おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
事業再構築補助金の審査項目は全部で13あります。一つずつ解説をします。今回は事業化点④について解説します。
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事業再構築補助金審査項目 事業化点④
補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。
「補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか」の意味
補助事業とは、補助金をもらってやろうとしている事業再構築の取組のことを言います。例えば指針の手引き(1.1版)では、日本料理店が焼肉店を展開するという取組が例示されていますが、その焼肉店への事業転換をするにあたってもらった補助金額に対して、それ相応のリターンが見込めるか、ということが問われています。
補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模というのは、電子申請「4:収益計画」において示す数字をもとに判断がされるでしょう(以下のようなフォーマットになるものと思われます)。「付加価値額は年率3%の向上が要件じゃないの?」と思われるかもしれませんが、この審査項目を素直に読むと、高ければ高いほどよいとも読めます。
しかし高ければいいというものではありません。この審査項目に「実現性」という言葉が使われているように、本当にそれだけの付加価値額の向上を実現できるということを審査員が納得しなければなりません。したがってその根拠を示す必要があります。根拠としては次のようなものを挙げる必要があるでしょう。
- 売上向上の根拠(想定客単価と想定客数を、それぞれ根拠を示しながら)
- 人件費向上の根拠(何人増員するか、ずっと在籍する従業員の賃上げはどの程度おこなうかを示しながら)
- 減価償却費の根拠(この度取得する固定資産の額、種類、定額法か定率法か、何年償却課、償却率はいくらか等を示しながら)
- 支払利息の根拠(この度の投資にあたってどの程度の融資を受けるか、利率はいくらか、返済期間は何年か等を示しながら)
ところでこの審査項目には「生産性の向上」という言葉もあります。上記の表でいうところの「従業員一人あたりの付加価値額」がどの程度伸びるかと解釈することもできますが、それ以外の指標(例えば1時間あたりの生産数量の伸びなど)で示す場合には示したほうがよいでしょう。特に業態転換で新たな製造方法等に取り組む場合には必ず示す必要があるでしょう。
「現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや」の意味
審査項目は次に「その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや……」と続いています。事業再構築の取組を行う上では、現在の自社の人材、技術、ノウハウ等の強みを活用することが求められています。反対に言うと、まったく自社の強みを活かせないような取組は、審査で評価されないということです。
例えば経営コンサルタント業の当社が、突然ラーメン屋をやるという事業計画を立てたとします。しかし強みとして活かせるものがありません。なぜなら普通の経営コンサルタントは、ラーメンを作る技術やノウハウ、人材を有していないからです。こういう取組は「本当にできるの?」と疑念を持たれるため、評価がされないでしょう。
事業計画書では「こういう強みがあるから、こういう新しい取組に活かすことができる」ということを、わかるように書く必要があります。
「既存事業とのシナジー効果が期待されること等により」の意味
シナジー効果とは相乗効果のことで、補助事業を行った結果として、新しい取組と既存事業の両方に好影響が生まれることを言います。
シナジー効果にはいくつかの種類がありますが、わかりやすい例では「売上シナジー」というものがあります。Aというモノが売れると、つられてBも売れる可能性があるというものです。事業再構築指針の手引き(1.1版)には、日本料理店が焼肉店に事業転換する例が書かれていますが、それを例にとると、焼肉店の売上が上がれば、既存事業である日本料理店の売上も増えるという相乗効果のことを指します。例えばどういうものがあるかというと、焼肉店でも日本料理店のメニューを提供するような取組があれば、シナジーを訴求できるかもしれません(ちょっと無理がありそうですけど)。
その他のシナジー効果としては「生産シナジー」というものもあります。新しい取組と既存事業とで工場や機械、技術などを共同で活用することで、お互いの製造コストを下げるというものです。しかし事業再構築指針の「製品の新規性要件」では、主たる設備を変更することが求められていますので(しかも新しい設備は新しい取組専用機になるので)、生産シナジーを書くのは難しいかもしれません。
やはり販路などを共同で活用することで得られやすい「売上シナジー」が、書きやすいのではないかと思います。