おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018年版各箇条解説シリーズ、箇条7.5「文書化した情報」について、労働安全衛生に関する文書にはどういうものがあるのかという具体例も踏まえながら解説をします。
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箇条7.5の位置づけ
まずは箇条7.5「文書化した情報」の位置づけを見ておきましょう。
箇条4では、会社が置かれている状況を考えて、労働安全衛生マネジメントシステムを作って運用することを求めていましたね。
箇条5では、そのマネジメントシステムを円滑に回していくために、会社のトップがやるべきことを定めていました。
箇条6では、会社を安全で健康的な場所にするために問題になりそうなことをあらかじめ洗い出して対策をしたり、目標を作ったりすることを求めています。
箇条7では、その計画・目標などに取り組むために必要な人材、道具、設備、インフラなどを準備します。今回はそのうち、箇条7.5「文書化した情報」についてお話をします。
箇条7.5の要点と、文書管理はなぜ必要か?
この箇条7.5はどういうことを言おうとしているのでしょうか。その要点は、そっくりそのまま、「文書管理とはなぜ必要か」という問いに対する答えになっています。
箇条7.5の要点は、以下の図のように示すことができます。
まずは「必要な文書を作りなさい」と言っています。必要な文書とは2種類あります。一つは「ISO45001の規格が作りなさいと要求しているもの」です(これについては後述します)。そしてもう一つは「我が社でこれは文書化しないといけないなと判断したもの」です。そして、そうした文書は、大きく分けて「文書」と「記録」の2種類があります。文書とは、作成して維持すべき情報です。例えば、手順書やマニュアルが文書にあたります。一方、記録とは、出来事や活動の証拠として保持すべき情報です。例えば、点検記録や報告書などが記録にあたります。
こうした文書は、現場でケガや病気が起きないように仕事をするうえで必要なものですし、記録は「ちゃんとやっている」ことを証明するものとして必要ですね。
こうした文書を作成するときには注意すべき点もあります。一つは、文書が探しやすく使いやすいように、作成日を入れたり、タイトルや文書番号などを与えることです。そしてもちろん、内容が正確でなければなりません。内容の正確さを保証するために、作った文書の内容を誰かが確認したり、承認したりします。
こうしてできた文書は、どのように管理すべきかについても箇条7.5で要求されています。作成した時と同じように、探しやすく使いやすい状態や、正確な状態をキープすることはもちろんですが、作った文書が、必要なときに必要な人がすぐに使えるよう、保管場所や保管方法に注意をしないといけません。また、文書が更新されたら、間違って古いバージョンの文書が使われないよう、常に最新の文書を維持しないといけません。さらに、せっかく作った文書が、汚れたり破れたり、誤って消されたりしないように保管をしなければなりませんし、場合によっては大切な情報が漏洩しないよう、捨てる方法にも注意をしなければなりません。箇条7.5は、概ねこうしたことをしなさい、と言っています。
ISO45001の規格が要求している文書とは
この規格が要求する文書化した情報をこの表にまとめています。
この他に、組織が必要だと思うものを文書化する必要があります。
次回は規格要求事項を解説します。