おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、8/19時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #59です)。
スポンサーリンク
汎用目的型AIモデル行動規範策定に関する意見募集の締切が延長
今年の春から、汎用目的型AIモデル(大規模データを用いてトレーニングされた汎用性を持つAIモデルのこと。ChatGPTなどが該当すると考えられる)を提供する事業者に対する行動規範を作るために、学術研究機関、独立した専門家、業界代表、市民社会組織、権利者、公共機関など幅広い関係者に参加を募ってきました。
ところが11の技術業界団体が欧州委員会に対し、汎用AIの行動規範に関する意見提出の締め切りを延長するよう要請したそうです。
8月8日付の書簡で、これらの団体は、もともと設定されていた6週間の意見募集期間が短すぎて、有益な意見を提供できないと主張しているようです。団体は、、最低でも2週間の延長を求めています。
EUと米国の企業を代表するこれらの団体には、Allied for Startups、在欧米国商工会議所、フランス、ドイツ、ポーランドの国別技術団体などが含まれています。また署名者には、Google、Meta、Oracle、Amazon、Microsoft、Samsungなどの大手技術企業を代表する組織も含まれています。
これを受けて、欧州AI事務局は提出締め切りを9月18日まで延長しました。
EU AI法がどこまで影響を及ぼすかについての研究
Holger Hermanns教授とAnne Lauber-Rönsberg教授が率いる研究チームは、EU AI法がシステム開発に与える影響を分析しているそうです。彼らの研究によると、EU AI法が影響を与える分野は、主に就職・転職者の選別や、医療関連システムのような高リスクAIシステムの開発に限られるとしています。その他、例えば、ゲームに使われるAIシステムにはほとんど影響がないと研究では位置づけています。
この法律は、高リスク分野のプログラマーに対し、AIによって学習されるデータが目的に適していることを確認し、どの時点でどのイベントが発生したかを再構築できるような記録を保持することを求めています。これらの規則にもかかわらず、研究開発は制限なく続けられる予定です。
Hermanns教授らは、AI法をヨーロッパ全体で合理的かつ公正な法的枠組みを確立するための成功した試みと見なしており、ヨーロッパのグローバル競争力を妨げることはないと考えています。
なお、この研究は秋に発表予定だそうです。どういう内容になっているか興味がありますね。