おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
3月26日、中小企業庁は事業再構築補助金の公募を開始しました。これに伴い、公募要領(1.0版)が公開されました。公募要領の中でも公募スケジュールと対象外事業、既知ではない新情報(主なものだけ)を中心に、内容を解説します。
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事業再構築補助金事務局サイトと公募要領はこちらから
事業再構築補助金事務局サイト
事業再構築補助金公募要領
事業再構築補助金第1回公募のスケジュール
事業再構築補助金の第1回公募のスケジュールについては、下記のような流れになります。
最初の受付締切が4月30日です。申請の受付は通年でおこなわれる予定で、締切は令和4年度まで行われる見通しです。今後さらに4回程度の締切が設けられるようです。
申請受付の開始は4月15日の予定ですが、事務局サイトにると、あくまでも予定であり、申請開始日は変更になる可能性が示唆されています。
締切までに申請すると、そこから審査がおこなわれます。第1回公募では4月30日に締め切って、6月上旬~中旬に採択発表です。採択が分かってから、少し事務処理があります。事務局とやり取りをして、一か月程度で正式に交付決定が下りるのではないかと思われます。
この交付決定が下りて、はじめて発注・納品・支払いができるようになります。発注・納品・支払いができる期間が、ピンクの範囲です。この期間を1日でも外れた発注・納品・支払いは、一切補助金の対象となりませんので、機械装置等の納期に注意をしてください。この期間は交付決定から12ヶ月以内、採択発表から14ヶ月以内と定められています。
中間検査として事務局の現地監査を受けるなどして、納品・支払まで完了した後は、実績報告書等の書類を複数提出します。その後にようやく補助金の請求ができるようになります。つまり、最初に補助金申請書を提出して補助金が入ってくるまで1年間ぐらい間があくということなので、この間に資金繰りが確実にできるかどうかが重要です。したがって審査でも財務面が重視をされることでしょう。
事業再構築補助金 対象外事業
公募要領に記載されている各要件の中で、対象外となる事業について述べられたところを説明したいと思います。
2点目に「具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業ではないこと」とあります。新製品開発などの行為の大半を他社に任せることは該当しません。そしてしばしばあるんですが、補助金で購入する機械装置等を、自社の下請けに設置するようなこともこれに抵触する可能性が濃厚です。いわゆるファブレス企業も対象外です。情報システムの取得をする場合もここに注意が必要です。システム開発を他社に丸投げるような内容だと、この条項に該当する可能性があります。ご注意ください。
3点目と4点目に「専ら資産運用的性格の強い事業ではないこと」「建築又は購入した施設・設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業ではないこと」とあります。具体的に言うとマンション、アパート経営、駐車場経営、コインランドリー経営等は対象外と判断される可能性が濃厚でしょう。売電目的の太陽光発電施設の建設もこれに抵触する可能性大です。
最後に、国・独法が助成する他の制度(補助金、委託費、固定価格買取制度等)と同一又は類似内容の事業ではないことという要件があります。同一・類似事業における補助金の二度取りは不可という要件です。もちろん、過去に補助金の交付を受けた事業と違う事業で今回申請するのであれば大丈夫です。ここでは「国・独法」と書いていますが、自治体によっては、自治体の補助金と国の補助金の重複申請を認めていない場合もあります。今回申請しようと考えている事業で自治体の補助も受けている場合は、一度自治体に相談をしてください。
事業再構築補助金 既知ではない新情報① 暫定GビズIDプライムアカウントの発行
正規のGビズIDプライムではなく、早期の発行が可能な「暫定GビズIDプライムアカウント」というものの付与が予定されているようです。ただし、いずれ(少なくとも交付決定時には)正規のGビズIDプライムが必要になりますので、できる限り早く正規のGビズIDプライムを取得するようにしてください。
○ 新型コロナウイルス感染症対策としての電子申請の需要増加に伴い、GビズID運用センターにおいて、GビズIDプライムアカウントの発行までに時間を要することが見込まれることから、本事業に応募申請を行う事業者の方に限っては、早期の発行が可能な「暫定GビズIDプライムアカウント(以下、暫定プライムアカウント)」の付与によって応募申請を可能とする運用を実施します。採択公表後の交付申請の受付(令和3年6月上旬以降を予定)以降の手続きでは「GビズIDプライムアカウント」が必須となりますので、「GビズIDプライムアカウント」の取得手続きは順次進めていただけますようお願いいたします。
(事業再構築補助金公募要領1.0版より)
事業再構築補助金 既知ではない新情報② 建物等の施設又は設備を対象とした保険への加入義務
補助金額が1,000万円を超える案件では、本事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、保険又は共済への加入義務を負うことについて同意が必要のようです。
補助金額が1,000万円を超える案件では、本事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、次に定める付保割合を満たす保険又は共済(補助金の交付対象である施設、設備等を対象として、自然災害(風水害を含む。)による損害を補償するもの)への加入義務を負うことについて同意していただきます。ただし、小規模企業者にあっては、この限りではなく、保険又は共済加入に変わる取組を実施することでも差し支えありません。
・小規模企業者 加入推奨(推奨付保割合30%以上)
・中小企業等 30%以上
・中堅企業等 40%以上(事業再構築補助金公募要領1.0版より)
事業再構築補助金 既知ではない新情報③ ローカルベンチマークの実施と「事業財務情報」の提出
中小企業向け補助金 総合支援サイト ミラサポplusの「電子申請サポート」で事業財務情報を作成の上、ブラウザの印刷機能でPDF出力し、申請時に添付する必要があります。なお、「活動レポート(ローカルベンチマーク)」には、BIレポート(財務情報)のほか、非財務情報を整理する「業務フロー」「商流」「4つの視点」のシートもありますが、これらのシートの作成は任意です。(必須なのは「事業財務情報」画面をブラウザの印刷機能でPDF出力したものです。)
なお、このやり方については、経産省公式のYou Tubeチャンネルにて動画解説があります。
事業再構築補助金 既知ではない新情報④ 審査項目
審査項目は、満たしている度合いが高ければ高いほど採択可能性が高まるという項目です。
審査員は申請書を読んで、それぞれの項目ごとに、どの程度説得力ある内容が書けているか、点数をつけるという仕組みになっています。具体的には、この事業化点①が、どこに書かれていて、どの程度しっかり書かれているかを確認します。そのうえで、例えばですが、10点満点のうち、何点ぐらいかけてるかを判断して、点数をつけます。審査項目一つ一つに対して審査されているということです。
事業再構築補助金では、全部で13個の審査項目があります。区分としては、上の四つが事業化点です。例えば、「事業実施のための体制はどうか」「事業化に向けて市場ニーズを考慮してるか?」といった観点で、事業計画の具体的な内容や妥当性を審査されます。
真ん中の4つが再構築点です。再構築点では例えば、「指針に沿っているか」「再構築を行う必要性や緊急性は高いか」「地域の発展やイノベーションに貢献するか」という観点で、事業再構築に取り組む理由やその成果について審査をされます。
一番下の5つが政策面です。政策面では例えば、地域経済への貢献など、国の政策に合致しているかという観点で審査をされます。
審査員は、この審査項目ごとに点数を付けるので、申請書の中でこれらの審査項目で問うていることが書かれていなければ、点数のつけようがありません。したがって、審査項目は漏れ抜けがあってはいけません。
事業再構築補助金 公募要領でも明らかにならなかった点
公募要領は公開されましたが、それでも明らかにならなかった点と当社が考える点がいくつかあります。これらは申請をする上で必要な情報だと思われますので、後日何らかの方法で公開されるものだと推察します。(もし当社が見逃しているだけであればご指摘ください)
- 付加価値額の計算における人件費の細かい定義
- 申請書の参考様式
- 認定経営革新等支援機関確認書・金融機関確認書の様式
- 売上減少要件の比較期間内に新規創業した場合の考え方、用意すべき書類
- 合併、法人成り、事業承継などで申請主体に変更が生じた等の要因により、申請に用いる任意の3か月の比較対象となるコロナ以前の同3か月の売上を示すことができない特段の事情のある事業者が用意すべき書式(これは別途Q&Aで明らかにされるもよう)