おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村です。
冬季休業中の集中講義「ISO42001ざっくり解説」です。今日は箇条7「支援」についてざっくり説明します。
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7.1 資源
箇条7では、組織内で効率的で効果的なAIマネジメントシステムを確立し、維持するために、必要な支援を定めています。具体的には、資源(インフラやソフトウェア等)の提供、従業員の力量の確保、意識の醸成、明確なコミュニケーションの確保、文書化された情報の管理や統制などです。
箇条7.1では、必要な「資源」(インフラやソフトウェア等)を提供しなければならない、と定められています。提供の責任を負うのは、一般的に、経営者や上級管理職にあたるでしょう。
7.2 力量
AIマネジメントシステムをサポートするために必要なスキルと知識を有する要員を、経営者や上級管理職は提供しなければならない、と規格は求めています。
規格では、①作業に必要な力量を特定、②その作業に力量ある者をあてがう、③力量が足りない場合は教育訓練等を行う、④力量の証拠を文書化する、ことを求めています。これは他の規格とも同じ要求事項ですね。
AIマネジメントシステムにおける力量には、AIモデル設計能力、データ処理・分析能力、プログラミングスキルといった知識はもちろんですが、AI倫理の理解や法規制の知識、プロジェクトマネジメント能力などもあり得るでしょう。この分野に特徴的なこととしては、AI分野は技術や要件が変化するスピードが早いので、力量の獲得や更新もそれなりのスピードで行う必要があるでしょう。
7.3 認識
①AI方針、②AIマネジメントシステムの有効性への自らの貢献、およびAIパフォーマンスの向上による利益、③AIマネジメントシステムの要求事項に適合しない場合の影響、についての認識を従業員が持つようにすることを求めています。
③AIマネジメントシステムの要求事項に適合しない場合の影響については、法的な影響(EU AI規制法への違反)や、評判の失墜、炎上、財務的な影響なども考えられます。
7.4 コミュニケーション
AIマネジメントシステムに関する社内・外部とのコミュニケーションについて定めて、そのとおりにコミュニケーションを実施することを求めています。
内部のコミュニケーションの例としては、例えばAIモデルの運用状況を定例会議で共有することなどがあるでしょう。外部とのコミュニケーションの例は、顧客へのAIシステムの利用説明や、AIシステム障害時の通知などが考えられますね。
7.5 文書化した情報
AIマネジメントシステムに関する文書を作成し、管理することを求めている要求事項です。文書管理の基本は「正確」で「最新」の文書を、「必要な人」が「すぐ使える」ようにすることです。
例えば、AIモデルの設計、開発、トレーニング、検証、デプロイメントに関する手順書や、AIモデルの性能評価結果記録などが、AIマネジメントシステムに特徴的な文書として考えられますね。
これらの手順書や記録の正確性や最新であることを管理するのは、問題が発生したときの原因究明や改善を容易にするためであったり、AIシステムが法規制や倫理基準に適合していることを証明するためでもあります。