おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO 42001各箇条解説シリーズ、箇条4.4「AIマネジメントシステム」を詳しく解説します。マネジメントシステムとは何か?や、実際にどう設計し、運用し、維持・改善していくのかを順を追って解説します。
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ISO42001:2023 4.4 AIマネジメントシステムって何?実務上の超重要ポイント解説(1)
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AIマネジメントシステムを確立する
ISO 42001が求めているマネジメントシステムとは、
「信頼できるAIシステムの開発・提供」や「社会的責任のあるAIの活用」といった目的に近づくために、管理業務(人の管理や目標の管理、リスクの管理)と、技術的な業務(データ収集、モデル学習、システム運用)といった、AIシステムやサービスを実際に設計・開発・運用するために必要な仕事や作業のこと
と一言で説明できます。
反対にいうと、マネジメントシステムとは、「場当たり的でも結果が出ればよい」という仕事の仕方ではありません。AIシステムやサービスの設計・開発・運用に必要なプロセスを、あらかじめ整え、明確につなげておくこと、それが「マネジメントシステムを確立すること」ですね。
AIマネジメントシステムを実施し、維持する
ISO 42001では「AIマネジメントシステムを実施し、維持する」ことが求められています。これは各プロセスが期待したとおりに機能し、さらには、プロセス同士の連携がスムーズに行われる状態をキープすることを意味します。つまり、ただ仕組みを作るだけでなく、それが日々の業務の中で実際に活用され、止まらずに回り続けて、効果を出すことが求められているわけですね。
AIマネジメントシステムを継続的に改善する
また、ISO 42001は「AIマネジメントシステムを継続的に改善する」ことも求めています。これは、構築したマネジメントシステムを定期的に見直し、より効果的かつ信頼性のある形に進化させていくことを意味します。具体的には、業務で得られたフィードバックや監査の結果、実績データなどを踏まえて、プロセスの弱点を洗い出し、仕組みそのものを改善し続けるということですね。
ISO42001 箇条4.4の実務上の重要ポイント
ではマネジメントシステムを「確立・実施・維持・継続的に改善する」というのは、実務上、具体的にはどうすればいいのでしょうか?
例を使って説明をしたいと思いますが、まず「確立」は、必要なプロセスを洗い出し、プロセス一覧や業務フロー図などの文書で明確にすることですかね。
「実施」は、確立したプロセスに沿って実施に業務を行って、記録や教育履歴、AIシステムの運用ログといった証拠を残すことです。
「維持」はどうでしょう。これは、システムが正しく機能しているかを監視や測定し、不具合がないかを継続的に確認することですね。チェックリストや監視・測定記録がその証拠になります。
最後に「継続的改善」ですが、これは監視・測定や内部監査の結果から改善機会を見出して、プロセスやシステム自体をより良くしていくことです。
ところで、箇条4.4自体には文書化の直接的な要求はありません。ですので、この例であげた文書は絶対に作らないとダメということはないのですが、実務上は必要に応じて、ある程度の文書化をするのがいいんじゃないかと思います。
箇条4.4のポイントを一言でいうと「AIに関する業務全体をつなぐ仕組みを作って運用する」ことです。これで箇条4の説明は終わりですが、これから行う箇条5以降が、まさにAIマネジメントシステムの各プロセスの具体的な内容になります。一つ一つを解説していきますので、ご期待ください!