おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
環境法令解説シリーズ、今回は「水質汚濁防止法」について解説をします。非常に厳しい法律なのですが、誰が規制の対象で、どのような義務があるのでしょうか?初めての方でも全体像を理解できるよう解説します。
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有害物質の使用・貯蔵に関する規制と義務
水質汚濁防止法にはさらに規制があります。公共用水域に排水していなくても、有害物質を特定施設で使用していたり、有害物質を含む液体を貯蔵していて地下水が汚染される可能性がある場合、有害物質の使用や貯蔵についての義務を果たさなければなりません。
有害物質を使用・貯蔵する場合の義務は以下の通りです
1.構造等に関する基準を守る義務(①施設本体、②施設の設置場所の床面及び周囲、③施設本体に付帯する配管・排水溝等について定めた構造、設備及び使用の方法に関する基準)(法第12条の4)
2.定期点検義務(法第14条第5項)
3.有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設の設置時の届出義務(5条3項)
水質汚濁防止法に違反した場合の罰則
最後に、水質汚濁防止法に違反した場合の罰則について説明します。
特に注意すべきなのは、排水基準違反や事故時、緊急時の措置命令違反です。これらは、改善命令を経ずにすぐ罰せられる「直罰主義」が適用されます。直罰とは、警告なしで直ちに罰が科される厳しい制度です。直罰制度が採用されている法律は数少なく、ぼくが知る限りでは水質汚濁防止法のほか、大気汚染防止法、廃棄物処理法、景品表示法、個人情報保護法などくらいです。
また、両罰規定もあります。両罰とは、違反した従業員個人だけでなく、会社も処罰されるという意味ですね。水質汚濁防止法は、公害問題の経験をふまえ、重い罰則が定められているようですね。
なお、ここでは紹介していませんが、法律に定められた罰則だけでなく、瀬戸内海環境保全特別措置法(総量規制)違反や条例違反に対する罰則もあります。このように水質汚濁防止法は、ケースに応じていろいろな義務や罰則がありますので、自社の場合は何の義務があり、それに違反したらどうなるのかは、しっかりと認識しなければいけませんね。
水質汚濁防止法は、現在でも違反事例がしばしばニュースで取り上げられています。2023年には日本製鐵が毒物のシアンを流出させて報じられましたし、2024年にも茨城県の食品製造業や、愛知県の旅館業などが基準値を超える汚水を排出したことが報じられています。水質に関する公害は、高度成長期に撲滅されたのではなく、今でも繰り返し起こっていることです。違反しないよう、法の理解と適切な管理をお願いしたいですね。