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事業再構築補助金第10回公募 更新された審査項目の解説(事業化点編)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

3月30日、事業再構築補助金第10回公募要領が公開されました。3年目を迎えた事業再構築補助金は、多くの審査項目が更新されています。更新内容や前回からの変更点等について解説します。(まずは事業化点)

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公募要領・FAQはこちら

3月30日づけで、公募要領・FAQも大幅に公開されています。必ず最新版を参考にしてください。

事業再構築補助金公募要領

事業再構築補助金FAQ

事業再構築補助金 審査項目(事業化点)①

新しい審査項目のうち、事業化点①は下記のとおりです。

① 補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。

この審査項目は、第9回公募以前の事業化点②とほぼ同じです。なぜか①に格上げ?になっています。②から①へと変わった理由をあえて深読みをすると、市場性の分析をしっかりやってほしいという役所側の期待があるのかもしれません。

ただ、第9回公募以前の事業化点②からも少し変更があります。第9回公募以前で「競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮する」と書いていた部分が削除されています。競合他社の動向から市場ニーズを考慮する、というのは非常に検討しづらい審査項目でした。といのも、競合他社の動向から市場ニーズを見つけたとしても、それは他社がすでに目をつけているニーズであるので、競争になりやすいからです(反対にニッチな分野だと、競合他社の動向からニーズが見つけられない)。まあ、あくまでも「競合他社の動向を把握すること等」と、ニーズを見つける手がかりの一例に過ぎないですが、審査項目に書いていることは無視しづらいですからね。

事業再構築補助金 審査項目(事業化点)②

続いて新しい事業化点②の審査項目を見てみましょう。

② ターゲットとするマーケットにおける競合他社の状況を把握し、競合他社の製品・サービスを分析し、自社の優位性が確保できる計画となっているか。特に、価格・性能面での競争を回避し、継続的に売上・利益が確保できるような差別化戦略が構築できているか。(オープン/クローズ戦略等を通じた知財化戦略や標準化戦略による参入障壁の構築、研究開発やブランディング・標準化を通じた高い付加価値・独自性の創出、サプライチェーンや商流の上流・下流部分を自社で構築するなど他社が模倣困難なビジネスモデルの構築、競合が少ない市場を狙うニッチ戦略等)

ここは対競合の視点の分析を求めている審査項目です。これまでの審査項目には、対競合についての分析は求められていませんでした(「10.事業計画作成における注意事項」にはそれらしいことが書いていましたが)。

また、新しい審査項目の後半では、差別化戦略について問われています。注意しないといけないのは「特に、価格・性能面での競争を回避し」とあることです。価格競争に陥らないというのは差別化戦略のセオリーですが、新しい審査項目では「性能面での競争」も回避することを暗にもとめています。確かに性能も一時的に優位になったとしても、他社にすぐに模倣や超越されてしまいかねません。そのような「いたちごっこ」にならないような戦略の有無を訊いています。

例としてあげられているのは下記の4つです。上2つは中小企業がとれる方策としてはあまり一般的とは言えません(もちろんこうした戦略を取る中小企業があるのも事実)が、下の2つはわりと中小企業でも現実味があると言えるでしょう。

  • オープン/クローズ戦略等を通じた知財化戦略や標準化戦略による参入障壁の構築
  • 研究開発やブランディング・標準化を通じた高い付加価値・独自性の創出
  • サプライチェーンや商流の上流・下流部分を自社で構築するなど他社が模倣困難なビジネスモデルの構築
  • 競合が少ない市場を狙うニッチ戦略等

知財のオープン・クローズ戦略とは

知財のオープン戦略とは、他社に自社技術の活用を許すことを言います(標準化や権利の使用の許諾等)。一方クローズ戦略とは、特許等によって知財を専有化し、技術やノウハウを囲い込んでしまうことを言います。

標準化戦略とは

標準化戦略とは、自社の技術やノウハウを、JIS原案の申し出等で標準化するようなことを指します。これは具体例を示したほうがいいと思いますが、新潟県の株式会社悠心という中小企業の事例を下記のリンクからご覧ください。こういう取り組みのことを指しているのだろうと思います。

(株式会社悠心は、鮮度保持性能の評価基準を作成した。経済産業省の後押しを受けて、2017年にJIS規格として制定)。現在は国際規格(ISO)化に取り組んでいるとのこと。自社の技術が国内・国際標準になれば、影響力がグッと高まりますもんね。

研究開発による高付加価値化とは

研究開発による高付加価値化とはどういうものでしょうか。これは下記のリンクを参考にすると「上流ドメインへのシフト」と言えます。もうちょっと具体的に言うと「研究開発支援」「設計支援」「試作支援」といった事業を開拓すること、といえば良いでしょうか。

めちゃめちゃ端的にいうと、下請け企業であったとしても、単に言われたとおりに加工するだけではなく。製品の研究開発や設計段階から参画するというようなイメージです。そうすると、単に単に言われたとおりに加工する競合他社を出し抜くことが出来ますよね。

ブランディングによる高付加価値化とは

わかりやすい例でいうと(1次産業ですが)夕張メロンや関あじ・関サバなどを思い浮かべるといいでしょう。関あじ・関さばは豊後水道で採れるあじ・さばのことで、大分側(佐賀関)で水揚げされるものを言います。一方、同じ豊後水道で採れるあじ・さばでも、愛媛側(三崎)で水揚げされるものは「岬あじ」「岬さば」と呼ばれますが、あまりピンときませんよね。モノは同じでも、ブランドによって価値が大きく異なるのです。

なかなかこうしたブランディングを一社だけで実現するのは難しいですけどね。

 サプライチェーンや商流の上流・下流部分を自社で構築する

これは上流・下流への進出のことをイメージすればよいでしょう。加工をしている会社が組み立てまでやるとか、加工をしている会社が原材料の調達もやる、みたいな感じですね。複数工程を一貫で対応できるようになるので、単一の工程しかできない他社と比べると、コスト面や納期面はもちろん、品質面でも優位性が発揮できます。(例えばですが、組み立て時の部品のはめあわせ具合から逆算して、加工条件を設定できる、みたいな感じです。こうすると加工はしたけど組立時にうまく噛み合わないといった不良の可能性が減少します)

競合が少ない市場を狙うニッチ戦略等とは

これはみなさんイメージしやすいと思うので、詳しい説明は割愛します。大企業が対象としないようなスキマに特化した製品・サービスであるということです。

事業再構築補助金 審査項目(事業化点)③

③ 事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。

前半の一文「事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか」は新しい文言です。しかしもともと、第9回公募要領までの中の「10.事業計画作成における注意事項 」の「2.将来の展望」で、(将来の)課題やリスクとその解決方法を明示するように指示されていました。それが審査項目に格上げになったのではないかと思います。

今すぐやらないといけない課題だけではなく、将来的に起こりうるだろう課題やリスクについても思いを馳せることが求められます。

事業再構築補助金 審査項目(事業化点)④

事業化点最後の審査項目である④はこちらです。

④ 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。

こちらは第9回公募要領までの審査項目と変更がありません。書いている内容も、読めば理解できると思います。

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