【環境法令解説シリーズ】　においのトラブルを防ぐ！悪臭防止法の基礎解説(2)

おはようございます！マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

環境法令解説シリーズ、今回は「悪臭防止法」を解説します。工場や飲食店などの事業活動で発生する悪臭を規制する法律です。悪臭防止法において、事業者が守るべき義務は何でしょうか？

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悪臭防止法の物質濃度規制について

物質濃度規制をもう少し詳しく見てみましょう。

物質濃度規制では、3つの基準が設けられています。

１つめは、敷地境界線上の基準（1号基準）です。これは工場や事業所の敷地境界での悪臭の濃度を規制するものです。

２つめは、気体排出口の基準（2号基準）です。これは煙突などから排出される気体の悪臭濃度を規制するものです。

３つめは、排出水の基準（3号基準）です。これは排水に含まれる悪臭成分の濃度を規制するものでｓす。

この規制の対象となるのは特定悪臭物質22種類ですが、物質ごとに適用される基準が異なります。たとえば、アンモニアには3号基準がありません。アンモニアが水に溶けやすいので、悪臭の原因になりにくいからかなあと思っていますが、どうでしょうかね。一方、硫化水素は1号～3号すべての基準が適用されます。実際に都道府県や市町村ごとに基準値が設定されており、たとえばさいたま市では、硫化水素の1号基準と3号基準は0.02ppmとされています。

2号基準については、排出口の高さや排出速度、周囲の建物の影響などを考慮して基準値が決まります。これは現場によって異なるため、具体的な数値は、条件を考慮して、自分で計算しないといけませんね。

悪臭防止法の臭気指数規制について

臭気指数規制は、人間の嗅覚で感じる悪臭の強さを数値化し、その値に基づいて規制する方法です。

臭気指数は 10 × log（臭気濃度）という式で計算します。臭気濃度とは、においの強さを数値化したもので、これを人間の感覚に近い形で表現するために対数（log）を使っています。簡単にいうと、臭気指数が高いほど悪臭が強く、より多くの空気で薄めないと無臭と区別がつかなくなります。

例えば、臭気指数10だと約10倍に希釈したときに、無臭と区別がつかなくなる、という意味合いです。

臭気指数の規制も、1号～3号基準の３つがあるのは、物質濃度規制と同じです。神戸市のホームページを見ると、1号基準が臭気指数10、3号基準が16とされています。

1号や3号の基準値は役所のホームページで公開されていますが、2号基準は排出口の高さなどにより異なるため、これもやはり独自に計算する必要があります。ただし、臭気指数規制の２号基準は、環境省が計算ソフトを公開しており、それを使うのが楽でしょう。

悪臭防止法における事業者が果たすべき義務

悪臭防止法における事業者が果たすべき義務を整理しておきましょう。

１つめは、規制基準の順守です。事業者は、これまで説明した物質濃度規制や臭気指数規制に基づく1号～3号基準の基準値を守ることが求められます。

２つめです。悪臭を発生させるものの焼却禁止です。住宅が密集している地域では、ゴム、プラスチック、合成樹脂、廃油など、悪臭を発生させるものを野外で大量に焼却することが禁止されています。

３つめです。水路等における悪臭の防止です。下水溝や河川、池、港湾などの管理者は、それらの場所から悪臭が発生しないよう適切に管理する責務があります。

最後は事故時の措置です。規制地域内の事業所で事故が発生し、悪臭物質の排出が基準を超える恐れがあるような場合、設置者は応急処置や復旧措置を迅速に実施する義務があります。これらはきちんと守らないといけませんね。