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【速報】事業再構築補助金 公式資料から見える業種別・都道府県別・認定支援機関別採択率

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

事業再構築補助金事務局は、「事業再構築補助金1回公募の結果について」という資料を公開しています。1次公募の応募と採択結果を様々な面から分析した資料ですが、この資料を基に、当社が業種別・都道府県別・認定支援機関別採択率を割り出しました。

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公式資料「事業再構築補助金1回公募の結果について」はこちら

事業再構築補助金1次公募 採択結果の全体像

まずは1次公募の採択結果の全体像を見ていきましょうか。この表は、応募類型別に応募件数、うち申請要件を満たした件数、採択件数、そして採択率を示したものです。この表は、公式資料の1ページ目に掲載されている表と同じものです。

中小企業中堅企業
通常枠特別枠卒業枠通常枠特別枠V字回復枠合計
応募件数(A)168975167807114222231
申請件数(B)147834315696011119239
採択件数509228594512718016
採択率(Aに対して)30.1%55.3%56.3%16.9%50.0%50.0%36.1%
採択率(Bに対して)34.4%66.3%65.2%20.0%63.6%100.0%41.7%

まず全体として22,231件の応募がありました(これが応募件数)。うち、申請要件を満たした件数が19,239件ですね(これが申請件数)。つまり要件を満たさないまま申請をしたものが2,992件もあったということです。申請全体の13.5%が要件を満たしていないということですので、要件はしっかり読んで申請をしましょう。「要件は満たしていないけどダメ元でやろう。採択されたらラッキー」という考えでは、ここで確実に弾かれます。

そして全体では採択件数が8,016件ですかね。よって採択率は、応募件数に対しては36.1%、申請件数に対しては41.7%となりました。

採択率4割前後といわれると、ものづくり補助金と同レベルなので、まずまずの高さかなという印象はありますが、内訳を見ていくとちょっと事情が異なるのがわかります。中小企業特別枠の採択率は、応募件数ベースで55.3%だったのに対し、中小企業通常枠は応募件数ベースで30.1%でした。25ポイント以上も開きがあります。特別枠をかなり優先して採択されたことがわかります。

中小企業通常枠における応募件数ベースの採択率は30.1%ですが、特別枠で不採択だったけれども、再審査されて通常枠で復活採択されたという申請者も少なからずいるでしょうから、純粋に通常枠で申請をして採択をされたという企業の採択率は、3割を切っているのではと思われます。なお、特別枠は現在公募中の2次公募をもって終了となりますので、3次公募以降はまたちょっと事情が変わってくるかもしれませんね。

事業再構築補助金1次公募 業種別採択率

続いて、業種別の採択率を推定してみたいと思います。「事業再構築補助金1回公募の結果について」の2ページ目に、「業種別の応募と採択割合について」としてこのようにスライドがあります。このスライドでは、応募件数に対する業種別の構成比と、採択件数に対する業種別の構成比が明示されています。応募件数と採択件数は、先程お見せした表でわかりますので、ここにある構成比をかけ合わせると、業種別の応募件数と採択件数が算出できます。この方法で、業種別の採択率を割り出してみます。

https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/koubo_kekka_gaiyou01.pdf

結果はこのようになりました。おそらく小数点の繰り上げ、繰り下がりの問題でしょうけど、この方法で割り出された推定の応募件数と推定の採択件数が、公表された数値と微妙に合いません。しかし全体的な傾向を掴む上では誤差の範囲ですので、このまま分析することをご容赦ください。

応募数構成比推定応募件数採択件数構成比推定採択件数推定採択率(応募件数に対して)
建設業8.6%19126.7%53728.1%
製造業23.2%515831.7%254149.3%
情報通信業4.7%10453.7%29728.4%
運送業・郵便業1.4%3111.2%9630.9%
卸売業・小売業14.9%331212.4%99430.0%
不動産業・物品賃貸業3.9%8672.1%16819.4%
学術研究、専門・技術サービス業6.4%14234.5%36125.4%
宿泊業、飲食サービス業18.0%400221.8%174743.7%
生活関連サービス業6.7%14896.1%48932.8%
教育、学習支援業2.0%4452.0%16036.1%
医療、福祉2.8%6222.0%16025.8%
サービス業(他に分類されないもの)5.6%12454.4%35328.3%
その他の分類1.8%4001.5%12030.0%
合計100%22231100%8016100%

これを見ると製造業が最も高い49.3%で、ついで宿泊業・飲食サービス業、教育・学習支援業という順で採択率が高いようです。ただしこの結果をみて「おおそうか、製造業が高いのか。うちは製造業だから、じゃあこの補助金に申請すれば高い確率で採択されるな」と判断するのは、ちょっと早いと思います。というのも、この公表データは、この業種が何の業種なのかを示していません。事業再構築補助金では、現在と将来の業種・事業が変わることを想定していますが、この資料の言う「業種」とは、事業再構築前の業種なのか、事業再構築後の業種なのかが明確にはわかりません。したがって可能性としては、これまで飲食業を営んできたけど、立ち行かないので食品製造業に事業転換する企業などが含まれている可能性もあります。データの定義がわからないので、あくまでも参考にとどめておいてください。

事業再構築補助金1次公募 都道府県別採択率

次に、都道府県別の採択率を推定してみたいと思います。都道府県別の応募件数、申請件数、採択件数は「事業再構築補助金1回公募の結果について」の4ページ目に明記されています。

https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/koubo_kekka_gaiyou01.pdf

これを基に、採択率を割り出してみます。採択率だけではなく、不備率も求めてみました。不備率とは、「(応募件数ー申請件数)÷応募件数」で算出したもので、応募件数のうちどれだけが要件を満たさないものだったのかを示しています。

応募件数(A)申請件数(B)採択件数不備率採択率(Aに対して)採択率(Bに対して)
北海道78667227614.5%35.1%41.1%
青森県92733020.7%32.6%41.1%
岩手県98864312.2%43.9%50.0%
宮城県2362098411.4%35.6%40.2%
秋田県84704016.7%47.6%57.1%
山形県1801537115.0%39.4%46.4%
福島県1731516112.7%35.3%40.4%
茨城県36331814012.4%38.6%44.0%
栃木県24922310710.4%43.0%48.0%
群馬県35730715014.0%42.0%48.9%
埼玉県61452424014.7%39.1%45.8%
千葉県48040919214.8%40.0%46.9%
東京都37893216120515.1%31.8%37.5%
神奈川県91478334514.3%37.7%44.1%
山梨県1741557210.9%41.4%46.5%
新潟県3323011329.3%39.8%43.9%
富山県212194918.5%42.9%46.9%
石川県30526312813.8%42.0%48.7%
福井県2091807513.9%35.9%41.7%
長野県50144620611.0%41.1%46.2%
岐阜県45240719410.0%42.9%47.7%
静岡県67460422810.4%33.8%37.7%
愛知県1692147764212.7%37.9%43.5%
三重県2742471029.9%37.2%41.3%
滋賀県32528311212.9%34.5%39.6%
京都府83471729614.0%35.5%41.3%
大阪府2184190075213.0%34.4%39.6%
兵庫県103190137212.6%36.1%41.3%
奈良県27822510619.1%38.1%47.1%
和歌山県177161769.0%42.9%47.2%
鳥取県72592818.1%38.9%47.5%
島根県8375299.6%34.9%38.7%
岡山県3583231709.8%47.5%52.6%
広島県41636616212.0%38.9%44.3%
山口県1791565912.8%33.0%37.8%
徳島県138129456.5%32.6%34.9%
香川県3012629413.0%31.2%35.9%
愛媛県2452148112.7%33.1%37.9%
高知県7669369.2%47.4%52.2%
福岡県92178532614.8%35.4%41.5%
佐賀県113995012.4%44.2%50.5%
長崎県1621334517.9%27.8%33.8%
熊本県3112619816.1%31.5%37.5%
大分県1851534717.3%25.4%30.7%
宮崎県1631334618.4%28.2%34.6%
鹿児島県1921645714.6%29.7%34.8%
沖縄県2472037517.8%30.4%36.9%
合計22231192398016

いろんな感想が浮かんでくるんですが、応募件数に対する採択率としては、秋田県の47.6%というのが、最も高い採択率でした。応募件数に対する採択率は全体平均が36.1%ですから、秋田県は全体平均よりも14ポイントも高くなっています。一方で、九州には応募件数に対する採択率として20%台の県がいくつか見られます。通常枠と特別枠をミックスした採択率でも20%台なのですから、これらの県については通常枠の採択率は相当低いのではないかと推察されます。

こうした都道府県差が出る理由はよくわかりません。審査の質の違いなのか、申請者の属性の違いなのか、加点の有無の違いなのか、それともその全てなのか、というところでしょうか。

事業再構築補助金1次公募 認定支援機関別採択率

最後に、認定支援機関別の採択率を推定してみたいと思います。「事業再構築補助金1回公募の結果について」の7ページ目に、「認定支援機関別応募・申請・採択状況」としてこのようにスライドがあります。

https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/result/koubo_kekka_gaiyou01.pdf

このスライドでは、認定支援機関別に応募件数、申請件数、採択件数が表示されていますので、この数値をもとに認定支援機関別の採択率と不備率を割り出してみます。

応募件数(A)申請件数(B)採択数不備率採択率(Aに対して)採択率(Bに対して)
銀行36131213213.6%36.6%42.3%
地銀39033481160410.8%41.1%46.1%
信用金庫32952872129712.8%39.4%45.2%
信用組合2542249211.8%36.2%41.1%
その他(金融機関)27223810512.5%38.6%44.1%
税理士3163266781615.7%25.8%30.6%
税理士法人2508217272713.4%29.0%33.5%
公認会計士71962021613.8%30.0%34.8%
商工会1437122952614.5%36.6%42.8%
商工会議所2088170972418.2%34.7%42.4%
中小企業診断士1195105351511.9%43.1%48.9%
行政書士1221013317.2%27.0%32.7%
民間コンサルティング会社2079183887511.6%42.1%47.6%
一般社団法人1181034412.7%37.3%42.7%
公益財団法人24321813610.3%56.0%62.4%
コンサルタント1441265612.5%38.9%44.4%
その他33027711816.1%35.8%42.6%
合計22231192408016

応募件数に対する採択率としては、公益財団法人の47.6%というのが、最も高い採択率でした。公益財団法人ってどんな機関なの?という疑問が湧いてきますが、これは各都道府県や市町村がもつ中小企業支援センターのことを指します。公益財団法人は不備率も最低でしたので、優秀なスタッフがそろっているのでしょうけど、支援件数が相対的にはかなり少ないです。最も多くの件数を手掛けているのも関わらず、不備率も採択率も良好なのは、地銀ですね。

反面、税理士さんは支援件数が金融機関についで多いにも関わらず、不備率も高めで、採択率も20%台です。ちょうど1次公募の時期は確定申告の時期とも重なっていたこともあり、この補助金のように複雑な制度への対応が難しかったのかもしれません。

当社としては、数字から見えること以上にあまり深く立ち入った分析はしません。「どうしてこうした数字なのか」ということについては、皆さんでそれぞれ思いを巡らせてみて下さい。

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