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デミング博士「マネジメントのための14原則」再訪(7)

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

デミング博士「マネジメントのための14原則」を読み直しています。ただ読むだけではなく、2020年代の現代の考え方や最近の経営理論と比べてみたりもしたいと思います。今回はようやく折り返し地点の第7原則です。

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デミング博士「マネジメントのための14原則」の第7原則

⑦リーダーシップの何たるかを学び、発揚せよ。「監督」がめざすべきは、部下たちが機械やツールをうまく使ってより良い仕事ができるように助けることだ。製造現場の人々の「監督」も、マネジメント層の「監督」も、いずれも機能不全に陥っている。オーバーホールが必須だ。

これも、マネジメント層と管理者層にリーダーシップを求めているというシンプルな原則です。

デミング博士はなぜ、当時のアメリカの「監督」が機能不全になっているとしてきしているのでしょうか。また「監督」と「リーダーシップ」の違いは何でしょうか。

デミング博士のいう「監督」と「リーダーシップ」の違い

「監督」は主に従業員の仕事を監視し、指示に従わせるという役割に重点が置かれます。監督者は、従業員が定められた手順に従って作業を行っているか、効率的に働いているかを確認することが主な任務です。監督の焦点は、個々の業務の実行と短期的な成果にあります。この「短期的な成果」というのが「監督」の悪しきポイントとしてデミング博士が批判していることで、例えば、目標によるマネジメント(MBO)、出来高の標準、仕様に合致すればよしとする方針、ZD運動(Zero Defect活動。不良ゼロや納期遅れゼロを目指す活動)、業績査定など、数値や目標を基準にして従業員の短期的なパフォーマンスを監視・評価するような行為はすべてダメだ、と言っています。

一方の「リーダーシップ」は、経営者や管理者が従業員を支援し、彼らが持つ問題を理解して解決することを目的としています。ここでは、単に数値や目標の達成を求めるのではなく、システム全体の改善を図り、従業員がより良いパフォーマンスを発揮できるような環境を整えることが重要視されます。リーダーシップは、従業員が直面する課題を一緒に解決し、彼らの能力を引き出すための指導やサポートを提供します。これにより、従業員は恐怖やプレッシャーではなく、経営者や管理者の信頼と支援のもとで働くことができ、その結果、長期的な品質向上と持続的な組織の成功が促進される、という具合ですね。

特殊要因で片付けず、システムの欠陥に気づくこともリーダーシップの一つ

第7原則でデミング博士が例を挙げて指摘しているのが、特殊要因で片付けず、システムの欠陥に気づくこともリーダーシップの一つだという点です。

デミング博士が言及する「特殊要因」とは、通常では管理できない原因のことです。具体的には、機械の一時的な故障、材料の一時的な品質低下、環境条件の一時的な悪化などでしょうか。そうした「特殊要因」が原因で不良が起きた場合は、もちろん特殊要因がなぜ起きたのか、再発の可能性はないのか等を探る必要はありますが、場合によっては「今回はたまたま起きてしまった、仕方のないことであった」という結論になるかもしれません。しかし、デミング博士の考え方では、これらの「特殊要因」はしばしば根本的なシステムの問題の兆候であり、それらを単に一時的な出来事として処理するだけでは、同様の問題が再発する可能性が高いと考えているようです。

ではマネジメント層や管理者層は、どうやってシステムの欠陥に気づくべきだと主張しているのでしょうか。ひとつは、デミング博士が第6原則でも述べていましたが、現場の仕事をマネジメント層や管理者層が熟知することですね。知らないことは気づきようがありません。そしてもう一つは統計的な管理をすることです。

統計的な管理は「平均以下」や「下位10%」といった個人を管理することではない

統計的な管理といっても、例えば平均値や下位10%などに達していない個人やグループを問題視することではありません。どういう組織であっても、平均値や下位10%などに達していない個人やグループというのは生じますからね。こうしたアプローチは根本的な問題の解決に繋がらず、かえって士気を下げるリスクがあると批判しています。

そのような管理ではなく、統計的に管理限界を外れていることを管理しなさいとデミング博士は言っています。

統計的に管理限界を外れているとはどういうことでしょうか。例えば小学校のあるクラスで、毎回算数のテストをします。普段は、みんなの点数がだいたい70点から90点の間に入ります。この70点から90点の間を「管理限界」と呼びます。この範囲の中で点数が変動するのは普通のことです。

ある日、みんなが普段通りにテストを受けたはずなのに、一人の子が急に30点を取ってしまいました。普段、その子は80点くらい取っているので、30点はすごく低い点数です。この「30点」は、70点から90点の範囲から大きく外れているので、これが「統計的に管理限界を外れている」という状態ですね。

つまり、システムやプロセスにおける「ばらつき」を管理し、許容できないような大きなばらつきがある場合、その原因を探ってシステム全体を改善することが重要だ、ということですね。

ちなみにこの小学校の算数のテストの事例で、「ばらつき」を生むどのようなシステム上の問題点が考えられるかというと、①算数の授業のやり方が一律過ぎて、生徒の個々のペースや学び方に合っていない、②教材を選択する基準が不明確・不適切で、教材が生徒の能力にあっていない、③テストの内容を決める方法が不明確・不適切で、授業でじゅうぶんにカバーされていない部分が出題されていた、などがありえます。

ところで今回は、2020年代の現代の考え方との比較を、あえてしませんでした。デミング博士の考え方は、現代の経営の考え方と多くの共通点を持っているとは思いますが、いくつかの点で斬新だなあという点も依然としてあるからです。特に、短期的な数値目標の批判や個人の業績評価に対する批判は、現代の多くの企業文化と一線を画していると言えるでしょうね。

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