おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
12月6日、岸田首相は衆参両院の本会議で所信表明演説を行いました。この中で述べられた中小企業政策について、首相の言葉を引用しながら解説します。
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第二百七回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説(首相官邸HP)はこちら
経済回復に向けた支援=事業復活支援金
事業者向けには、二・八兆円規模の給付金により、事業復活に向けた取組を強力に後押しします
これは「事業復活支援金」といって、法人最大250万円、個人最大50万円の現金給付を行う施策です。昨年の持続化給付金の第二弾だと言えます。下記に経産省補正予算PR資料における事業復活支援金の概要について示します。
経済復活に向けた支援=新たなGoTo事業
安全・安心な形で、新たなGoTo事業などの消費喚起策を行う準備も進めます。
GoToトラベル事業は昨年も実施されましたが、感染拡大にともない中断されました。令和3年度補正予算では新たに2,685億円を予算化。既存予算とあわせて総額1兆3,000億円を超える事業になる見通しです。
なお、新たなGoToトラベル事業の再開は、日本経済新聞の報道によると1月末以降となるようです。
新しい資本主義のもとでの分配=ものづくり補助金・持続化補助金
赤字でも賃上げする中小企業については、ものづくり補助金や持続化補助金の補助率を引き上げる特別枠を設けます。
これについても、経産省の補正予算PR資料を見てみましょう。下記の資料のうち、ものづくり補助金は「回復型賃上げ・雇用拡大枠」の補助率が2/3になること(通常枠は1/2)、そして持続化補助金は成長・分配強化枠の一部の類型において、赤字事業者は補助率が3/4になること(通常は2/3)を指しているのだと思われます。
新しい資本主義のもとでの分配=下請法遵守徹底・パートナーシップ宣言
下請けGメン倍増による下請け取引の適正化や、大企業と中小企業の共存共栄のためのパートナーシップ構築宣言推進により、賃上げに向けた環境を整えます。
中小企業の生産性は2000年以降向上しているものの、生産性の伸びを販売価格に転嫁できていないので、利益につながっていないというデータがあります。具体的には、中国企業の価格を引き合いに出し半額近い値下げを口頭で要求されたり、毎年一律数%の原価低減要請が来る、といったことが現場で起きています。
これでは中小企業の健全な成長が促せないので、政府としては、大企業や発注先に対して、下請法遵守の徹底をさせたいのだと思われます。パートナーシップ構築宣言とは、下請法などを遵守すると親会社・発注者にコミットさせて、それを一般公開する制度のことです。つまり大企業に「下請法を守ります」と宣言をさせ、コミットした企業を公開することによって、下請法を守らせようとする施策です。