ISO45001:2018 6.1.3 法律をただ守ればOKじゃない！？規格は○○を求めている(2)

おはようございます！マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO45001:2018 箇条6.1.3「法的要求事項及びその他の要求事項の決定」を説明します。この箇条では、法律や顧客の要求などをただ守るだけではなく、プロセスを確立しなさいと言っています。具体例を交えて詳しく解説します。

スポンサーリンク

動画でも解説しています（無料・登録不要）

前回の記事はこちら

要求事項の特定・順守プロセスの具体例

前回は、要求事項の特定・順守プロセスの概略をお伝えしました。今回は、安全衛生推進者の選任という具体例を使って、このプロセスをもう少し説明します。

まず「要求事項の特定」ステップでは、我が社では安全衛生推進者の選任が必要であることを特定しました。

「要求事項の入手」では、厚生労働省のウェブサイトから、安全衛生推進者に関する具体的な情報を収集します。

「適用方法の決定」では、収集した情報をもとに、選任すべき人物を誰にするか、講習を受けさせるかどうか、安全衛生推進者にはどんな役割を担ってもらうかなどを決めます。

「コミュニケーションの決定」では、安全衛生推進者の氏名を職場に掲示することなどがわかりました。

続いて計画に基づいて、選任を実施し、講習に行ってもらい、役割の遂行を促します。

安全衛生推進者の活動結果は「モニタリングと評価」をします。例えば設備の安全点検結果をレビューします。点検で問題が発見されれば、是正措置を講じます。

このプロセスを日常業務に組み込み、選任された人が役割を負担と感じないよう負荷を適宜調整し、任期を設けて定期的に推進者を変えて、要求事項を常に最新の状態で守り続ける体制を整える…という具合で、プロセスを実施します。

ISO45001:2018 箇条6.1.3の規格要求事項

これを踏まえた上で規格要求事項を見ていきましょう。

まず、組織は、法的要求事項やその他の要求事項に対応するプロセスを設け、これを運用し続けなければなりません。このプロセスには、特定のステップ(aからc)が含まれます。つまり、先程説明したようなプロセスを確立して、実施して、維持することを指しています。

次に、文書化の要求事項があります。具体的には、要求事項の実行方法を示した手順書のような文書と、どんな要求事項が特定され、我が社に適用したのかの証拠となる記録の両方を文書化するよう求めています。もちろん、それが常に最新の情報に更新されていることを確実にしないといけません。

また、「法的要求事項及びその他の要求事項は、組織にとってのリスクや機会になりうる」という点も重要です。要求事項を満たさないことで生じるリスクには、罰金や業務停止などがあります。逆に、規制の緩和や新しい法律への迅速な対応は、組織の信頼性向上という機会につながる可能性があります。

ISO45001:2018 箇条6.1.3はプロセスの構築を求めている

2回にわたってISO45001:2018箇条6.1.3を解説しましたが、一言でまとめると6.1.3はプロセスの確立に焦点を当てた内容でした。

この箇条は「ただ法律を守っていればいいや」という考えではなく、組織全体でそれを順守するプロセスを構築して運用し続けることを求めている、ということですね。そうしたプロセス・仕組みがなければ、法律の改正や、法律以外に利害関係者から求められていることを見落としかねないからですね。

というわけで今回の記事のタイトル「ISO45001:2018 6.1.3 法律をただ守ればOKじゃない！？規格は○○を求めている」の◯◯に該当するのは「プロセス」が答えでした😊