おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
5Sの考え方がISO9001や14001の運用に役立つことがあります。その逆もあって、ISOの仕組みが5S活動に役立つこともあるんですね。今回は内部監査やマネジメントレビューをどう5Sに活用するかを解説します。
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内部監査と5S活動の統合
内部監査という場を生かして、どのような5Sのチェックができるでしょうか。
1つ目は定位置にモノが置かれているかどうかです。先程の例だと、ごみの分別を色別管理しているという例がありましたが、ちゃんと台車が定位置にあるかとか、台車に乗せているゴミ箱は正しいものか、というような確認ですね。
2点目は、表示のとおりにモノが置かれているかどうかです。これは特に、法で定められた掲示物に関するチェックでもありますが、水銀使用製品産業廃棄物という表示があるにもかかわらず、別のところに廃蛍光灯がおかれていないかみたいなチェックですね。
3点目は、定位置はあるが表示のないものはないか、というチェックです。なにかの置き場を作っていたとしても、そこが何の置き場なのかを、誰が見てもわかるように表示をしないといけません。また、表示はあっても汚れたり破れたりして読みにくくなっているものがないかを確認することもチェックの一貫です。
そして最後が、定位置が決められていないものはないかのチェックです。現場の隅に乱雑に置かれていたり、よりにもよって消火栓の前に山積みになっていないか、というようなチェックですね。全てのモノは定位置をきめて、そこに表示をつけるのが原則です。
ここまで見ていただいたらわかるかもしれませんが、5Sのチェックといっても、必ずしも「きれいかどうか」というチェックではありません。きれいかどうかというのは、人によって判断が異なります。私はきれいだと思うけど、あの人はそうは思っていない、みたいなことが起こるわけですね。
これは個人の価値観の問題で、すり合わせが難しいことなんですよね。あまり自分の価値観を押し付け過ぎると、社内で揉める原因にもなります。そんなことになると。5Sをやる気もおきなくってしまいますので、極力「きれいかどうか」とい判断はしないほうがよいです。
その代わり、「決まりがあるか」「決まりを守っているか」をチェックするのだと、揉めることは少なそうですよね。ISOの内部監査は、まさに「決まりがあるか」「決まりを守っているか」という自己チェックですから、内部監査と5Sのチェックは相性がよいとも言えそうです。
マネジメントレビューと5S活動の統合
マネジメントレビュー場では、どのような5Sに関する報告や意思決定ができるでしょうか。
例えばどういうことをトップへ報告するかというと、まずは5Sのために買いたいものや、用意すべきモノについての報告ですね。現場で棚がほしいとか、法令で義務付けられている掲示物を作る必要があるとか、保管スペースを設ける必要があるとかですね。
物理的なモノだけではなく、5S活動をやる時間がほしい、といったものも報告の対象になり得るでしょう。
続いては役割・権限・責任を明確にすべき点についての報告ですね。現場で乱れがちな場所は、責任者が決まっていないとか、複数の部署が共同で管理をしているので責任があいまいだ、という場合がかなりあります。そういうところを無理やり整理整頓しても、すぐにリバウンドします。ですので、誰がここを管理するのかという責任者を明確にする必要があるんですよね。これはトップに決めてもらうと円満に解決するのではないかと思いますので、こうした報告も必要ですね。
そして参考になる他社の5S事例なども、トップに報告をするのがよいでしょう。とくに同業他社の優良事例などは、トップも関心をもってくれますので、そうしたことを報告すると5Sが全社的にもはかどるのではないかと思います。
そして報告するだけではなく、トップには意思決定をしてもらう必要もありますね。ISOのマネジメントレビューとは、そうした報告とトップの意思決定の場でもあるので、この場を利用して5Sをやるというのも、とても有効だと思います。
ISOと5Sの統合は他にも可能
ISOと5Sを組み合わせてうまくやる方法は他にもありそうです。
これがいいかどうかは会社にもよると思いますが、例えば、品質目標や環境目標のひとつとして5Sに関するものを含めてPDCAをまわすこともできるでしょう。品質方針や環境方針に5Sのことを盛り込む、ということもできそうですよね。
いろんな考え方があっていいとは思いますが、会社の中で複数の取り組みをバラバラにやるというのは無駄も多いですし、現場も負担に感じてしまうので、うまく統合できるところは統合してやるというのが良いんじゃないかと思います。