメントシステム規格も、地球の気候保護にさらに貢献する内容へと変わることになりました。これが今回の追補の背景です。
今回の改訂(追補)のまとめ
今回の追補の全体像について、簡潔に説明します。
「追補」とは、既にある規格に少し変更を加えたり、新しい内容を追加したりすることです。
そして今回の追補はISO9001やISO14001など、31のマネジメントシステム規格全てに適用されます。この追補は、2024年2月23日から有効となりました。
ただし今回の追補は、要求事項そのものを変えるものではありません。気候変動が、マネジメントシステム上見過ごされないよう注意を促すもの、といった感じでしょうか。
このように今回の追補は要求事項には影響しませんが、第三者審査では気候変動について質問されることが予想されます。そのため、認証取得企業は、それに備えて準備が必要です。
今回の改訂(追補)内容の詳細
今回の追補内容を詳しく見てみましょう。具体的には、箇条4.1と箇条4.2にそれぞれ一文が追加されました。変更箇所は黄色で示しています。
この日本語は参考訳に過ぎないんですが、箇条4.1「組織の状況」においては、気候変動に関連する内部及び外部の課題があるかどうかを決めなければなりません。また、箇条4.2には注記が追加されています。注記は要求事項ではありませんが、組織の利害関係者が、気候変動に関するニーズや期待を持つ可能性がある、と言っていますね。
「うちはISO9001の認証を受けているけど、気候変動と製品の品質ってなんか関係あるの?」と疑問に思う方もいるでしょうね。
というわけで次回は、気候変動に関する課題やニーズってなんだ?という説明をしていきます。