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ISO14001 ブログ

ISO14001:2015 箇条8.1の「運用基準」とは何か?(2)

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おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。

ISO14001:2015 箇条8.1には「運用基準」という言葉が出てきます。運用基準は"プロセスを正確に管理・評価するための基準"と、私的に定義をしました。今日はこれが具体的にどういう意味なのかを考察します。

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ISO14001:2015 箇条8.1の「運用基準」とは何か?(1)

おはようございます!マネジメントオフィスいまむらの今村敦剛です。 ISO14001:2015 箇条8.1には「運用基準」という言葉が出てきます。ISOは、こういう抽象的な言葉が、説明もなく突然出てくる ...

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プロセスとはそもそも何だったか?

「運用基準」を"プロセスを正確に管理・評価するための基準"と、私的に定義をしましたが、プロセスとは何だったでしょうか?ISO14001:2015の箇条3.5.5によると「インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」がプロセスでしたね。

例えば、手打ちうどん作りのプロセスはこういうものです。

 

手打ちうどんを作るには、まず、材料と道具の準備をし、水や塩、小麦粉を混ぜて、こねて、休ませた後で、伸ばし、切って、茹でることで完成となります。

この中の、「こねる」という作業に注目をすると、前の段階で混ぜられたぼそぼそしている小麦粉の固まりがインプットとして与えられて、しかるべき作業方法で適切にこねられた後に、丸くまとまった生地がアウトプットとなります。検査記録とか、生産実績などの記録も、アウトプットになりますね。

そして、この「こねる」という作業では、どんなものを使うのか、誰がやるのか、どういった手順でやるのか、そしてこの作業が、どの程度の結果を達成すればOKなのか、という評価の指標があります。「誰が」「どうやって」「どの程度」に該当するあたりが「運用基準」と言えるでしょう。

箇条8.1は、環境へ影響を与えるものや、法律等を守るために、管理しないといけないものに対して、こういうプロセスを作りなさいと言っています。

箇条8.1で求められることは何か?

箇条8.1では「6.1及び6.2で特定した取組みを実施するために必要なプロセス」を確立することを求めています。6.1というのは、リスク・機会、環境側面、順守義務、これらに対する取組計画です。6.2は環境目標でしたね。

箇条6.1~6.2は何だったかも復習しながら、順を追って確認しましょう。

まずISO14001規格の箇条4では、外部・内部の課題や利害関係者の要求事項を整理しました。

その課題や要求事項に基づいて、箇条6.1.2では環境側面と著しい環境側面を決めました。また、箇条6.1.3では、課題・要求事項をもとにして、順守義務を決めましたね。続いて箇条6.1.1では、その順守義務などがもたらしうるリスクや機会を決めました。こうして箇条6で決めてきた「著しい環境側面」「順守義務」「リスク及び機会」に対して、箇条6.1.4では、取り組みのための計画策定しました。こうした取組のうち、改善が必要なものについては、6.2で目標へと展開されました。

これがどういうことかを、環境マネジメントシステムにおける具体的な例を使って説明してみましょう。以下は、廃棄物管理プロセスを題材にした例です。

  • 箇条4.2:法律(廃掃法と条例)により、事業者は、適正に廃棄物処理をすることが求められている。
  • 箇条6.1.3:廃掃法と条例を守ることは順守義務である
  • 箇条6.1.1:廃掃法と条例を守らないと、罰則を受けるだけではなく、社会的信用をなくすリスクがある
  • 箇条6.1.4:廃掃法を守るために、廃棄物処理業者と契約も結ぶし、産廃排出時にはマニフェストも交付・管理・保管するし、年1回都道府県に産業廃棄物排出量の報告もする。現場では日々、ゴミの分別をするし、新入社員には入社時にゴミの分別方法についての教育もする。何年か後には、組織の規模が大きくなる予定なので、廃棄物置き場も増設する。
  • 箇条6.2:廃棄物の排出量は、梱包材の見直しなどで減らせるはずなので、今年は前年比で廃棄物排出量を5%減らす

こうした取組を実施するために必要なプロセスを作ることを、箇条8.1では求められています。プロセスなので、インプットをアウトプットに変換する活動でしたよね。廃棄物管理プロセスと、それぞれのサブプロセスのインプット・アウトプット、そして運用基準は、以下のようなイメージのプロセスとなるでしょう。(あまり何も考えずにざっと作ったので、粗があると思います)

ここまでやれば、たしかに廃棄物管理が行き届きそうな気がしますよね。

実務上はどうすればよいか?

こういうプロセスをまんべんなく作る必要があるのですが、どこまで作るかは組織が決めることになっています。製品実現のプロセス(営業とか製造とか検査とか)は、QC工程表のようなものでプロセスと運用基準が明確になっていると思うので、そこに環境の要素を付け足すようなイメージでしょうか。例えば製造プロセスで、大型のプレス機があるような場合は、騒音計による騒音測定とその基準値(多くの場合は市区町村で定められたもの)などを盛り込むような感じで良いと思います。

また廃棄物管理プロセスとか化学物質管理プロセスのように、環境マネジメントシステム固有のプロセスについては、上記の例のような形で明確にしておいたほうがよいでしょう。箇条8.1にも書かれていますが、必要だと思われるのであれば文書化をするのが望ましいとは思います。ただ、環境マネジメントシステム固有のプロセスの運用基準は、順守義務・順守評価と似通う可能性が高いと思います。例えば上記の図にもあるように、マニフェスト管理の運用基準は、B2票・C票・D票などがそろっているか、それぞれのマニフェストが法で定められた期限(90日ないしは120日)までに返却されているかという具合で、法的要求事項を満たしているかどうかと同じになる場合があります。

規格の箇条0.4「Plan-Do-Check-Actモデル」でも書かれていますが、運用基準はプロセスの監視や測定をするときに照らし合わされるものでもあります。ということは、運用基準は箇条9.1の監視・測定の項目(9.1.2の順守評価項目)になりうることも伺えますので、運用基準が、順守義務・順守評価と密接に関連した内容でもよいと個人的には思います。(このあたりは審査員の解釈が分かれるかもしれませんが)

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