おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
5月20日、事業再構築補助金第2回公募が開始されました。これに伴い、第2回公募要領1.0版が公開されました。前版(第1回1.4版)と比べて、どういう点が変更になったでしょうか。主だって変更点を解説します(誤記や表現の修正を除いています)
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事業再構築補助金第2回公募要領1.0版は事務局ホームページよりダウンロードできます
事業再構築補助金公募要領変更点まとめ
第2回公募要領1.0版における前版からの主な変更点
- 事業目的に「日本経済の構造転換を促すことを目的とします」という一文が追加 (P2,P6)
- 売上減少要件の対象月の選定が、2020年10月以降の連続する6か月から任意の3か月を選ぶように変更(これまでは「申請前の直近6か月」だった)(P2)
- 特別枠の売上減少要件の対象月の選定が、3回目の緊急事態宣言にあわせて2021年1月~5月に変更 (P2)
- 「経営革新計画等支援機関は事業所の所在地にある必要はない」の一文が追加 (P3)
- コールセンターが」土曜日も対応 (P4)
- 電子申請操作方法サポートセンターが新たに開設 (P4)
- 新規創業者(コロナ以前(2020年3月31日以前)から創業を計画等しており、2020年4月1日から2020年12月31日までに創業した場合)の補助対象要件が追加 (P6)
- みなし大企業の要件(大企業の役員兼務)として、監査役は含まれない旨が追加 (P7)
- 政治団体・宗教法人は除く旨が追加 (P7)
- 「複数の事業を計画している場合にあっては、事業計画書中に複数の計画の内容を記載して申請することは可能です」の一文が追加 (P8)
- 1回目公募申請者が2回目公募に申請をする際の条件として「ただし、前公募回の採択結果が公表されるまでの間は、システム上で申請を受け付けることはできませんので、ご注意ください」の一文が追加 (P8)
- 不適格要件として、農業を行う事業者が単に別の作物を作るような事業が追加 (P14)
- 「緊急事態宣言特別枠は今回で終了」の旨が追加 (P17)
- 事前着手申請について下記3点が追加 (P22)
・「承認書の内容に変更がある場合は、再度申請していただく必要があります。」
・「第3回公募以降では、事前着手の対象期間の運用について見直しを行う場合がありますので、ご注意ください。」
・「申請に当たっては、「事前着手承認申請書」をダウンロードの上、必要事項を記載の上、必ずメールに添付してください。(申請書の添付がされていない場合は受理できません)」 - 事業計画書の枚数が緊急事態宣言特別枠は10ページ以内と指定 (P24)
- 「なお、金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねている場合は、「金融機関による確認書」の提出は省略することができます」の一文が追加 (P26)
- 加点③が追加 (P27)
事業再構築補助金第2回公募のスケジュール
第2回公募開始が5月20日です。電子申請の受付開始が5月26日の予定で、第2回の申請締切が7月3日です。令和3年度内にさらに3回程度の公募が行われるようです。
締切までに申請すると、そこから審査がおこなわれます。公募要領によると8月下旬から9月上旬ごろに採択発表のようです。採択が分かってから、少し事務処理があります。事務局とやり取りをして、一か月程度で正式に交付決定が下りるのではないかと思われます。(交付決定はおそらく10月ごろになるでしょう)
事業再構築補助金公募要領の主な変更点1:売上減少要件の変更(通常枠)
売上減少要件の対象月の選定が、2020年10月以降の連続する6か月から任意の3か月を選ぶように変更になりました。(これまでは「申請前の直近6か月」でした)
具体的には、下記のような考え方になります。
申請月が2021年6月だと仮定をしますと、2020年10月以降の連続する6か月とは「2020年10月~2021年5月」の期間における連続する6か月を任意で指定することができます。この例だと、2020年10月~3月までの6か月間を指定しています。この6ヶ月間の中で任意の3ヶ月を見ます。この任意の3か月は、連続しなくても構いません。上記の例だと、10月、12月、2月を選んでいます。青丸の月です。
そしてこの3ヶ月、10月、12月、2月の、コロナ以前の年の売上高を見ます。この例では2019年10月、12月、2020年2月と比較をしています。黄色の丸の売上高です。なお、2月については、2019年2月と比較をしても構いません。
この黄色の丸の合計と、青丸の合計を比べて、青丸の合計が10%以上減っていれば対象になります。
なお、この売上減少要件にはいろいろなパターンが想定されるので、詳しくは公募要領を確認してください。
事業再構築補助金公募要領の主な変更点2:売上減少要件の変更(特別枠)
特別枠の売上減少要件の対象月の選定も、3回目の緊急事態宣言にあわせて2021年1月~5月に変更となりました。
特別枠限定の売上減少要件は、「通常枠の売上減少要件に加えて、2021年1~5月のいずれかの月の売上が前年・前々年同月比30%以上減」です。
この例だと、2021年1~5月の売上と、前年2020年の1~5月の売上を比べると、1月の売上が30%以上減っています。このような月が一月でもあれば、特別枠の対象になります。比較の対象は、前年2020年でも前々年の2019年でもよいようです。
くどいようですが、30%売上高減少の原因が、緊急事態宣言の影響よるものでなければなりません。緊急事態宣言とは関係なく単に30%減っただけではだめ、不正受給とみなされる可能性があります。
事業再構築補助金公募要領の主な変更点3:事業計画書の枚数が緊急事態宣言特別枠は10ページ以内
事業計画書の枚数が緊急事態宣言特別枠は10ページ以内と指定されました。これまで、通常枠と特別枠に計画書の枚数指定に違いはなく、どちらも15枚とされていました。
事業再構築補助金公募要領の主な変更点4:加点項目③が追加
加点項目として、新たに③が追加となりました。
③ データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPMの取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。
EBPMというのは聞き慣れない言葉だと思いますが、政策を立案するにあたって、科学的・合理的根拠(エビデンス)を重視しようという考え方です。
従来の政策は、政治家の思いつきや世論によって建てられる事が多く、必ずしも科学的・合理的な根拠に基づいて建てられているとは言えません。それではいけないので根拠を重視して政策を立案しようということが、日本だけではなく世界的な流れになりつつあります。
補助金の世界では、経済産業研究所(RIETI)という機関が、2020年6月に、ものづくり補助金の政策的効果を科学的に分析してまとめた報告書を作成しています。おそらくですが、事業再構築補助金でもこうした科学的な手法で効果の検証を行う予定があって、それに協力してくれる企業は加点をするということだと推察されます。具体的にどういう協力になるかというと、毎年の事業化報告で求める以上の詳細なデータ(決算報告書の詳細な内容や従業員の労働時間のような数字など)を、事細かに提出することが求められるのではないかと思われます。
この加点③を申告しておきながら、データの提出といった協力を拒むようなことがあれば、交付決定が取り消しになる可能性もゼロとは言えません。「加点されたのにデータは提出しません」では済まされないでしょう。このあたりのリスクも考慮に入れて慎重に検討してください。