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デミング博士「マネジメントのための14原則」再訪(14・最終回)

https://imamura-net.com

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

デミング博士「マネジメントのための14原則」を読み直しています。ただ読むだけではなく、2020年代の現代の考え方や最近の経営理論と比べてみたりもしたいと思います。今回は最終回の第14原則です。

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デミング博士「マネジメントのための14原則」の第14原則

⑭社員1人ひとりがこの変革の実現に貢献できるようにせよ。変革は誰にとっても「自分の仕事」であるべきだ。

この第14原則は、第1~第13原則までを実行するための組織づくりについて述べています。

7つの行動プラン

この第14原則(組織づくり)を行うにあたって、デミング博士は7つの行動プランを説明しています。これが結構抽象的で読みづらいのですが、簡単に要約してみます。

1.マネジメントの責任

変革を進めるための責任はマネジメントにある。組織の全マネジメント層が協力することが求められる。

 2.新しい取り組みをブレずに進める

マネジメントは新しい考え方や理論を取り入れることに、ぶれずに進むべきである。

3.変化が必要だと信じて行動できる集団を作る

組織が変わるためには、まず「変化は必要だ」と信じて行動できる集団を作り出す必要がある。その集団が、マネジメントが変革を進める力となる。

4.仕事の流れ図を作る

仕事は前工程からインプットされて、後工程へアウトプットされるプロセスがつながってできている。この流れを追えるように流れ図を作る。

5.チームで品質を改善できる仕組みを作る

チームの中で品質を継続的改善するための仕組み(シューハートのサイクル≒PDCA)を立ち上げる

6.チームは全員参加

チームの誰もがアイデアやプランを出せるようにする

7.なんのために何をやるかを明確にする

集団やチームには、1つのねらい、1つの仕事、1つのゴールが必要で、それを明文化する。(つまり何のために何をやるかということを明確にする)

こうやって改めて文字にすると、こうしたデミング博士の考えをもとにしてTQMが生まれたのかな?ということに改めて気づきますね。

デミング博士はPDCAサイクルを批判していた?

この第14原則では、シューハートのサイクルが出てきます。シューハートのサイクル(いわゆる"PDCA"サイクル)を組織の中に導入して、継続的に改善するチームを作ることを提唱しているのですが、デミング博士は”PDCA”という言葉を使わずに、わざわざ「シューハートのサイクル」と言っています。

というのも、PDCAの「Check」は、計画が成功したか失敗したかを単に確認するだけであり、成功・失敗の二元論的な判断に終始してしまい、深い学びや理論の改良につながりにくいとデミング博士は考えたからだそうです。

その代わり、デミング博士は「PDSA」というものを提唱しました。"PDSA"の"S"は「Study」の"S"です。この段階では、計画の結果を詳細に検証し、得られたデータや情報から新たな学びを得ることが目的となります。これにより、計画が予測どおりに進んだかどうかを確認したうえで、そこから「学び」を通じて新しい知識を創造し、それを基に理論や方法を改良し続けることを求めているんだそうです。(恥ずかしながら、ぼくも最近知りました)

いまの日本企業は、デミング博士の「マネジメントのための14原則」を守っているか

これで第14原則までの説明がやっと終わりましたね。この14原則を強引にまとめると、以下のような感じでしょうか。

会社がうまくいくかどうかはすべてマネジメントの責任。マネジメントが率先して改革に取り組むべき。そのうえで統計的管理手法を用いて、検査に頼らずに品質を工程で作り込むようにする。これを実行するにはトレーニングや適切な組織設計が重要だし、従業員が余計なプレッシャーを与えられないような、心理的に安全な環境(例えば出来高や目標管理などをしない環境)を作らないとダメ。よく調べると部門間の問題に行き着くことがあるので、そういう場合はマネジメントが調整に乗り出すべき。

おじさんのぼくからすると、ぼくがこの業界に入った時(もう20年近く前)に当たり前のように言われていたことと、同じようなことを言っているように思います。昔の日本企業では、こうした経営哲学を守っている形跡がまだあったんだと思います。

いまはどうでしょうか?2000年代以降、多くの日本企業は、TQCやTQMよりもMRP(資材所要量計画)やERP(統合業務パッケージ)、SCM(サプライチェーン・マネジメント)といったアメリカ流の経営管理手法を積極的に導入しました。このあたりから、TQCやTQMが衰退していき、今では存在感がかなり薄くなっているように思います。

だからといって「TQCやTQM最高!日本企業はもう一度原点に戻るべきだ!」などという安直な結論を出すつもりはありません。例えばTQCやTQMは全員参加が原則ですが、今の時代では、非正規雇用や外国人従業員も増え、その上に人手不足も相まって、全員参加もやりづらくなってきています。そうしたところに無理やり、かつて日本がまだ若々しかった時代のTQMを導入しても、うまく機能はしないと思います。じゃあどうすればいいのかというのは、ぼくごときが簡単に結論を出せるものでは到底ありません。デミング博士がいうPDSAのように、いろいろと実行して学んで、そして「これが我が社にとってのベストだ」というものが見つかるような改善をしていくしかないのだと思います。

デミング博士の14原則は、時代を超えた、重要なマネジメントの考え方です。これらの原則を忘れてはいけません。しかし、昔のやり方をそのまま適用するのではなく、PDSAサイクルを使い、試行錯誤しながら自社に合った最適な方法を見つけること――これは一見簡単なようで実際には相当に難しいことですが、覚悟をもってをやり遂げることが、遠回りのようでも経営を立て直す近道に違いないと思います。

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