おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
中小企業庁が公開した「事業再構築補助金の概要」の6ページには、「事業再構築補助金は基本的に設備投資を支援するもの」と書かれており、補助対象経費にいくつかの制限が設けられる可能性が読み取れます。どういう制限が設けられるのかを考察します。
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「事業再構築補助金は基本的に設備投資を支援するもの」
「事業再構築補助金の概要」の6ページ目に下記のようなスライドがあります。ここの冒頭に「本補助金は基本的に設備投資を支援するものです」と明確に書かれています。
補助金施策は様々なものがありますが、補助金によって計上できる経費の考え方は異なります。例えばものづくり補助金だと、機械装置・システム購入費は必ず計上しなければなりません。一方で小規模事業者持続化補助金だと13種類の対象経費がありますが、特にそうした制限はありません。いろいろな考え方があるのですが、この「事業再構築補助金の概要」では「基本的に設備投資を支援」という方針のようです。
事業再構築補助金における「主要経費」と「関連経費」
また、上記の資料には「主要経費」と「関連経費」という考え方があります。
主要経費としては、建物費(建物の建築・改修に要する経費)、建物撤去費、設備費、システム購入費が挙げられています。
一方、関連経費として、外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)、リース費、クラウドサービス費、専門家経費が挙げられています。
この「主要経費」と「関連経費」の違いは何でしょうか?そのヒントは、上記の資料の一番下の注釈にあります。注釈には「関連経費には上限が設けられる予定です」とあります。これはどういうことかというと、例えば6,000万円の補助金を申請するとして、その全額(100%)を広告宣伝費として計上したり、外注費として計上することはできない、ということだと思われます。必ず計上しないといけない費用があって(これがおそらく主要経費ではないかと推察されます)、関連経費の上限額は、補助金全体の何%までなどという制限がつくものだと想定されます。
事業再構築補助金ではどんな経費制限がつくのか?
参考までに、ものづくり補助金ではどのような経費制限が設けられているかを見てみましょう。下記の図は、ものづくり補助金の補助対象経費の解説ですが、技術導入費と知的財産権等関連経費(赤枠で強調したところ)は、補助対象経費総額(税抜)の3分の1が上限で、外注費と専門家経費(青枠で強調したところ)は、補助対象経費総額(税抜)の2分の1が上限になっています。
補助対象経費というのは、事業に要する全ての経費から、補助対象になっている経費だけを抜き出したものです。当然、補助対象ではない経費(例えば人件費等)はここには含まれません。この補助対象経費の3分の2が補助金申請額となり、事業再構築補助金では最大6,000万円に当たる部分です。
ものづくり補助金の例から推察すると、この補助対象経費のうち、間接経費にあたる○○費は上限が補助対象経費の○%を上限とする、というような制限がつくのではないかと考えています。したがって繰り返しになりますが、補助対象経費の全額(100%)を広告宣伝費として計上したり、外注費として計上することはできない、となる可能性が濃厚です。
主要経費の中でも「設備費」(またはシステム購入費)は必ず計上しないといけないかもしれない
これは当社の推測ですが、主要経費の中でも「設備費」は必ず計上しないといけない費目になるかもしれません。根拠としては、「事業再構築補助金の概要」の6ページ目にはっきりと「本補助金は基本的に設備投資を支援するものです」と書いている点です。もう一つの根拠は、ものづくり補助金でも単価50万円以上の機械装置費を必ず計上することになっている点です。ものづくり補助金でも事業再構築補助金でも、付加価値額の年率平均3%以上増加というのが必須要件になっています。機械装置(もしくはシステム)を購入せずに、付加価値額年率平均3%以上増加を達成できるかというと、ちょっとむずかしいのではないかと思います。(建屋の建設や建屋の改修だけでそれほどの付加価値が向上するとはちょっと思えません)
この仮説を裏付けるデータを一つお見せします。下記のグラフは、ものづくり補助金事務局が公開している採択者データですが、ものづくり補助金では、補助金申請額が大きいほど採択率が高くなっています。ものづくり補助金では、機械装置費を計上することが必須である上、販促費や建設費などは対象外ですから、ここで申請されている額はほとんどが機械装置費だと考えられます。(兵庫県で行われたH29年度補正ものづくり補助金1次公募採択者向け説明会でも、申請額のほとんどが機械装置費であると述べていました)
こうした点からも、付加価値額年率3%以上増加のためには、ある程度の機械装置費の計上が不可欠だという審査員の目線が伺えます。
事業再構築補助金に関する全体的な解説はこちら
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