おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
先日リリースされたChatGPTのDeepResearchという機能ですが、これを使うと「もうコンサルはいらないんじゃないか?」という説が、まことしやかに流れています。果たしてDeepResearchがあれば、本当にもうコンサルなんかにお金を払わなくてもいいのでしょうか?現役の経営コンサルタントであるわたしが、私の専門分野(ISO9001コンサルティング)におけるChatGPTのDeepResearch結果を検証してみたいと思います。
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DeepResearchで調査をする際の基本ステップ
今回、DeepResearchで調べ物をしました。調査結果が出るまでに、3つのステップがありました。
最初が「調査指示(プロンプト)の入力」です。ここでは、人がAIに調査の指示を出します。すると次のステップで「調査範囲の確認(追加質問)」がありました。ここではAIから人間に対して、「どの範囲を調べるか?」と追加の質問がありました。最後のステップが「調査結果の出力」です。AIが5分間ほど調べた後、調査結果が出ました。このような流れで調査が進みました。
調査指示(プロンプト)の入力
まずステップ1.プロンプトの入力です。人間がどのような調査指示をしたのかということですが、今回はこのような指示を投げかけました。
ISO9001:2015の8.4.1項の要求事項を以下に示します。このうち「組織は、これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について、文書化した情報を保持しなければならない。」という要求事項について、組織が具体的に何をどこまで文書化すべきか、詳細な調査をお願いします。
(以下、8.4.1の規格要求事項を貼り付け)
つまり、ISO9001にしたがって、外部提供者の管理を行う場合、何をどこまで文書に残せばいいのかを調べてほしい、というリクエストですね。
調査範囲の確認(追加質問)
続いてステップ2です。今度はAIが人間に対して、こういうことを訊いてきました。
ISO 9001:2015の8.4.1項における「文書化した情報」の具体的な範囲について詳細な調査を行います。
調査の方向性について以下の点を確認させてください。
- 業界・業種の特定: 特定の業界・業種(製造業、サービス業、医療、ITなど)に焦点を当てた調査が必要ですか?
- 具体的な文書化の例: 文書化すべき情報の種類(手順書、評価記録、契約書、チェックリストなど)の具体例を求めていますか?
- ベストプラクティスや規格のガイダンス: 公式な規格ガイドラインや業界のベストプラクティスに基づく推奨事項も含めますか?
- 法規制との関連: ISO9001の要件を満たすための法規制(国内外の品質管理関連規制など)との関連性も調査しますか?
ご希望の調査範囲をお知らせください。
今回はテストですので、このうち3番め「ベストプラクティスや規格のガイダンスもほしい?」という質問に対してのみ、「はい」と答えました。
調査結果の出力
調査範囲について答えたあと、5分19秒後に、調査が完了しました。そして、文字数で言うと6,121文字の調査結果が出力されました。
調査結果は、4つのセクションに分かれていました。
一つ目が「企業が保持すべき文書化情報の範囲」ということで、これが最初のプロンプトで指示をした、今回最も尋ねたかったこと——つまり、どれだけ外部提供者の管理について文書を残さないといけないのか——についての回答ですね。
そのあとも3つセクションがあるのですが、実はこれは、尋ねたかったこととは少し焦点がズレた回答でした。セクション2から4については、ISO9001の規格でいうと箇条7.5に関する調査結果です。しかし私が尋ねたのは、規格の箇条8.4.1についてですから、セクション2から4については、私が尋ねていないことについての回答だったということですね。セクション2~4がプロンプトで指示をしたことと全く関係がないとは言いませんが、こちらの質問の焦点ではないことは確かです。
これはかなり残念な結果に思えます。こちらが欲しかった回答はセクション1についてなので、そこを深く掘り下げて調査し、結果をアウトプットすべきだったと思います。これがもし人間のコンサルタントによるアウトプットだとすると、私だったらたぶんクレームしますね。
というわけで、今回のこの連載は、セクション1の内容に絞って、特に『何をどこまで文書化すべきか』という点に焦点を当てて検証します。