おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
多くの企業でISOの内部監査にチェックリストが使われます。内部監査のチェックリストは便利なツールである反面、作成や更新に手間がかかるというデメリットがあります。このデメリットを、AIで克服できないか検証してみました。
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前回までの記事はこちら
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【内部監査レベルアップ講座】ChatGPTでISO内部監査チェックリストを爆速作成してみた(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 多くの企業でISOの内部監査にチェックリストが使われます。内部監査のチェックリストは便利なツールである反面、作成や更新に手間がかかると ...
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マニュアルの記述内容に基づいて力量を監査するチェックリストを作成する
今回は、品質マニュアルを元にチェックリストを作ってもらおうと思います。
以下のようなプロンプトを投げかけます。
あなたは、ある製造業の管理職です。近々ISO9001の内部監査員として内部監査を行う予定です。内部監査に先立ち、監査チェックリストを作成する必要があります。以下にISO9001に基づく当社の品質マニュアルの一部を示しますので、これに基づいてチェックリストを作ってください
これに引き続いて、架空の企業の品質マニュアルの箇条7.2「力量」を、プロンプトに貼りつけます。
品質マニュアル例
今回実験に使用した品質マニュアル例は以下のとおりです。
7.2 力量
当社は、次の手順を通じて従業員の力量を管理し、品質マネジメントシステムのパフォーマンスと有効性を確保します。
a) 管理責任者は、品質マネジメントシステムに関連する業務に必要な力量を「スキルマップ」と「認定資格一覧表」で明確にします。これらの文書は、各部門長が毎年3月に実施する能力評価に基づき更新され、管理責任者が確認・承認します。
b) 各部門長は、従業員が必要な力量を有していることを確認します。力量が不足している従業員は、その業務に従事させず、必要があれば力量のある者がサポートをします。
c) 力量が不足している場合には、必要に応じて、OJT(職場内訓練)やOFF-JT(職場外訓練)、配置転換や新規採用などを実施します。このために各部門長は、毎年4月に「教育訓練計画書」を作成し、社長の承認を得ます。教育訓練を受けた者は「教育訓練報告書」を作成し、部門長に提出します。部門長は訓練の有効性を評価し、結果を「教育訓練報告書」に記録します。評価が不十分な場合は、「教育訓練計画書」を見直し、必要な措置を講じます。
d) 各部門長は、「スキルマップ」「認定資格一覧表」「教育訓練計画書」「教育訓練報告書」を管理し、少なくとも5年間保存します。
このマニュアル例を簡単に説明をすると、規格要求事項に比べて記述が手厚く、具体的になってます。例えば「各部門長が毎年3月に実施する能力評価に基づいて更新する」というような、この会社のマイルールが書かれています。一般的にはマニュアルというのは、規格に基づいて作ってますが、その会社のマイルールや考え方を、より規格以上に具体的に書いているのがマニュアルの特徴です。
これをインプットにしてどんなチェックリストをChatGPTが作るのかを見てみたいと思います。
マニュアルを元にISO内部監査のチェックリストを作る
マニュアルを元にISO内部監査チェックリストをChatGPTに作らせたところ、昨日の例(規格画要求事項を元にしたチェックリスト作成)よりもたくさんチェック項目が出てきました。
全部で13個出てきました。
チェック項目の中身を評価する
中身見ていきましょう。
チェック項目の1.は「各部門で品質マネジメントシステムに関連する業務に必要な力量が明確にされてますか?」となっています。これはマニュアルの記述を疑問文にしただけっぽい感じです。他の質問項目も同様です。
規格要求事項ではなく、マニュアルであっても、やはりマニュアルに書かれていることの裏返しのようなチェック項目を作ってきます。ただ、マニュアル自体が具体的なので、チェックリストも多少具体的になってるなという印象があります。
実際の内部監査では、規格要求事項を元に作ったチェックリストよりも、マニュアルをもとにしたほうが、チェックリストとしては使いやすいと思います。
有効性審査に関するチェック項目
前回同様、有効性審査につがるようなチェック項目も盛り込んでもらいましょう。
この14~16に、有効性審査に関するチェック項目が盛り込まれました。どんな質問が出てきしたでしょうか?
14.は「7.2に基づく取り組みが、従業員の力量向上に繋がっていますか?」とありますが、これもダイレクトすぎて即答するのが難しい質問だと思います。
15.は「教育訓練やOJTの結果、不良率が減少してますか?」という質問ですが、これもダイレクトですね。
16.は「力量向上によりパフォーマンスの向上(例:生産効率、品質改善)が確認されてますか?」という質問です。まさにそれを知りたいんですけど、それを知るためにはもっとうまい訊き方をしないと、知りたいことの答えを得ることは難しいでしょうね。
そうした「うまい訊き方」までを考えてチェック項目を作るというのは、今のAIのレベルではちょっと難しいかなという気がします。このような有効性審査に関するチェック項目は、やはり監査に熟達した人間がチェック項目を考えないといけないかなという気がします。
インプットとなる情報の質がチェックリストの出来栄えを決める
ただ、このチェックリスト自体は、個人的な見解としては70点ぐらい上げてもいいかなと思います。人間がチェックリストを作る時にも言えることですが、チェックリストの元となる情報(今回は品質マニュアル)が具体的であればあるほど、使いやすいチェックリストができるというのは間違いがないことだと思います。
AIを使う場合でも人間がチェックリストを作る場合でも、インプットとなる情報の質がチェックリストの出来栄えを決める、と言ってもいいんじゃないかなと思います。