こんばんは!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
10月26日のロイター通信報道によると、新たな経済対策として低所得世帯限定で給付金を再給付することが検討されているとのことです。記事の内容を解説します。
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『来週にも首相が経済対策指示、給付金やGoTo延長で10兆円規模=関係筋』
低所得世帯限定給付金について報じた部分を引用します。記事へのリンクは下記のとおりです。
家計向けの再度の給付金も検討されている。自民党内からは一律5万円給付案も提案されたが、下村博文政務調査会長はロイターとのインタビューで一律支給は見送る考えを示し、所得限定給付30万円、予算枠3.7兆円程度を提案した岸田文雄前政務調査会長の考え方が正しいと述べている。他の自民党・公明党幹部らかも、限定給付案を支持する声が目立つ。
(10月28日 ロイター通信より)
低所得世帯限定給付金は今年4月にも検討された
ロイター通信の記事中にある「所得限定給付30万円、予算枠3.7兆円程度を提案した岸田文雄前政務調査会長の考え方」というのは、今年4月7日に公開された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」にある給付金制度のことを指していると思われます。ご存知のように、所得限定の給付金制度は、公明党等の反対により中止となり、かわりに一律10万円の特別定額給付金になりました。
4月7日時点では、どのような制度だったのでしょうか。経済対策資料の該当部分を引用します。
休業等により収入が減少し、生活に困っている世帯に対して、生活維持のために必要な資金を迅速に交付する新しい給付金制度を創設する。
具体的には、世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が、①新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準となる低所得世帯や、②新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準の2倍以下となる世帯等を対象として、1世帯当たり 30万円の給付を行う。
給付に当たり、収入状況を証する書類等を付して市町村に申請を行うこととなるが、市町村の事務負担を考慮するとともに、文化芸術をはじめとする業態の特殊性も含め、申請者の事務負担を考慮して、可能な限り簡便な手続とする。あわせて、オンライン申請受付等のシステム整備を行う。その際、マイナンバーカードの活用等、迅速な給付システムについて検討を行う。
まとめると、次のようなポイントの制度でした。
4月時点の給付金制度ポイント
- 感染症の影響を受け、休業等により収入が減少した世帯に対して、1世帯当たり30万円を給付
- 給与所得者(正社員、パート、派遣社員、アルバイト等)の世帯が対象
- 原則“世帯主”の収入で判断する。ただし世帯主以外の収入が減少して、世帯として生計の維持が困難となるケースにも適用?
- 収入状況を証する書類等を付して市町村に申請を行う
- オンラインでの申請も可能にする方針
この度検討される所得限定給付金の制度は、上記のもの(4月時点で検討されていた制度)と全く同じになるとは言えませんが、ある程度参考にするかもしれません。
一律給付金の二回目・再給付の可能性はないのか?
所得限定ではなく、一律給付金の二回目・再給付の可能性はないのでしょうか?
10月9日ロイター通信によると、下村自民政調会長が「家計への再度の給付金については、一律給付も対象限定の給付もいずれも念頭にない」と述べたことを報じています。
政府は、コロナ対策として家計への一律10万円給付金を実施したが、下村氏は「考え方としては、岸田前政調会長が提案した所得制限をかけての給付という考え方が正しいと思う」と述べた。ただ「デジタル化の遅れで給付金の受け取りに3カ月も要し、スピード感に欠けていたことを考えれば、必要な時点で届かなければ意味がない」とした上で、「限定給付も一律給付も今時点では考えていない」と述べた。
(10月9日ロイター通信記事より。赤字筆者)
10月16日には共同通信記事が、麻生財務相が国民一律に給付金を再支給することに否定的な考えを示したことを報じました。
麻生太郎財務相は16日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス対策として国民一律に給付金を再支給することへの考えを問われ「特別定額給付金は緊急事態宣言が全国に拡大したことを踏まえて行った。宣言が解除されている現在とは状況が異なる」と述べ、否定的な考えを示した。
(10月16日共同通信記事より)
10月23日の毎日新聞記事では「一方、全国民一律の現金給付は実施しない方向だ」と書かれています。
新型コロナワクチンの接種を希望者全員が無料で受けられるようにするための医療機関への報酬費や、現在12月末までとなっている雇用調整助成金の特例期限延長に関連する予算などが検討される見通し。公明党が要求している、旅行需要喚起策「Go Toトラベル」の延長や、大学受験生らに2万円を支給する案なども論点になりそうだ。一方、全国民一律の現金給付は実施しない方向だ。
(10月23日の毎日新聞記事より)
一律給付にはこうした否定的な報道が多く見られます。しかし当初の給付金も世論に押されるかたちで一律給付になったという経緯があります。今後の世論の動向では、また方向性が修正される可能性もゼロではないでしょう。
低所得世帯限定で給付金を再給付する具体的内容は第3次補正予算案とともに明らかに
低所得世帯限定で給付金を再給付する件が実現するとすれば、第3次補正予算案とともに明らかになるものと思われます。
10月22日のブルームバーグ記事によると、自民党の甘利明税制調査会長が「(12月)14-15日ごろに第3次補正予算案をまとめる」と述べたと報じています。
自民党の甘利明税制調査会長は22日午後、日本記者クラブでの記者会見で、2020年度第3次補正予算案の編成は「間違いなくある」と明言した。12月10日前後に与党税制改正大綱、14-15日ごろに第3次補正予算案をまとめるとの見通しも示した。
(10月22日ブルームバーグ報道より)
これは閣議決定の時期を示しているのだと思われます。ここ3年間の、補正予算案の閣議決定時期を見てみましょう。いずれも12月ですね。
過去3年間の補正予算閣議決定
- 平成29年度補正予算:平成30年12月22日
- 平成30年度補正予算:平成31年12月21日(第2次補正予算)
- 令和元年度補正予算:令和元年12月13日
12月中旬には、給付金再給付をするかしないかを含めて、全容が明らかになると思われます。