おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018 各解説シリーズ、今日は箇条10.3「継続的改善」を解説をします。継続的改善とはなにか、継続的改善はどのように行うべきかを具体的なイメージがわくように解説します。
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ISO45001:2018 10.3 継続的改善はパフォーマンス向上のためにやる(1)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO45001:2018 各解説シリーズ、今日は箇条10.3「継続的改善」を解説をします。継続的改善とはなにか、継続的改善はどのよう ...
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継続的改善プロセスとはどんなプロセスか
継続的改善はどのように進めていくことができるでしょうか。ここに継続的改善プロセスの例を示します。
最初のステップは「現状把握」です。ここでは、過去の労災データや現場の安全巡視結果など、さまざまなインプット情報をもとに組織の現状を把握し、改善の必要がある課題や問題点を明確にします。なお、規格の附属書A.10.3にもインプット例が書かれていますので、参考にしてみてください。
次に、把握した現状に対して、何が原因か、どうすれば改善できるかという仮説を設定します。そして仮説をもとに、具体的な対策を検討し、実行計画を立てます。具体的な対策の例としては、教育訓練の内容変更や新しい保護具の導入、安全パトロールの強化といった施策が考えられます。
続いて決定した対策を計画に基づいて実行します。対策実行後、その効果を測定し、仮説が正しかったかを検証します。ここで成果が見られない場合は、仮説設定や対策決定に立ち戻り、再び改善策を検討します。
最後に、効果が確認できた改善策は「修正された作業手順書」などとして標準化され、現場、または組織全体に展開します。このような流れで継続的改善プロセスが進められて、パフォーマンス向上を実現するという仕組みですね。
箇条10.3の規格要求事項
以上のことを踏まえて、箇条10.3の規格要求事項について解説します。
最初の一文では、「労働安全衛生マネジメントシステムの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善しなさい」と述べています。ここでいう適切性、妥当性、有効性とは、どのような意味でしょうか。
適切性とは、組織の規模や目的、事業の内容に応じたマネジメントシステムになっているか、ということです。過度に重たい仕組みや、逆に軽すぎて管理が不十分な仕組みでは「適切」とは言えません。妥当性は、意図した成果(パフォーマンス向上や目標達成)に対して、十分な取り組みができているか、ということです。まだやれることがあるのに放置されていたり、取り組みに何かが足りない状態では「妥当」とは言えません。そして最後、有効性は、意図した成果(パフォーマンス向上や目標達成)が実現されているか、ということです。「活動はしているけれども成果が上がらない」という場合は「有効性がない」と言えます。
こうした適切性、妥当性、有効性を改善するために、a)からe)までのことをやりなさいと規格は言っています。
a)では、労働安全衛生のパフォーマンスを向上させる取り組みをしなさい、といっています。これは先程説明したように、主にプロセスを改善していくということでもありますね。
b)はどうでしょうか。組織内に、ISO45001に基づく取り組みを積極的に進める雰囲気を醸成しなさい、ということです。例えば、労働安全衛生に貢献した従業員を表彰する制度を導入する、といった取り組みが考えられます。
c)です。こちらは、従業員に改善活動に積極的に参加してもらい、意見やアイデアを出し合って改善策を実施しなさい、ということです。従業員の現場の声や提案が、効果的な改善策につながることがあるからですね。
d)です。これは、改善活動の結果を、働く人やその代表(労働組合)にしっかり伝えなさい、ということです。改善の成果を伝達することで、従業員に成果を実感してもらい、安全活動への協力や意識向上を促す狙いがあるからでしょうね。
最後のe)ですが、継続的改善の証拠を「文書化した情報」として維持し、保持しなさい、ということです。具体的には、改善後の作業手順書を作成したり、労災件数の変化や対策の効果を示すデータを記録することが挙げられます。
まとめ
はい、というわけで、ISO45001:2018 箇条10.3「継続的改善」について解説をしましたがいかがだったでしょうか。今回のポイントは2つありました。一つは、継続的改善とは、プロセスの改善を積み重ねていくことが中心だ、という点。そしてもう一つは、継続的改善自体にも流れ、プロセスがある、というお話でした。
これでISO45001:2018各箇条解説シリーズも完結です。このシリーズでは、ISO45001労働安全衛生マネジメントシステムの規格要求事項をわかりやすく、実務に則して解説してきました。この記事が最後になりますが、規格要求事項の解釈に悩んだときには繰り返しご覧いただければ幸いです。