おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。
ISO45001:2018年版 各箇条解説シリーズ、今回は箇条4.2「働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解」を解説します。まず働く人や利害関係者とは誰なのかという基本を解説します。
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ISO45001:2018 箇条4の位置づけ
まずは箇条4の位置づけを見てみましょう。
箇条4は、労働安全衛生管理の仕組み(つまり労働安全衛生マネジメントシステム)を構築する前段階の準備のような位置づけです。
箇条4.1では、組織のおかれている状況を理解します。箇条4.2では利害関係者(行政機関や労働者、供給者や請負業者など)のニーズを把握します。それらをもとにして、箇条4.3では、わが社のどういった仕事や拠点などに、この労働安全衛生マネジメントシステムを適用するかという適用範囲を決めます。そして箇条4.4では、労働安全衛生マネジメントシステムの大まかな枠組みについて定めています。
今日説明する箇条4.2は、箇条4.1と同様に、箇条6で、労働安全衛生マネジメントシステムの計画を立てる前提となっています。
ISO45001:2018における「働く人」とは誰のことか
ISO45001では「働く人」という言葉が、規格全体を通して130箇所以上で使われています。ISO45001における超重要キーワードなんですが、この「働く人」という言葉を正しく理解するところから今日は始めましょう。
「働く人」とは、日本の労基法で定義されている「労働者」とは意味が異なります。労基法における「労働者」とは、一般的に、雇用されている人を指します。経営者は「労働者」には含まれません。
一方、ISO45001の「働く人」という言葉は、従業員や経営者、管理者はもちろんですが、ボランティア、インターンシップ、見習い、パート、アルバイト、臨時職員、派遣社員に至るまで、幅広い範囲の人々を指します。つまりISO45001では、こうした人々全員に対して事故を防ぐような配慮が求められています。日本の労基法との違いを理解し、混同しないよう注意をしてください。
ISO45001:2018における「利害関係者」とは誰か
また箇条4.2では、「働く人」だけではなく、利害関係者のニーズや期待を把握することになっているわけですが、利害関係者というのは、具体的にはどういう人達のことを指すのでしょうか。実はISO45001の附属書に、その例が載っています。
このような人たちのうち、わが社の決定事項や活動に影響を与えるような人たちが、わが社にとっての利害関係者になります。
例えば中小企業だと、労働組合のない会社が多いですよね。そういう場合は、労働組合のニーズや期待を聞けないので、代わりに働く人の代表のニーズや期待を把握することになります。このように、会社によって誰が利害関係者なのかは異なるはずです。
みなさんは、皆さん方の会社にとってはどういう人達が、わが社の意思決定や活動に影響を与える利害関係者なのかを、まずは考える必要がありそうです。ここでいう利害関係者とは、あくまでも労働安全衛生に関する利害関係者です。したがって、「もしこの工程や作業で事故が起きたら、誰に影響を与えるのか、誰とコミュニケーションをとらないといけないのか」ということを問いかけながら、利害関係者を明確にするとよいでしょう。
次回は、利害関係者のニーズ・期待の例を説明したあとで、規格要求事項を解説します。