おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
今、国会に提出されている「AI法案」について、「何のため法律で何が書かれているか」や「企業や国民に何が求められるか」といった疑問に答えるよう解説します。
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AI法案は、この記事の執筆時点(2025/3/27)で審議中です。国会動向次第で 内容が修正になる可能性があります
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【完全解説!AI法案】法の目的・概要は?事業者に求められることは?(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 今、国会に提出されている「AI法案」について、「何のため法律で何が書かれているか」や「企業や国民に何が求められるか」といった疑問に答え ...
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AI法案 第4条~10条 (関係者の責務)
法案第4条から第10条にかけての「関係者の責務」の概要を説明します。「関係者の責務」とは、要は、国や地方公共団体が計画や施策を立てるので、その他の関係者はそれに協力してください、ということが書かれています。
第4条、第5条では、国と地方公共団体の責務について述べています。基本的には、国や自治体がAIの研究や活用をするための施策を考えて実行すると言っています。
続いて、第6条では、研究開発機関に関する責務を定めています。研究開発機関とは、大学とか産総研とか理研などをイメージするといいと思いますが、こうした機関が、AI技術の研究開発成果を広く世の中に知らしめたり、専門人材を育てたりする責務があるとしています。
第7条は事業者です。これは、AI製品・サービスの開発者・提供者、利用者(ユーザー)となる企業のことですね。事業者は、国や地方公共団体の施策に「協力しなければならない」と義務的な表現をしています。こうした義務的な表現は、この法律の中ではほとんどありませんが、事業者は政府に協力する義務がある、ということをはっきりここで述べています。具体的にどういうことに協力しなければならないのかというのは、今後明らかになる政令や、ガイドライン、もしくは実際のインシデント発生時の政府の対応などの中で明確になっていくと思われます。
第8条では、国民に対する責務を定めています。そして第9条は、こうした関係者が連携する仕組みを、国が整備することを定めています。
最後に第10条では、国がAI推進のために「法制上または財政上の措置」を講じることも規定されています。必要に応じて、別の法律やルールを作ったり、予算措置を講じたりする役割が国にはある、ということです。こうして見ると、このAI法案は、官民連携に重点を置いているといえそうです。
AI法案 第11条~17条 (国の基本的施策)
続いて、AI法案の第11条から第17条に記載されている、国の基本的な施策について解説します。
第11条で、国は、AIの研究開発を進めるための仕組み作りを行うこと、そして第12条で、スーパーコンピュータやデータセンター、データセット等のリソースの整備を行うことになります。
AI活用を適正に進めるためのガイドライン整備は第13条で規定されていますが、ここは少し重要です。AIにまつわるリスクへの対応として、AIの研究開発や活用を『適正に実施』するためのガイドラインを作ることが定められています。この『適正に実施』とは、AIに関するリスク全般、たとえば倫理の問題、公平性、透明性、セキュリティ、説明責任などを管理しながらAIを利活用するということを意味していると考えられます。ここが、AIリスクに直接触れた主要な条文のひとつと言えるでしょう。
つづいて、AI人材の育成については第14条で、そして国民への教育・広報について第15条で定められています。
第16条はとても重要ですね。ここは事実上、政府による監督の仕組みを定めた条文と言えるでしょう。第16条では、AI技術に関するリスクや悪用事例の分析を行い、必要に応じて事業者に指導や助言を行うことが定められています。例えば、フェイクコンテンツが拡散されたといったインシデントが発生した場合、その事案に関わる事業者に対し、資料提供などの協力を求める運用が行われて、場合によっては指導まで行われる可能性がありそうです。
第17条では国際的なルールづくりに、国が積極的に参加することも示されています。
これらの施策は、法として施行された場合、予算化されやすくなることも予想されます。
次回に続きます。