おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)ってそもそも何かを、超簡単に解説していきます。ISO50001とはどんな規格なのか、どんなことを目的としていて、実際の企業ではどのように活用されているのかについて、具体例を交えながら説明します。
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ISO50001とは何か
さて、ISO50001とは、一体どのような規格なのでしょうか?一言でまとめると、「エネルギーをムダなく、そして効率的に、賢く使っていくために必要な業務や仕事のまとまり、つまり一連の流れを体系的に整理したもの」です。
もう少しかみ砕いて言うと、電気やガス、燃料などのエネルギー資源をいかに無駄なく使い、効率的に管理していくか、そのための仕組みを作るための国際規格、ということになります。
ここでいう「エネルギー」という言葉には、たとえば電気、都市ガス、軽油、LPガス、ガソリンなどが含まれます。つまり、省エネルギー法(省エネ法)で「エネルギー使用」として定義されているものとだいたい重なると考えてよいでしょう。
企業はなぜこのISO50001に取り組むのか
では、企業はなぜこのISO50001に取り組むのでしょうか?実際の企業でよく見られる導入のきっかけや背景について、いくつかの代表的なパターンを紹介します。
まずひとつめは、「法律や条例への対応」という観点です。例えば省エネ法や、各自治体が定めるエネルギー関連の条例などにより、省エネへの取り組みが義務付けられている事業者があります。こうした事業者にとって、ISO50001の仕組みがあれば、法令への対応を、社内の管理体制の一部として整備しやすくなります。言い換えれば、法令対応を「場当たり的」にではなく、きちんとルールとして定着させる助けになるということです。
2つめは、「災害時の対応力強化」や「BCP(事業継続計画)の整備」といった面です。特に東日本大震災以降、電力やガスなどのエネルギー供給が安定しないと、会社の事業活動そのものが継続できないという現実を、多くの企業が痛感しました。そこで、エネルギーの安定確保を経営上の課題と捉え、その一環としてISO50001を導入するケースが増えてきています。
3つめは、「顧客への提案力強化」です。これは特にビル管理会社やリサイクル業といった、環境への取り組みが問われやすい業種で見られます。自社がどのように省エネを進めているか、その実績をISO50001という第三者認証を通じて見える化することで、顧客に対しての説得力が増すというわけです。
4つ目に挙げられるのが「業務効率化とエネルギーコストの削減」です。例えば電気料金や燃料費といったエネルギーコストは、企業経営において大きなウエイトを占めることがあります。ISO50001の仕組みを使って、全社的に省エネ活動を推進することで、これらのコストを削減する効果が期待できるのです。
そして5つ目は、「社内体制の強化」や「社員の意識改革」です。省エネに関する取り組みを一部の担当者だけに任せるのではなく、全社的な活動として展開し、社員一人ひとりがエネルギーを意識して行動できるようにするための仕組みとして、ISO50001が役立ちます。さらに、外部の審査機関による審査を受けることで、社内の意識も引き締まり、省エネ活動が単なるスローガンで終わらないようになるというメリットもあります。
次回は規格の全体像についてお話します。