おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
3月30日、事業再構築補助金第10回公募要領が公開されました。3年目を迎えた事業再構築補助金は、多くの審査項目が更新されています。更新内容や前回からの変更点等について解説します。(今回は再構築点)
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事業再構築補助金第10回公募 更新された審査項目の解説(事業化点編)
おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 3月30日、事業再構築補助金第10回公募要領が公開されました。3年目を迎えた事業再構築補助金は、多くの審査項目が更新されています。更新 ...
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公募要領・事業再構築指針・FAQはこちら
3月30日づけで、公募要領・FAQも大幅に公開されています。必ず最新版を参考にしてください。
事業再構築補助金公募要領
事業再構築補助金FAQ
事業再構築補助金 審査項目(再構築点)①
新しい審査項目のうち、再構築点①は下記のとおりです。
① 自社の強み、弱み、機会、脅威を分析(SWOT分析)した上で、事業再構築の必要性が認識されているか。また、事業再構築の取組内容が、当該分析から導出されるものであるか、複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか。
SWOT分析をすることは、第9回公募までも「10.事業計画作成における注意事項」の中で求められてきました。今回からは審査項目へと格上げ?になったようです。SWOT分析が何なのかというのは、皆さんよくご存知でしょうから、説明は割愛します。
しかし新しくなった再構築点①では、SWOT分析から事業再構築の取り組みまでの「一貫性」が、審査項目で求められるようになりました。そもそもSWOT分析とは戦略決定のためのツールなので、SWOT分析の結果から戦略(≒補助金をもらってやろうとしている事業再構築の取り組み)が結びついていなければ意味がありません。ここからは邪推ですが、そうした「一貫性」が感じとれない申請がこれまでも多くあったのだろうと思います。
また後半では「事業再構築の必要性」と書いていますが、これは第9回公募までと比べて多少トーンダウンしています。というのも、第9回公募以前は「緊要性」というキーワードがありましたが、今回からは削除されています。「コロナのせいで、すぐに事業再構築しなければヤバい!」という時期はすでに去っただろうというのが、「緊要性」というキーワードが削除された背景だと推察します。
さらに「複数の選択肢の中から検討して最適なものが選択されているか」という記述も新たに追加されました。これを満たすには、例えばですが「SWOT分析の結果、とるべき戦略の選択肢はAとBとCの3つが考えられる。そのうち当社はAを選択する。なぜならば~」というような分析や考察を事業計画書内で考慮に入れる必要があるでしょうね。
事業再構築補助金 審査項目(再構築点)②
続いて新しい事業化点②の審査項目を見てみましょう。
② 事業再構築指針に沿った取組みであるか。特に、業種を転換するなど、リスクの高い、大胆な事業の再構築を行うものであるか。
※複数の事業者が連携して申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も考慮し採点します。
ここは大きな変更があった審査項目ではありませんが、微妙な変更があります。第9回公募以前は「全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか」という表現でしたが、「全く異なる」とか「思い切った」のような形容詞・形容動詞がなくなっています(こういう大げさな形容詞や形容動詞は役所が好むんですけど、どうしたんでしょうね)。「リスクの高い、大胆な事業」のストライクゾーンが少し広くなった、とも解釈できそうです。
事業再構築補助金 審査項目(再構築点)③
③ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。
これは全く変更がありませんが、第9回公募までは事業化点④だったものが、今回からなぜか再構築点にカテゴリーが変わってます。まあ事業化点とか再構築点とかいうカテゴリーもグレーであいまいなんですけどね。
補助事業として費用対効果というのは、端的に言うと、補助金をもらった額以上に儲かるか、ということです。これは単に売上だけで見るのではなく、この審査項目にも書いているように付加価値額の規模や生産性の向上という観点で見るほうが望ましいでしょう。この点からいうと、既存製品の利益率よりも新製品の利益率のほうが高いし、しかも既存製品よりもよく売れるいうことを、数字を駆使して示す必要があると考えます。
ところで公式のFAQのQ1では「事業再構築により取り組む事業は、必ずしも既存事業と関連している必要はありません。」と書いていますが、この審査項目の「現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により」という箇所を読むと、既存事業と関連しないものは評価が得にくいことが想像できます。
事業再構築補助金 審査項目(再構築点)④
再構築点の審査項目④に参りましょう。
④ 先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。
これは第9回公募までとほぼ変更がありません。ただ「サプライチェーン」という言葉が追加されています。物流の2024年問題のことを意識しているのだと推察します。「新しいビジネスモデルの構築」というのは、前回の記事で紹介した「オープン/クローズ戦略等を通じた知財化戦略や標準化戦略による参入障壁の構築、研究開発やブランディング・標準化を通じた高い付加価値・独自性の創出、サプライチェーンや商流の上流・下流部分を自社で構築すること」などの、他社が模倣困難なビジネスモデルが参考になるでしょう。
事業再構築補助金 審査項目(再構築点)⑤
再構築点の最後の審査項目です。
⑤ 本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。
これは第9回公募以前とまったく変更がありません。この審査項目が第10回以降も残っているところから見ると、この補助金が創設された当初の趣旨である「コロナ対策の補助金」という位置づけがまだ残っていることが見受けられます。ですのでやはり事業計画の大筋から、コロナの影響やコロナ対策としての記述を省くことはできないと当社では考えます。