おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
日本では、製造業・建設業を中心に、ISO14001の認証を取得している企業は約13,000社あります(JAB認定)。ISO14001とはいったい何のことでしょうか?わかりやすく解説します。
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ISO14001とは何か?
ISO14001とは「企業などの活動が環境に及ぼす影響を最小限にとどめることを目的とした、環境に関する経営管理の仕組み」に関する国際規格のことです。
現行有効なものは正式にはISO14001:2015という名称です。ISOのマネジメントシステムは、その時々の界隈の動向や、前バージョンの課題などを踏まえて、ある程度の期間をおいて更新をされます。現在のバージョンは2015年版ですので、ISO14001:2015というのが正式名称ですね。
ISOは国際標準化機構が定めた規格ですが、これと同じ内容でJIS(日本工業規格)化され、JISQ14001:2015とも呼ばれます。
経営管理の仕組み(マネジメントシステム)とは何か?
「経営管理の仕組み」といっても章立てを元に解説をします。
まずは主にトップ(≒社長)がやる場合が多いと思いますが、組織の状況を分析し、それを方針化するなどし、社内に展開をしていきます。
次は計画の作成です。ISO14001では「環境側面」(環境に与える影響の要因)と「環境影響」(環境に対するよい影響、悪い影響)などを分析し、それをどう・どの程度管理するのかという「環境目標」を立てます。(詳しくは後述します)
計画を立てれば次は実行です。実行をする上で必要な資源(ヒト、モノ、カネ)を揃えた上で、実行をします。
計画を実行したら、その成果の確認です。目標に対する達成状況を確認しますし、決めたことが守られたかどうか、うまくいったかどうか(≒有効性)を監視、測定、内部監査などで確認をします。その結果はトップへ報告をします(マネジメントレビュー)。うまくいかなかった場合や、決めたことが守られなかった場合は、見直し(是正処置)をします。
環境側面と環境影響、環境目標。
ISO14001では「環境側面」(環境に与える影響の要因)と「環境影響」(環境に対するよい影響、悪い影響)などを分析し、それをどう・どの程度管理するのかという「環境目標」を立てます。その具体例は下記に示します。
環境側面は、いわば環境に与える影響の要因のことなのですが、要因や原因という言葉は使われていません。下記の例では「加工」を挙げていますが、加工そのものが悪い点や是正すべき点ではないからです。顧客の要求を満たすために加工は不可欠ですし、加工を通じて収益をあげていくわけですから、これ自体は悪いものではありません。
しかしそうした加工を通じて、環境に悪い影響(この例でいうと、廃棄物の発生)を及ぼすという側面があるわけですね。ISO14001とは、別の言葉であらわすと、環境影響を最小限にするよう、こうした環境側面を管理する仕組みとも言えます。
環境側面や環境影響に対して、何をどの程度まで管理するかということを示したものが「環境目標」です。下記の例だと歩留まりの向上を目標にしています。廃棄物が出るのが悪いことなのであれば、廃棄物が出ないよう、教育訓練や設備投資を通じて、歩留まりをあげていくという取り組みを行います。
ISO14001認証取得のメリット
ISO14001の認証取得メリットはたくさんあると思いますが、当社が考えるメリットを3つお話します。
まずは顧客の満足度が高まるということです。顧客との取引においても、環境に対する要求があります。例えば欧州指令でRoHS指令というものがあります。欧州に輸出する物品には、特定の有害物質を使ってはならないという決まりのことです。顧客が欧州向けの製品を作っているのであれば、下請けの中小企業も、そうした物質を使わないよう、社内で管理をしなければなりません。そうした管理をしっかりと行うことができれば、顧客も安心できますので、満足度が高まります。
次に、顧客以外の利害関係者の満足度が高まるということです。一番わかりやすいのは、近隣住民でしょう。工場から発せられる騒音や悪臭、排水、排気など、近隣住民の迷惑になるような影響が、ISO14001による管理で低減をされると、近隣住民は安心して生活ができます。
そして最後に、こうした取り組みを通じて、企業イメージがアップします。取引先からは追加受注がもらえるようになるでしょうし、近隣住民のイメージがよくなれば、もしかしたらパートやアルバイトの採用活動も捗るかもしれません。