おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
EUのAI規制法案である"EU AI Act"に関して、2/17時点での最新情報を、かいつまんでお伝えします。(情報源は、The EU AI Act Newsletter #71です)。
スポンサーリンク
欧州委員会がAIシステムの定義に関するガイドラインを公開
欧州委員会は、AI法におけるAIシステムの定義を説明するガイドライン案を公開しました。これは結構お大きなニュースです。これまではAIシステムの定義がはっきりしなかったので、自社(自社のサービス)がEU AI Actに該当するかを判断する決め手がありませんでした。
この度定義に関するガイドラインが公開されましたので、この法律の下でAIに該当するかどうかを判断するのに役立つことでしょう。
このガイドラインは、あくまでもガイドラインですので、法的拘束力を持ちません。今後は関係者からの疑問や、具体的な事例を踏まえて、随時更新される予定です。
このガイドラインは、まだ案の段階です。委員会では承認されましたが、正式な採択はまだ行われていません。
欧州委員会が禁止AIに関するガイドラインを公開
欧州委員会は、AI法の下で禁止されるAI(許容できないリスクを伴うAIシステム)の運用に関するガイドラインを公開しました。
このガイドラインは、基本的人権などを侵害ようなAIの利活用に関するを対象としています(具体的には社会的スコアリングや、リアルタイムの遠隔生体認証識別など)。
なお、このガイドラインにも法的拘束力がなく、最終的な解釈は欧州連合司法裁判所(CJEU)に委ねられるようです。ただし関係者が法律を理解し、遵守できるよう、ガイドラインには法的解説や具体例が含まれています。
このガイドラインも承認済みですが、正式な採択はまだ行われていません。
AIリテラシーに関するデータベースの設立
欧州委員会は、AIリテラシーの向上を支援するための「生きたデータベース(Living Repository)」を設立しました。
これはEU AI Act第4条の要件でもあります。この条項では、AIプロバイダーやデプロイヤー(AIシステムのユーザー)が、従業員およびユーザーに十分なAIリテラシーを提供することを義務付けています。
これに対応するため、AIオフィスは「AIパクト(AI Pact)」に関与する組織から提供されたAIリテラシー実践例をまとめました。
このデータベースは、PDF形式でダウンロード可能であり、「完全実施済み」「一部導入済み」「計画中」の3つのカテゴリーに分類されています。ただし、このデータベースに掲載された事例をそのまま実施しても、第4条の要件を完全に満たすとは限らず、あくまで学習や情報共有を促進するための参考資料としての役割を果たすようです。
欧州委員会は、これらの実践例を評価したり、推奨したりすることはありませんが、その実施を支援します。